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creator  作者: 大矢ユウ
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第十一話 館

俺たちは一度レジスタンスの砦に戻り、ジグルヘイムに向かうための準備をした。

蛇の魔物を倒したこともあり人々は俺たちが戻ってきたことに歓迎をしていたが俺はあまりいい気分にはならなかった。

こいつらがしっかり正気を保てていれば…あの二人は死ぬことはなかったんだ…。


俺はジグルヘイムの存在だけを聞こうとしたが誰一人そこの存在を知るものはいなかった。

「まったくどういうことよ…なんで誰も知らないのよ、魔王に屈しない大国ならさすがに誰か知ってると思ったのに」

京子がそうぼやく


「マリア、本当にそんな国あるのか?」

俺がマリアにそう聞くとマリアは「間違いなく存在する」と言う。


「仕方ない、ここの奴らに馬を3人分借りて西に向かおう」

マリアの提案に俺たち二人は賛成する。



「本当に行ってしまわれるのですか…?私たちとしてはレジスタンスをあなたたちに率いて欲しいというのが本音なのです。」

新しい代表の老人がそう問う。

「あぁ…俺たちは早く魔王を倒さなきゃなんねーからな、それに…あんたらのことを残念ながら許すことは…俺にはできない」


「そうですか…それでは、せめてもの気持ちとしてこれを」

そういうと老人は俺にこの世界の通貨だというものをくれた。


「ありがとう、魔王は俺らが倒すから、安心してくれていい」

俺がそういうと老人は「お気おつけて…」と言い俺らを見送った。



2時間ほど進むと草原の真ん中に大きな館が建っているのを見つけた。

「そろそろ日が暮れそうだな…あそこに大きな館があるし泊めてくれないか頼んでみるか」

俺はそういうと館の近くに馬を止め館の扉を叩いた。


「どちら様でしょうか」

出てきた男は執事のような恰好をしていたが髪は乱れなにやら不気味な感じを醸し出していた。


「私たちは魔王を倒すために旅をしているものだ、今日はここに泊めていただけないだろうか」

マリアが頼み込む

「ここでお待ちください、旦那様に確認してきます」

男はそういうと奥へ行ってしまった。


「だ…大丈夫なのここ…すっごく怪しいんだけど…」

京子が少し怯えているがさすがに野宿はどんな危険があるかわからない。


少しすると男が戻ってきた。

「旦那様は構わないそうです、部屋を3つ用意しました。どうぞ私についてきてください」

男はそういうと俺たちを各部屋に案内した


「すぐに食事の準備ができますのでこのままどうか食堂のほうへいらしてください」

俺たちは男の言うことに従い部屋の場所を覚えた後食堂に向かった。


食堂で待っていること数分、執事の男はとても豪華な料理を運んできた。

「どうぞお召し上がりください」

男がそう言うと俺たちは料理を食べ始めた。


「なんだこれ、スッゲーうめーな!」

俺はこの世界に来てからしっかり食事をとっていなかったからガツガツと料理を平らげた。

ゲームの中の料理も意外といける!

「しかし妙だな…作ったばかりの料理なのになぜこんなに冷めているのだ」

マリアが何か不思議そうにつぶやく。

「そんなことどうでもいいじゃない、今は館の主人の好意に甘えましょう」

京子もそう言いながらおいしそうに料理を食べていた。


ふと周りを見るといつの間にか執事の男は部屋におらず

俺たち三人はそれぞせ食事を食べ終わると各部屋に戻っていった。


部屋の中は殺風景で寝るためのベットとその隣に机がおいてあるだけだった。

「まぁベットがあるだけマシか…別に宿じゃないんだし」

俺は机の上に武器を置く、すると武器は俺の体から離れた瞬間宝石の姿に戻る。

俺はすぐにベットに横になった

疲れていたのか俺は以外にも簡単に眠りについた。



「起きて類!やられた、私たちの武器がなくなってる!」

京子が慌てて俺を起こしに来た…武器がなくなったって…それがどうし…なっ!?

朦朧としていた意識が一瞬で覚め慌てて机の上を見る


宝石がなくなっている!

「しかし誰がこんなこと!」

「あの執事だ…さっき私が慌ててこの館を探し回った時、2階の一番奥の部屋に館の主人と思われる男とその妻と子供、そして下着だけの男の死体が転がっていた。おそらく奴はここに強盗に入りそのとき私たちが来てしまったから急いで私たちを適当な部屋に受け入れたんだろう」

マリアが悔しそうに言う


「でもあの武器は正義の心の持ち主にしか反応しないんだろ?強盗なんかが触っても何も起こらないだろ」

「そうとは限らないだろう、奴の狙いはおそらく宝石だったんだ」

俺の疑問にマリアがそう答える。

クソッ!なんなんだよいったい!あの武器がないと俺たちは魔王を倒せないじゃないか!


俺達がどうしようか迷っていたとき、館の扉が叩かれる音がした。

「だ、誰だろう…まさか…敵じゃないよね…?」

京子が怯えながらそういう、こんな時に襲われたらたまったもんじゃない!


「今日一晩ここに泊めてくれないか!」

しかし外から聞こえた声はどこか聞き覚えのある声だった。

この声って…いや…しかし。


俺は恐る恐る扉に近づきそっと開けた。


そこに立っていたのは紛れもなくマリア・オブライエン、彼女そのものだった。


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