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王女様の目指せリア充計画

作者: 美月一乃

魔王が世界に闇をもたらしていたのは今はもう昔の事。神に勇者として選ばれた男は、神の力を授かり戦いに赴いたが、勇者は神の力を使い魔王を倒すのではなく、その力を使い魔の国を纏める事で戦いを終結させた。

勇者は戦いの後に魔の国の王となり魔王の娘と婚姻を結び、王と王妃となった二人は、魔と人の二つの種族の境界線をなくす事に尽力していき、その努力の甲斐もあり現在ではアレンシア大陸を収める大国となり、王となった勇者は現在も王として国を治めていた。


現在その勇者と魔王の娘との間に生まれた一人娘のアリシアが王位を継ぐために、時折王の代理をしながら政務を学んでいた。

アリシアは月の光を編み込んだ様な黄色の髪に、アメジストの様な瞳。その姿は誰もが見惚れる容姿をしていたが、そんな彼女の悩みはただ一つ。


「リア充爆発してしまえ~~~~~~~~~~私も彼氏ほしいいいいいいいい」


未だ、彼氏が居ない事だった。

アリシア・レイノール(年齢:内緒)彼氏無・・・そろそろ、浮いた話も欲しい所だが、未だそんな話はなかった。


容姿も良く、家柄も王族と問題なし、それでもアリシアに浮いた話が出ないのには悲しい理由があった。


「仕方がないですよ。そのロリ体形では、どうしてもそっちの趣味と思われかねないですから」


どんよりと哀愁を漂わせながら、愚痴る姿はまるで子供のようだった。だが悲しいかなアリシアは既に成人を迎えており(見た目はともかく)、勇者の力・魔王の力の両方を受け継いでいた為、アリシアは高い魔力を身に宿し生まれ、肉体がその力を維持するには緩やかに成長するしか方法は無かった。

それ以外は居たって健康なのだが、ただ一つの弊害は成人した現在でもまだ子供(ロリ体形)の姿と言う事だった。

中身は大人と理解しても、その見た目のせいか未だ彼氏が作れずに、こうして毎日叫ぶのが悲しいかな、アリシアの日課になっていた。

城下では、アリシアの叫びを聞くことを密かな楽しみにしているの、未だ本人は知らない。


叫ぶアリシアの側で、書類整理をしていた宰相のレストは、慣れているので淡々と言いながら必要な書類をアリシアに渡した。


「叫んでも、好みの男は降ってきませんよ。それよりもこの書類に目を通してください、急ぎの書類ですので」

「相変わらず冷たいな~。本当良くそれで結婚できたよね」


レスト・フルーレル、最年少で宰相になった切れ者。仕事が妻と言うような仕事人間だったが、数年前に運命的な出会いを果たし結婚。

奥さんには激甘らしいが、仕事に対して超がドS人間と言われるレストだが、王宮での人気がいろいろな意味で高い一人。


「はい、はい・・サインしたから次に回してちょうだい。たく、何で私の周りには変態と相手持ちしかいないのかしら」


王族でもあり、次期女王の名は伊達ではなく、過去には何人もの候補が来ていた。それでもその殆どの相手は未だ幼い容姿のアリシアを異性とは見れず、ごく一部異性として見てきたのは変態だけだった。

結果、未だに伴侶どころか彼氏も居ないまま、叫ぶ毎日となっていた。


「無理ですよ。陛下に釣り合う家柄の者は変態が多いのですから、諦めも肝心ですよ」

「嫌」


真顔で即答する姿に言い知れぬ哀愁を漂わせていたが、レストはいつもの事なので気にすることなく、次の書類を用意していた。


「ですが、このままでは不味いと言うのをお忘れではないですよね?王は必ず伴侶を得ないと行けない、次代を残すのも王族の役目です。大臣達が自分達の息子を無理やり娶らせようとしますよ」

「あ~も、判ってるから。だから私も努力してるでしょ」


ぶつぶつ言いながら、サインをしているアリシアの姿にメガネに手を触れながらため息が漏れた。


「で、これで玉砕回数は何度目ですか?」

「ぐっ・・・・1579回目よ」


毎回毎回アプローチをかけるが尽く玉砕し、その度に落ち込み叫んでいるアリシアの姿にもう少し同情してしまう。


決してモテない容姿なわけではない。性格もまあ良い(超が付く猫かぶりだが)が如何せんお子様体形が足を引っ張っているとしか思えなかった。

アリシアには見せていないが、見合いの話はすでにいくつも来ている。ただ今はアリシアの意思を尊重して断っているが、いつまでそれが通用するか判らない。

それよりも番の問題はこの状況では愛妻との時間が全く取れないのが一番深刻な問題だ。最後に触れたのはいつだったろうか・・


「ねえ。考えに浸るのは構わないけど、駄々漏れしてるから全部口に出してるから。たく奥さんが大好きなのは分かるけど、さすがにそこまでディープな内容は聞きたくない」


本人(レスト)は気づいていないが、最近奥さんの事になると本音が駄々漏れになっていた。    最初はそうでもなかったが、禁断症状が出始めるのか最近は特に酷く、何件もの苦情がアリシアの元に着ていた。その中には奥さんである、レイラからも・・・


「レイラからもその癖を直して欲しいって相談されたのよ。惚気のオプション付きで、そろそろ自覚しなさい。周りも迷惑だけど、一番の被害者は私よ私。こちとら独り身で辛いのに、毎日毎日惚気話を聞かされるなんて拷問よ、拷問」

「陛下が独り身なのは、私のせいではないのですが。まあ、レイラの願いならば気を付けるようにします」


多分、無意識でまたやりそうと思う、そんなアリシアの予感は当たっていた。後日まだ被害の苦情がアリシアの元に届き、頭を抱えるのは言うまでもない。


「それよりも、私の旦那様になってくれる人をどうやって探すかが一番重要だわ。何かアイデアはないの?」


書類をまとめながら、レストは何言っているんだと言う表情を浮かべながら、書類を机に置いた。


「一番早い手段は、姫の魔力が安定するか、ありのままの陛下を好きになってくれるかですよ」

「今でも制御のピアスを使わないと難しい状態なのは知ってるでしょ。それ以外での方法はない?大人の姿には1日位なら維持出来るようになってきたけど、いまだ私の魔力の限界値は未知数のまま、女王業やるのには問題ないけど、恋愛するには不向きよ。ありのままも難しいって言ってるでしょ、それ以外の方法はないの?」


自分で考えて行動して、その結果は振られ王女の名が付きそうな状態。さすがのレストも不憫には思うが、中々いいアイデアが思いつかなかった。


「では、王妃様にご相談してみては?」

「無理、父様と新婚旅行に出かけたから。当分帰らないって置手紙あったもの」


アリシアの言葉にレストは珍しく大声を出しながら、驚きの表情を浮かべた。


「謀りましたね」

「何の話かしら?」


レストは無意識に額に手を当てていた。二人は言葉にはしていなかったが、アリシアの目指せリア充の道には大きな障害があった。

それは娘大好き元勇者で王でもある父親と今もご健在な元魔王の祖父の二人。


いつもは母を取り合うが同じくらいアリシアの取り合いも凄まじく、毎回喧嘩する仲なのに、アリシアが彼氏を探そうものなら、凄まじいコンビネーションでその計画を潰していった。

その度に、アリシアとアリシアの母であるレイシアから散々怒られていた。それでも全く懲りる様子のない二人に、アリシアはレイシアと相談し今回の旅行を決めたのだった。母達がこっそり旅行に出てしまえば、絶対に娘大好きな祖父は追いかけていくと踏んで。もちろん計画は大成功、少し前におじい様も旅行に出かけたと満面の笑みを浮かべるアリシアに、レストは何も言えなかった。


「目指せリア充~~待っててね~未来の旦那様~」


邪魔な二人が居ないせいかいつもよりテンションが高めなアリシアはさっそく、リア充計画を練り始めたのだった。




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