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超弩級超重ゴーレム戦艦 ヒューガ  作者: 藤 まもる
第1章 転生、目指せマタドール編
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第5話「バアルの風」

 8歳に成長しました。


 5歳の時に闘牛士マタドールになることを志し、今色々と訓練しているところです。


 とはいえ、前世では36年間。

 世間の冷たい風に当たった経験もあるので、実現できそうな中級を目指すことにしている。


 そして闘牛とは別口でよい稼ぎの本業に就くのが、現実的な妥協点だろう。

 闘牛は趣味っぽく。

 とりあえず今は探索者のスキルを獲得するのが先になる。


 体を鍛えるのは6歳からにして、俺はまずは勉強から始めた。

 親にねだって算術と国語のテキストを買ってきてもらう。


 算術は四足演算まで。

 別にわざわざ勉強する必要は無いのだが、親に勉強した証拠を見せないといけない。


 国語に関しては日常レベルは問題ないが、専門的なものや、難しい言い回しは自信がないので、別途、勉強していった。

 家にあった本は全部読破した。


 その後は、下地作りのための魔力と体力の鍛錬だ。

 本によれば魔力と体力は相互補完的なものらしく、体力が尽きれば、かわりに魔力が注がれて体を動かし、逆に魔力が尽きれば、体力を魔力変換して、魔法が使えるらしい。


 この魔力と体力を一緒にしたのが、ステータスの数値でいう「ヴァイタル」なのだそうだ。


 魔力は子供の時から沢山使えば伸びるらしいが、才能がいるらしく、努力してもダメな奴はダメらしい。


 鑑定やステータスを使うと魔力が消費されるようなので、魔力の鍛錬は、当面これで魔力を使って行なうことになる。


 体力の方は軽いマラソンをすることにした。



 6歳になり父から戦闘の手ほどきを受ける。

 闘牛士マタドールには、探索者や冒険者をする時の独特の戦闘装備がある。

 昔からの伝統らしいが、必ずこの装備を着けなければダメな訳では無い。


 が、一目で職業が闘牛士マタドールと分かるので、

 自分の名を売ったり、思わぬ闘牛の仕事が入ることもあるので、

 父に装備を勧められた。


 メイン武器は、ガントレットと細身の刃が一体となった手甲剣セスタ・エスパーダ

 パタという特殊剣を使いやすいよう改良したものらしい。


 サブに湾曲短剣ファルカタ。背中に投擲用の短槍ショート・ランザー2本を担ぐ。


 防具は真っ赤な色をした赤盾レッド・エスクードに鎧。

 そして兜はモヒカンタイプでないとダメらしい。

 上記の武具は、町にある闘牛武具専門店で手に入る。


 俺の場合は、父が子供の頃使用していた武具があるので、再整備してそれを使用する。

 何故だか武具が黒に着色されて帰ってきたので、服に黒の武具を装着して訓練をおこなうことになった。



 まずは総合剣術デストレーサ

 この世界で一般的な剣術で、

 剣とマント、剣と盾、剣とラウンドシールド、

 両手剣、薙刀、短剣までの扱いを含めた総合剣術だ。

 まず剣と盾の基本の習得がメインとなった。


 まずは剣の基礎。

 剣の攻撃は3種類に分かれる。


カット  武器に武器をぶつけて、敵の攻撃を中断させる。

スラスト 体を前に出しての突き攻撃。

マッシュ 打ち下ろし、切り払いによる斬撃。


 この基本的な攻撃を繰り返し反復練習する。

 対人戦ならカットとスラストしか使用しないが、

 魔獣は自分の防御を無視して突っ込んで来ることが多いので、

 マッシュという、斬撃攻撃も必要となる。


 攻撃の基礎の次は、フットワークだ。

 まず直線的に敵に接近せず、

 相手の得意な攻撃角度に入らないようジグザグに接近する。


 自分が攻撃する時に、もっとも攻撃力が高くなる角度は、正面からやや右側だ。

 その角度に自分の攻撃位置を持っていく。

 正面からやや右側に敵を捉えられるように、足さばきを行なって、体を移動させるのだ。


 当然、敵も同じような角度を取ろうとするので、

 相手の攻撃最適角度に入らないことも必要だ。



 その次は応用。

 自分と敵の攻撃範囲の仮想円での概念的な視覚化。

 この仮想円を使っての敵との適正距離の維持。

 相手の攻撃が届かず、こちらの攻撃が届く距離、角度が理想的だが、

 沢山練習しなければモノにはならない。


 盾を活用する場合は、盾を前面に押し出して攻撃をカット。

 最適な角度で剣でスラスト。

 状況によってシールドバッシュで、カットか攻撃も狙う。


 最後に高度な武器の使用。

 バインドという武器と武器の刃合わせで、

 相手の武器の動きをコントロール。

 相手の攻撃を封じたり、武器を飛ばしたりする。



 手甲剣セスタ・エスパーダは手甲に剣がそのまま着いているので、使いにくかったが、慣れてくると安定した攻撃が繰り出せるようになった。


 基本的な動きと応用がそこそこ出来るようになった時には、【特殊剣術レベル1】のスキルを得ることが出来た。


 いきなり上達すると怪しまれるので、1ヶ月経過後、スキルポイント10Pを消費して、特殊剣術レベルを1から2に上昇させた。


 こういった生活を8歳まで続けていると、自然とレベルが3に上昇していた。

 ヴァイタルも上がったが、正直体の成長か鍛錬の結果か分からないので、成果が見えにくい。


 他にもスキルを取得する可能性もあるので、ポイントは使わないでおく



レベル3


ヴァイタル 47/47


スキルポイント 40P


特殊種族スキル 【魔王レベル3】

特殊種族魔法  【封印中】


スキル(1/20)

【特殊剣術レベル2】





    超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ

   ⇒第1章 転生、目指せマタドール編





 夏のある日、空はどんより曇っており、風は徐々に強くなっていた。

 今年もこの季節がやってきた。

 台風シーズンだ。


 俺が住んでるバレンシア領は、レオン王国の大陸から西に突き出した半島で、漁業が盛んだが台風の通過ルートでもある。


 とはいえ、直撃することは滅多になく、大抵横を通り過ぎるのだが大量の雨雲がやってきて、毎年夏には付近に大雨を降らす。


 そんなときに限って

 「ちょっと畑の様子を見てくる」

 「ちょっと川の様子を見てくる」


 とフラグを立てて、外に出て死亡したり行方不明になる人が、リリアの町だけでも毎年3人は出る。


 レオン王国の、最新の観測技術のある国立気象研究所によれば、台風の原因は、暴風神バアルが、南の海でうちわを扇いで起こす風が原因なんだとか。

 毎年死者がでるのは、バアル神の呪いらしい。


 俺は最初聞いた時は吹きそうになったが、レオン王国の人間は普通に信じてる。

 というわけで、この世界では、台風のことを「バアルの風」と呼んでいる。


「ただいまー」


 と役所にいっていた父アベルが戻ってきた。

 

「お父様、それで今回のバアルの風は直撃するのですか?」

 

「そのようだ。観測所の話によれば可能性がかなり高いらしい」


 このリリアの町から南に行くと、エルチェの町がある、ここに気象観測所があり、台風の監視も行なっている。

 

 直撃が予想された場合、付近に早馬で警告を出すので、父は役所に確認していたのだ。


 俺と父は大工道具を準備して窓に板を打ちつけ始めた。

 近所に家も同じように、窓を封鎖しているため、 

 周辺には沢山のハンマーの音が聞こえる。


 うちの家は1階だけ窓ガラスなので、封鎖は1時間で完了する。

 どの家も雨戸などは無いし、鎧戸みたいなものは、金持ちの家にしかないのだ。


 と、今年で5歳になる妹のマリベルが走ってきた。


「おに~ちぁ~ん。なにしてるのー?」


 俺は妹を抱き上げて頭をなでなでしてあげる。

 最近妹はしっかり走れるようになり、家中を動き回っている。


 どういうわけか俺にすごく懐いていて、前世では一人っ子の俺だったが、この妹の殺人的な可愛さにいつもメロメロになっている。


 妹とはかくも可愛いものだったのだな。


「バアルの風が来るんだよ。だから家でおとなくしてような」


「なにそれー?」


「強い風と雨が沢山降るんだよ。危ないから家に隠れるんだ」


「うん。わかったー」


 俺達は家の中に入る。父は排水能力を高めるため「土木魔法」を使用して中庭に溝を掘る。

 

 父の副業で、土木魔法で畑を耕したり工事を手伝ったりして、結構儲けてるらしい。

 俺もいつか教えてもらわなくちゃな。


 日が暮れてから、リリアの町を大雨と雷が襲った。

 普段は夏でもカラッとした暑さなので過ごし易いのだが、

 台風が来ると日本並みに湿気が増加するので、

 うっとおしいことこの上ない。


 ゴロゴロ、ピカッ、ピシャーン


 雲が光り大きな雷音が炸裂する。

 大粒の雨が屋根を叩く音が響く。

 大風が家にぶつかり軋む。


「おにいちゃん、こわいよぅ」


 雷の音を怖がった妹が俺に抱きついてくる。

 俺は妹を抱きしめて一緒に布団に入る。


「ここなら平気だよ。今日は一緒に寝ような」


「うん」


 妹を安心させるために頭をなでてあげる。

 しかし雷の音がするたびに、妹の体はビクッと反応してる。

 そうだな。俺も子供の頃は雷が怖かったよ。

 今も子供だが。


 10年後妹が成長したらどんな感じになるんだろうかな?

 なにせ俺の外見が親とは違うからな。

 俺が両親の子供じゃないと、成長すればすぐに気づくだろう。

 

 今は懐いてるが、その頃にはよそよそしくなってるかな。

 俺が魔王だとバレると嫌われるかもな。


 将来のことを考え、少々鬱になりながら、俺は妹を優しく抱きしめた。



 

 次の日、台風が過ぎてから外の出て、町の様子を見て回る。

 所々で壁が壊れて、屋根が吹き飛んだ家を数件みつけた。


 魔獣の皮や布で覆って応急処置がしてある。

 そして中央通付近を歩いていると、そこに死体が転がっていた。


 おじいさんらしき死体で、頭に何かがぶつかった痕がある。

 付近にレンガが転がっていたので、おそらく強風で飛ばされたレンガを頭にぶつけたのだろう。


 道行く人はそこそこいたが、死体を一目見るだけで、そのまま通り過ぎる。


 これは別に町の人が冷たいわけではなく、死体の回収は憲兵の仕事で、関係ない人間が勝手に死体を動かすと、あとあと問題になる可能性があるからだ。

 法律でも死体を触ることが出来るのは憲兵だけとなっている。


 しかし、憲兵の動きは遅く、普通の状況でも回収までに半日近く死体が放置されることは珍しくない。


 現在は台風の後始末もあるので、下手すれば丸1日間ぐらい放置される可能性すらある。

 前世の日本なら死体はすぐさま隠されるが、この世界では死はあけっぴろげで身近でもある。

 

 今回はバアルの風が死因なので、町の住民は、「バアルの呪いで魂が持っていかれた」と解釈するのだろう。


 俺も8年この町で暮らしたが、行き倒れの女性やら子供。

 年寄りの死体など6回ほど目撃してる。

 もはや馴れたもので、俺も普通に通り過ぎる。

 

 それにしても、命というものは儚いものだね。

 



 台風が過ぎ去った3日後、訓練を終えてから部屋でくつろいでいると、父アベルと母イレーネがやってきた。

 

「ソール、少し話があるんだが。いいかな」

 

「は……、はい」 


 なんだろう二人揃って話とは、

 ひょっとして、アレのことかな


 俺達は中庭を通って居間に行き、向かい合って座った。

 しばらく沈黙が支配していたが、

 父アベルが静かに切り出す。


「最初に言っておくが、俺はお前のことを本当に愛してる。マリベルと同じようにソールにも接してきたつもりだ」


「私もよソール。私もあなたを愛してるし、自分の子供としてキチンと育ててきたつもりだわ」


「もう気がついているかも知れないが、お前は歳の割には聡明だし、この事実をきちんと受け止められると思う。だから俺達はソールに真実を伝えることにしたのだ」


 ああ、なるほど。

 二人は俺を拾った時のことを話すつもりなんだな。


「実はなソール。お前は…、俺達の本当の子供ではないんだよ。親は別にいる」


「はい……」


「はいって、お前、まさか……」


「ええ、ボクがカプセルで海を漂流していたのは、憶えています」


 二人は顔を見合わせる。

 少し安堵した表情になった。


「にもかかわらず、ボクを拾って育ててくれた父さん、母さんには感謝しています」


「ソール……」


「ごめんねソール。あなたを傷つけたくないけど、私達は人間族で、あなたは魔族。外見が違いすぎるから、誤魔化すのは無理、だから本当のことを話そうと思ったのよ」


 母イレーネは立ち上がり、涙を流しながら俺を抱きしめてくれる。


「でもソール。私達はあなたのことを大切に思ってる。最近頑張ってるけど、あなたが邪魔だと思っている人はいないわ。だからずっとこの家にいていいのよ」


「母さん……」


 ああ、俺こういうの弱いんだよね。

 やっぱ俺が早く自立しようとしているのを両親は気がついていたわけね。


 居候なのに、こんなによくしてくれて…


 俺は二人に拾われて本当によかったよ。

 父も俺の肩に手を置いた。 


「父さん、母さん。ありがとう。ホントに……」


 俺は知らないうちに泣いていた。

 二人としばらく抱きしめ合った。




 しばらくたって、落ち着いてから、二人は俺を拾ったときのことを話し出した。


「あなたのカプセルを拾った場所は、この町から海沿いに、南に1時間ほど歩いた所にある雑貨迷宮の、近所の砂浜よ」


 その日、イレーネはどうしても雑貨迷宮のすぐ横の古代遺跡を見に行きたくなったそうだ。

 それで結婚間も無い父と一緒に、丘の上の遺跡に向かった。ふと海を見ると、何か見慣れぬものが砂浜に打ち上げられているのを見て、様子を見にいった。


「あのカプセルの中にソールがいたから、私本当にビックリしたの。でも運命的なものを感じたわ……」


「それで数日世話をして、何か情が移ってしまってね。自分達の息子として育てようと思ったんだ」 


 やはりそういうことだったのか。

 そして、頭の角が6本あることから該当する魔族の種類を色々調べたらしいが、種族は特定できなかったようだ。


 俺の種族、ヴァイキング。

 イメージ的には北欧の海賊しか浮かばないが、この世界では魔族の種族らしい。

 両親にも聞いてみたが


「ヴァイキング……、聞いたことは無いわね」


 という反応だった。

 未知の魔族なのか……


「ソール、例のカプセルは倉庫に保管してる。それを見れば何か思い出すかも知れん。」


 俺が思案していると父アベルがそう提案した。

 俺達は倉庫の奥に保管してあったカプセルの所へむかう。


 そこには、小さな船の形のような丸みのある金属カプセルがあった。

 材質はミスリルで、何かの魔法が付与してあったらしい。

 カプセルには見たことの無い文字が掘り込まれていた。

 相当に手間のかかった一品だ。

 母は蓋を開けて中から金のネックレスを取り出す。


「これはあなたの首に、最初からかけられていた物よ。彫られている文字は古代ルーン文字でね。魔法ギルドの詳しい人に解読してもらったら、ソールヴァルド、と書かれているそうよ。多分これがあなたの名前なのだと思って、そう名づけたわ」


 なるほど、そうやって俺の名前を決めたのか。

 てっきり親が考えて付けたのかと思った。


「それと……、これを見て……」


 カプセル内部の床板を外すと、そこには煌びやかな財宝が出てきた。

 宝石、黄金、金貨、工芸品、宝飾ナイフ、装飾品など。

 これとんでもない価値があるんじゃ……


「この財宝には一切手をつけて無いわ。これはソールの財産だから、あなたが成人したら自由にすればいいと思う。」


 両親は律儀にもカプセルの財産を保管してくれていた。

 ホント尊敬するわ。俺のことを大切にしてくれてる。


 ただこれ、どう考えても俺が邪魔だから捨てられたって感じじゃないよね。 

 拾われた後のことも考えてる。


 ということは、この地でなんらかの使命があるのか?


 その使命を果たすためにここに流された?


 よくは分からんが、その古代遺跡と雑貨迷宮。異常に気になるな。

 どうしても行かなければいけない気がする。


 直感だが。


 何か大切なものがある。 




    第5話「バアルの風」

   ⇒第6話「鍛冶魔法のひらめき」


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