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超弩級超重ゴーレム戦艦 ヒューガ  作者: 藤 まもる
第5章 レムノス島開発編
59/75

第49話「魔王様、缶詰を開発する」

エスパーニャ暦5542年 2月3日 14時00分

魔王城4階  


 2千トンドッグを完成させて2月に入った。

 俺は魔王船に帰還、ドックを建築していたスプリガンは首都建築に戻した。

 魔道具開発は、あらかじめ引き抜いていた、スプリガン10名と共に1月中旬より研究、試作を行なっていた。


 現在のところ、100トン級造船所も順調に稼動しており、カッター艇はこれまでに12隻が完成。

 首都の完成率は30%に到達。


 今日は、何の設備も置いていない魔王城4階の空きスペースを利用して、開発した魔道具の品評会を行なった。

 局長、婚約者達を集めて、魔道具の発表と使いごごちの感想を聞くためだ。


「えー、それでは生活魔道具をこのフロアに展示しましたので、使用しての感想など、忌憚なき意見をお願いします」



 展示した魔道具は8種類。

 俺とスプリガンで作った生活魔道具だ。

 ここでの意見を参考に、手直しして生産に回す手筈になる。


 皆はさっそく興味を持った魔道具へと向かった。

 俺はまず扇風機関連の魔道具を展示しているスペースに向かう。

 開発した扇風・送風機は全部で3種類だ。



■家庭用魔導扇風機 魔風扇

家庭用小型魔導扇風機。

魔法による心地よいなめらかな風をお楽しみください。


・切り替えスイッチによる、強・弱運転

・スタイリッシュな外観

・3つ星・4つ星魔力結晶使用


―――――――――


■工業扇 大魔風

業務用大型魔導扇風機。

工房で、食堂、宿屋で使用できます。


・切り替えスイッチによる、強・弱運転

・4つ星・5つ星魔力結晶使用


―――――――――


■魔導冷風機 冷え冷え魔王君

窓枠に取り付け可能な冷風機。

強力冷風で、涼しい夏を過ごせます。


・切り替えスイッチによる、強・弱運転

・窓枠簡単取り付け材付属

・5つ星魔力結晶使用



 扇風機は以前リリアで作ったものの改良版だ。

 新たに制御用魔法陣を足して、強・弱運転できるようにした。

 なかなか良い魔道具に仕上がったと思う。


 しかし「冷え冷え魔王君」はねぇ。

 こいつはクーラーじゃなくて冷風機なんだよ。

 つまり、稼動している状態の時だけ涼しいんだ。


 地球みたいな室内クーラーだと、室外機を付けるために壁に穴を開けないといけないからな。

 だから工事不要の窓付きにしたが、外気を吸い込んで、冷却したダクトを通して冷たい風を送り出す仕組みなので、部屋を密閉できずに、スイッチを切るとすぐに部屋の温度が戻ってしまう。

 魔力のロスもけっこう大きいし、ぶっちゃけ高性能とはいいがたい仕上がりになった。


 これらを見た皆は、扇風機を一様に絶賛してくれた。

 が、「冷え冷え魔王君」は評価が分かれる。

 セシリータさんの意見。


「魔風扇は間違いなく売れます。一般家庭から貴族まで幅広く使用されるでしょう。大魔風も業務用として使えます。ただ冷え冷え君は、よほどの金持ちか貴族しか買わないと思います。もう少し小さくて価格が安ければいいんですが」



 次は冷蔵庫関連。

 冷蔵庫は2種類作った。



■軽量魔導冷蔵庫 氷の黙示録

今までに無かった軽量冷蔵庫。

効率的な魔力使用と、レール引き出し式の棚で、食材を簡単に取り出せます。


・3段引き出し式

・効率的な氷冷却

・高級オーク材使用

・4つ星・5つ星魔力結晶使用


―――――――――


■小型魔導冷蔵庫 スノーフェアリー

今までに無かった超小型冷蔵庫。

野外へのお出かけへも持っていけます。


・小型軽量、ワイン瓶3本の収納量

・高級オーク材使用

・3つ星魔力結晶使用



 俺の魔法陣縮小技術で、大幅に軽量化、小型化に成功した。

 おおむね皆の評価は高い。マリオ局長の意見。


「こいつは素晴らしい発明です。軍から一般に至るまで幅広い需要を見込めるでしょう。特に野外でも使用できる小型冷蔵庫がいい。夏場の移動には必須の装備となることでしょう」



 次は洗濯機。

 魔導式と手動式を作ってみた。

 しかし手動式は機構が簡単なので、簡単にパクられるだろう。



■手回し式洗濯機 デビルサイクロン

ハンドル手回し、楽々お洗濯。


・本体木製。フィン及びハンドルは金属製

・脱水用ゴムローラー

・らくらく移動キャニスター


―――――――――


■魔導洗濯機 サタンウォッシャー

魔導モーターの回るフィンで、全自動でお洗濯。

衣類を沢山洗えます。


・本体鉄製

・脱水用ゴムローラー

・らくらく移動キャニスター

・切り替えスイッチによる、強・弱運転

・30分タイマー付き

・4つ星・5つ星魔力結晶使用



 皆の評価は正直微妙。

 しかし意外な部分がウケた。

 パッツィ、イレーネの意見。


「これはねぇ。一般で買う人ほとんどいないんじゃ無いかしら。完全に業務用と考えたほうがいいでしょう。洗濯屋が沢山買いそうね」


「でもこの脱水用ゴムローラーは凄い発想だわ。手で絞るのを考えたら、こっちのほうが少しは楽よ。これだけ商品として売って欲しいわ」


 というわけで、脱水用ゴムローラーだけで商品を作ることになった。

 しかしこれも機構が単純なので、すぐ真似されるだろう。

 ゴムローラーは迷宮で獲れるしね。


 最後は瞬間湯沸かし器だ。

 こいつの評価は悪かった。

 結構凝った作りだったんだけどなぁ。



■魔導瞬間湯沸かし器 魔力ジョーズ1号型

スイッチ一つでお湯が出来ます。

後は蛇口を捻るだけ。

魔力を上手に節約。


・本体鉄・木製

・貯湯タンク4リットル

・ワンタッチスイッチ

・4つ星・5つ星魔力結晶使用

・安全タイマー

・使用中ランプ付き



 生活魔法杖でもお湯が出せるので、それと比較すると値段が高すぎるらしい。

 問題は水汲みで、今のところバケツで水を入れるしかない。

 水道が普及しないかぎり売れないだろうとのこと。


 まあ作ったものはしかたない。

 売ってみてダメだったら、レムノス島や魔王船で使えばいいだろう。



 手動式以外の魔道具は、俺の縮小魔法陣が使用されているが、どうやらこの技術は一般で使用されている形跡が無いようだ。

 つまり希少価値が極めて高いと考えられる。

 なので、魔法陣部分は鉄のブラックボックスで覆い、結界魔法を掛けておいた。


 ブラックボックスを無理やり開けようとすると、内部の魔法陣が灰になる仕掛けで、これで魔法陣の秘密は守られる。

 縮小魔法陣の作り方を知っているのは、俺と召喚組スプリガンのグスタフと数名のみであり、外部への情報漏洩の心配はないだろう。





    超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ

   ⇒第5章 レムノス島開発編





 さて、魔道具もあとは少し手直ししてから生産に入る。

 俺は第6デッキの産業区で、新たに工房を作ることにした。


 現在第6デッキ右舷第1ブロックでは、木材工房6ユニットが稼動している。

 ここに脱水ゴムローラー製造工房を1ユニット追加。

 商品梱包のための木箱と樽の生産のために、木材工房を2ユニット追加。



 次に右舷第2ブロックに製造工房を召喚。


「魔風扇」2ユニット

「大魔風」1ユニット

「冷え冷え魔王君」1ユニット

「氷の黙示録」2ユニット

「スノーフェアリー」2ユニット

「デビルサイクロン」2ユニット

「サタンウォッシャー」1ユニット

「魔力ジョーズ1号型」1ユニット


 合わせて製造工房を12ユニット召喚、設置した。


 1ブロックにつき12工房まで設置できるので、これで右舷第2ブロックはフルで工房設置が完了。

 各工房にはリーダーとしてスプリガン1名を配置して、人を集めて魔道具の生産を行なう。

 人の募集と工房稼動準備はグスタフに丸投げしておいた。


 とりあえず扇風機と冷蔵庫2種、手動式洗濯機の工房を2ユニットにして、生産量を増やす予定だ。

 売ってみないと何を増産すればいいか分からないが、とりあえずこれで行ってみることにした。



 工房設置を終えた俺は、次はパッツィ、作業用スケルトンと共に魔王牧場に行き、リリアから持ってきた家畜をレムノス島に移送する作業に着手した。

 2日間で、家畜達は開拓村横の牧場に移送完了。


 開いた魔王牧場に、魔王船用家畜を召喚した。

 専用だけあって、どの家畜も凄い能力を持っているが、魔王牧場の草でなければ飼育は無理らしい。

 召喚したのは4種類だ。



■角魔黒豚

繁殖力が凄まじい家畜豚。

1ヶ月で繁殖力可能な成体になる。

1度の出産で、子豚を10匹生む。

妊娠期間1ヶ月。

肉質は美味。


■魔鶏

卵の量産力が凄まじい家畜鶏。

1日に10個卵を生み、1年中ペースが変わらない。

卵はおいしいが、肉はまずい。


■魔乳牛

ミルクの量産力が凄まじい家畜牛。

妊娠しなくてもミルクを出し続ける。

1日に50キロのミルクが取れる。

ミルクは上手いが、肉はまずい。


■魔王牛

超高級牛。

最高の肉質と味を誇る。

1年に1頭の子牛を生む。



 ようは最小の頭数で、大量の消費をまかなうために特化した家畜なのだろう。

 しかし角魔黒豚は凄まじいな。

 鼠並みの繁殖力だわ。


 魔王船でしか飼育できなくて良かったよ。

 こんなもん野生化したら、この世界が豚に埋め尽くされるわ。


 召喚数は、角魔黒豚20匹、魔鶏40匹、魔乳牛20頭、魔王牛10頭とした。

 豚の繁殖力を考えると、これぐらいが限界だと思う。

 来月には子豚が60匹ぐらい増えてるだろうしね。


 しかし期待外れではあった。

 ここで売れそうなのは魔王牛ぐらいしかないが、数が少ない。

 牧場のスペースが限られるから、貴族への贈答品程度にしか使えないな。

 家畜肉の外部への輸出は不可能だ。




 というわけで、俺はもう1本の収益の柱と考えている商品を開発することにした。

 それが缶詰開発だ。


 俺は地球で、若い頃に缶詰工場でバイトとして働いたことがある。

 なので、缶詰に関しての知識はある。


 この世界は幸いなことに、長期保存か可能な食品は、干し肉、乾燥野菜、ドライフルーツ程度しかなく、保存魔法でも鮮度は3日しか持たない。

 魔法の保存倉庫はあるが、魔力結晶が必要になる。

 缶詰は魔力も使用せずに長期保存できるので、作れば売れるだろう。



 まず缶詰の開発だが、最初にブリキ缶と缶切りを作る。

 それからこの世界向けにアレンジした生産工程を確立しなくてはならない。

 缶詰の工程はこの通り。


 原料の調理・注液 ⇒ 脱気 ⇒ 密封 ⇒ 殺菌 ⇒ 冷却 ⇒ 打検・荷造り ⇒ 出荷


 その中で缶詰工程の肝になるのは、脱気・密封・殺菌・冷却だ。

 作業場がクリーンな環境で、先ほどの4つの工程が上手く行けば、他が多少問題が出ても、大きな失敗にはならないだろう。



 まず俺は鉄の薄い缶「ブリキ缶」を鍛冶魔法で試作した。

 地球の缶詰では、ブリキ缶内部に腐食を遅らせるようスズのメッキをしているが、こいつは鍛冶魔法「硬化」で代用する。

 これでも腐食は遅らせることが出来るはずだ。


 次にブリキ缶の蓋を閉めて、鍛冶魔法で作った缶切りで開けてみる。

 キコキコしながら、蓋を開けることに成功した。


 うむ。懐かしい。

 最近の地球の缶詰は、缶切り不要なものが多いので、久々の体験だった。

 俺は実験場所を魔王城6階のレストラン「ビストロ・デ・ルシファー」の調理場に変え、缶詰に入れる料理を作る。


 といっても材料、調味料とも不足しているので、たいした料理は作れない。

 なので「魚肉入りの魚介スープ」というシンプルなものにした。

 色々な魚介類を突っ込んでダシをとり、塩で味を調えたスープを作り、その中にタラの切り身を突っ込んで煮ただけの料理だ。



 できた料理をさっそく缶詰に詰め、蓋をしめる。

 スープは満タンまで入れておく。

 缶詰は全部で10個作った。


 さて、ここからが次の工程「脱気・密封」だ。

 脱気は缶詰内の空気を抜くことにより、腐食を防ぎ、長期保存できるようにする。


 俺はあらかじめ作っておいた金属の箱を準備する。

 この魔法陣には「窒息」の魔法が仕掛けられている。

 窒息の魔法は、部屋の空気を抜いて相手を殺す罠などに使用されるが、部屋が密閉されて、なおかつ大量の魔力が必要なので、使えない魔法に分類される。


 こいつを魔力を最小限にして、缶詰にかけてみた。

 すると、蓋が若干へこむのを確認できた。

 よし、脱気・密封は成功だ。



 俺は脱気した缶詰を、自作した魔導オーブンの中に入れる。

 このオーブンで缶詰を温めて、中の雑菌を死滅させるのだ。

 工場では120度で1時間半加熱していた。

 食中毒菌でもっとも死なないのがボツリヌス菌で、胞子が死滅する温度が120度なのだ。


 ブリキ缶は熱伝導性が高いので、その温度まで魔導オーブンで缶詰を加熱できるだろう。

 もっとも、この世界にボツリヌス菌がいるかどうかは定かではないが。


 40分程度熱してから、熱々の缶詰を1つ取り出し、缶切りで蓋を開け、百貨迷宮で入手された温度計を中心部に突っ込んだ。

 この温度計は作りが甘いので、そこそこの精度でしか温度を測れない。


 温度計は124度あたりを指していた。

 よし、一応合格だ。


 これで工程「殺菌」もいけるだろう。

 ちなみに地球では「オートクレーブ」という機械を使って、蒸気で缶詰を加熱することが多い。

 缶詰殺菌以外でも、医療器具の消毒にも使用できる。

 このオートクレープは、蒸気を加えて圧力釜のように室内に圧力をかける。

 圧力釜の開発、圧力計等をつけなければならないので、開発のハードルが高く、今回は開発を見送った。



 俺は1時間半加熱した缶詰をオーブンから取り出し、水の中に放り込んで「冷却」を行なう。

 1時間程度放置し、冷却が終わって缶詰が完成した。

 これで缶詰製造工程は終了だ。



 俺は誰でもこの作業が出来るように魔道具を開発していく。

 まずはブリキ缶と蓋、缶切り。

 こいつは魔導複写機でコピーする。


 魔導複写機は、鍛冶魔法レベル5「複写」をかけることで、金属品のみ複製を作ることができる魔道具箱だ。

 魔力は使うが、ブリキ缶製造はこちらのほうが効率が良い。


 それから鍛冶魔法「接着」で缶の蓋を閉める魔道具箱、缶を加熱する魔導オーブンも作った。

 これで鍛冶魔法が使えない者にも、缶詰製造が出来るようになった。


 缶詰の種類は2種類。


・タラの魚肉の魚介スープ漬け

・ムール貝の魚介スープ漬け


 とすることにした。



 俺はさっそく第6デッキの産業区に向かい、右舷第3ブロックにタラ缶詰製造工房6ユニット、ムール貝缶詰製造工房6ユニットを召喚。

 これで第3ブロックも工房は満タンだ。


 あとはスプリガンと獣魔ハムスター族キャンベル種を呼んで、缶詰の作り方を伝授。

 人員募集、缶詰製造準備を彼らに丸投げしておいた。





 一仕事終えた俺は、気分転換のために魔王船自然区画に足を運んだ。

 今は夕方前だが結構な人手で賑わっている。


 以前ソフィアとデートした時に自然区画を整備したんだが、住民も楽しそうに利用しているようで何よりだ。

 喫茶店もほぼ満室だし、クレープ屋やアイスクリーム屋も繁盛している。


 魔王海浜公園では、子供達が遊具で楽しそうに遊んでいる。

 魔王池では、ペダルボートが2隻、遊覧ボート2隻が池に出ていた。



 おっ。

 ペダルボートにエヴァートンハーレムが乗ってるぞ。

 あれは4人乗りのアヒルさん3号だな。


 ペダルはエヴァートンとチキータが漕いでいて、後ろの席にセレスティーナが座っている。

 皆笑顔で、チキータは笑いながらエヴァートンやセレスと談笑している。


 ああ、仲直りしたんだな。

 一時は心配したけど元の仲に戻ってよかったよ。


 嬉しそうだなエヴァートン。


 毎日3P、楽しんでるかい?



 はあっ。

 それにしても3P…… 3Pかぁ……



 おいおいエヴァートン。

 勘弁してくれよ。

 お前のせいで、俺の思考が3Pにロックされてしまったじゃないか。


 うちのハーレムで3Pしてくれそうなのは誰だろ?

 パッツィ、ソフィア。

 うーん。

 あの2人はダメだな。


 ソフィアとか子供っぽいしぐさだけど、中身は意外と大人だからなぁ。

 パッツィと譲り合いしそうだわ。

 やっぱ3Pだと女の子のほうからガンガン来るほうがいいよね。


 ということはマリベル&マルガリータのほうが、3Pがやりやすいか。



ホワンホワンホワン


 俺の膝にはマルガリータが乗っていて、俺と熱いキスを重ねていた。

 と、そこへマリベルがやってくる。


「ちょっと、そこは私の指定席よ。マルガリータはどいてよ!」


 マリベルは強引にマルガリータを引き離し、俺の膝の上に乗った。

 俺とマリベルがキスを重ねていると、今度はマルガリータが邪魔をする。


「……マリベルうざい。お兄様は私のほうが好きなのよ」


「そんなことないわよ。だったら勝負する?」


 そう言って2人は服をポイポイ脱いで、スッポンポンになった。


「「ねえ、どっちが好きなの?」」


「いやぁ…… それは」


 2人は俺にどちらかを選ぶことを迫った。

 俺は眼前に展開する2人の裸体をガン見するも、結論は出ない。


「もう、だったら私のほうが色々上手なのを見せてあげる!」


 マリベルは俺を押し倒して奉仕を行なった。


「……マリベルはヘタクソ。私のほうが上手い」


 そこへマルガリータが参戦。

 2人同時に奉仕を行う。


 うおっ。

 ちょっと待て。

 いくら魔王の俺でも2人同時は厳しいぞ!


 あああ、ちょっと。

 それを右に倒したり左に倒したりしない。

 ジョイスティックじゃないんだから!


ホワンホワンホワン



 ハッ。

 思わず高度な妄想に浸ってしまった。

 やっぱ3P出来そうなのは、あの2人だな。

 今度2人一緒にデートしてみようかな。





 2月13日。

 最初の試作缶詰を作って、約2週間が経過。

 残っている9個のうち1個を開けて、蓋を開けて試食を行なった。

 まあ腐ってたら蓋が膨らむので、すぐ分かるんだけどね。


 匂いや食感、味に問題はなかった。

 魚肉を食べて、スープを飲み干す。

 うん。なかなか美味いな、これは。


 蓋を開けて加熱すると、さらに美味くなるだろう。

 まず魚肉を食べて、残ったスープをそのまま飲んでもいいし、パンに浸したり、米を入れてリゾットにしてもいい。


 よーし。

 缶詰はいい出来だ。

 俺はスプリガンに命令を出して本格的な生産開始を指示した。

 

 そしてレムノス島でも缶詰を製造するため、シーエルフの村長を呼び出す。

 謁見室で相談を行い、シルビア村、アシュレイ村でも缶詰製造を行なうことにした。

 缶詰で年貢を納めることも認める。


 さっそく俺の指示でスプリガン10名が村に向かい、缶詰工場を建てにいく。

 予定では3月の頭頃に缶詰生産を行なうことが出来そうだ。



 2月15日。

 魔王船での缶詰生産を開始した。

 まだ作業に不慣れで、生産数は多くないが、そのうち軌道に乗るだろう。


 100トン級造船所のほうだが、すでにカッター艇16隻を建造完了。

 昨日、1トン級漁船2隻が完成した。

 この漁船は優先的にシーエルフに回される。

 缶詰を作るには材料がいるからな。


 首都の完成率は現在38%だ。



 2月20日。

 久しぶりにスプリガンのグスタフがやって来た。

 魔王船造船所で作っていた新型艦が完成したのだ。


 ついに出来たか。

 さっそく必要な装備を詰め込み、出航準備を行なう。

 まずは公試だ。


 試験を行なって能力に問題がなければ、人間やスケルトンを乗せて1週間の試験航海に出る予定になっている。

 海上公試は22日に行なう。

 待ち遠しいぜ。





    第49話 「魔王様、缶詰を開発する」

   ⇒第50話 「魔王様、駆逐艦を製造する」


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