第44話「魔王様、魔法ドカタになる」
おっぱいやマリベルと戯れている間に9月1日になったよ。
いよいよレムノス島第1期開発が開始される。
計画では今年の末までに、第2期開発まで完了させる予定だ。
予定通り行くのかねぇ。
まずは俺のステータス強化からだ。
現在のところ、竜騎を倒したおかげでスキルポイントは110ポイントもある。
生産に役立つ魔法を中心にスキルレベルを上げていこうと思う。
まず鍛冶魔法レベル4、土木魔法レベル4をレベル5にアップ。
これで両方最大レベルだ。
スキルポイントがごっそり80ポイントも減った。
残った30ポイントは風雷魔法につぎ込む。
これで風雷魔法はレベル3に上昇した。
これが現在の俺のステータス。
名前 ソールヴァルド・ローズブローク・カリオン
種族 ヴァイキング
職業 魔王
レベル41
ヴァイタル 623/623
スキルポイント 0P
特殊種族スキル 【魔王レベル4】
特殊種族魔法 【ルーン魔法レベル3】
スキル(11/20)
【特殊剣術レベル4】【盾術レベル2】【身体強化レベル3】
【投擲槍レベル2】【短剣術レベル1】
【闘牛士レベル2】【一撃刺殺レベル2】
【鍛冶魔法レベル5】【土木魔法レベル5】
【風雷魔法レベル3】
【魔法陣作成レベル2】
さて、まずレムノス島第1期開発計画だが、まずは200名程度が住むことができる開拓村を建設する。
一時的に住むのは、開拓局本部、総合ギルド、冒険者、探索者、警備兵だ。
この開拓村には、資材、木材を保管できる倉庫を沢山建てる。
つまり、次の第2期開発計画で作る「魔王国首都ヴァルドロード」を作るための拠点となるのだ。
婚約者達と話し合った時には、魔王国の名前を「ソールヴァルド」にしようと皆が主張したのだが、自分の名前を使用するのに俺は気恥ずかしさを感じたため、ヴァルドロードで妥協してもらった経緯がある。
それで、開拓村建設と同時期に、簡易桟橋を作ってカッター艇の着岸を容易にするとともに、牧場も作って家畜や馬を育てる環境も整える。
これが第1期開発計画の概要だ。
ということで、俺は作業員確保のため、召喚の間にいって作業用上級スケルトン4体 作業用スケルトン40体、作業用ゴーレム2体を召喚した。
これに俺が加わって、開発実働部隊として動く。
所属は魔王近衛局庶務課であり、俺が庶務課長だ。まあこんな肩書きはどうでもいい。
これに護衛のディータとスケルトン兵、魔獣駆除に冒険者2パーティー、探索者1パーティーで開拓チームとなる。
冒険者2パーティーは「鋼鉄サークル」「炎熱の戦斧」、探索者パーティーは「闘牛武具専門店マタドーラ ガルデル会」だ。
まだトイレの確保ができないので、男限定のパーティーが魔獣駆除を行なうことになる。
というわけで、いざレムノス島に向かって出発。
俺とディータ、冒険者2パーティー、探索者1パーティーでカッター艇4隻。
作業スケルトン44体、作業用ゴーレム2体でカッター艇2隻に乗る。
作業用スケルトンは、折り重なった死体のごとくカッター艇の上に積載されている。
うわー、怖えー。
人間じゃぜったい真似できない乗り方だわ。
まだ残暑が残る潮風の中を、6隻のカッター艇がレムノス大河に向かって突き進む。
40分ほどでレムノス島に到着、俺達はレムノス大河北側の砂浜にカッター艇を着岸させて上陸するつもりだ。
「鋼鉄サークル」リーダーの人間族の戦士、ビバル・メストレス・モレノがこちらに叫ぶ。
「魔王様、俺達が先行します。ここは南と違い人の手が入ってない土地だ。上がった瞬間に魔獣に攻撃される危険があります!」
「分かりました!」
冒険者、探索者はカッター艇で砂浜に乗り上げ、そのまま抜剣して上陸し、奥地に走っていく。
「来たぞ! 冒険者前衛、遊撃はガルデルさん。頼んだ!」
「おうよ!」
早っ、もうエンカウントかよ。
俺達が砂浜に着岸した時には、もう戦闘が開始されていた。
敵勢力はオーク6匹、アーマーオーク2匹、ゴブリン12匹だ。
まずガルデル会が、矢と魔法の斉射を放ち、そこに冒険者達が突っ込んでいく。瞬く間にゴブリン、オークが壊滅、アーマーオークをタコ殴りにして沈めた。
しかしビバルさんの「全周警戒!」の声で、剣を構えた戦士たちが周囲を警戒する。
「あの森が怪しいな、てっ、やっぱりか。雑魚どもが!!」
ビバルさんが剣を向け、北の森が怪しい。と指摘した途端に、森から魔獣が雄たけびを上げながら走ってきた。
ゴブリン30匹にボス級ゴブリン10匹、さらに後ろからビッグワームが出現した。
が、距離があるのでここに到着するのに5分はかかるだろう。
しかし魔獣ってアホなんだな。
ここらへん一帯は平原で、遮蔽物は何もないのに、ただ突っ込んでくるだけとは。
「矢、魔法で先制。ゴブリンが先だ。虫は遅いから後でいい!!」
再び激しい戦闘が開始される。
まあ、あの分ならこっちが楽勝で勝てるだろう。
俺はとっとと開発を開始しよう。
超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ
⇒第5章 レムノス島開発編
「ディータ、しっかり俺を守れよ」
「ハッ、我が命に代えて!」
俺達は川沿いの内陸に少し入った所で足を止める。
ここが開拓村建設予定地だ。
まずはともあれ、トイレを作るのが先だ。
俺はまず石と草をイメージして土木魔法「沈下」をかける。
これで地面の石と草をどんどん下に沈める。
それから土木魔法「地中探査」で地中の様子を見る。
地面付近の石がすべて沈下したのを確認した。
次は土木魔法「整地」で、トイレ設置予定の地面をどんどん平らにしていく。
そんな事をしているうちに、魔獣との戦闘が終わったようだ。
冒険者達はドロップ品を拾っていた。
俺は地球の現場監督よろしく、トイレ建築予定場所に、木の杭4本を木槌で打ち込んで、間に四角形に糸を張って設置位置を示した。
それから近くの地面を土木魔法「掘削」で掘り返し、掘った土を用意した木枠に入れて四角く整形し、土木魔法「石化」をかけて石ブロックに変えた。
俺は均一な石のブロックをひたすら作る。
それをスケルトン達が運んで、トイレ設置箇所に積み上げて、トイレの壁を作るのだ。
石の間には目地材として泥を塗って積みあげる。
この泥には後で、土木魔法「硬化」をかけて、ある程度硬くする。
それで頑丈な壁が出来るのだ。
トイレの壁はそのまま川に飛び出る形で作られる。
床を長い石のブロックで作って、床中心は穴を開けておく。
つまりこのトイレはなんちゃって水洗トイレなのだ。
そのまま穴から汚物は川に落ちて、すぐに海に流される。
川の流れも速いし、それほど人数もいないので、川が汚染されることはないだろう。
時折、川に浄化魔法をかければ、清潔な環境は維持できるはず。
あくまで簡易トイレなので、本格的なのは後で作ることになる。
床の設置が終わったら、こんどはその上に腰掛ける便座を石で作る。
座る部分は、鍛冶魔法「ヤスリ」「硬化」「融合」を使って、なめらかにした。
次は天井、石で作り、その上に三角屋根を作った。
あとは入り口に、魔王船で作った木の扉をつけて、トイレは完成だ。
これと同じ工程を5回繰り返す。
男子トイレ、女子トイレを3つずつ作るのだ。
夕方までかかって、トイレ6箇所は無事完成した。
その間、魔獣は10回ほど襲ってきたが、すべて冒険者に撃退された。
ここにはスケルトン作業員とディータを残し、俺と冒険者は魔王船に帰還する。
翌日、俺達は再びトイレ前に戻る。
ディータによれば、夜間の襲撃は1回だけだったようだ。
どうも魔獣は、生きている者には鋭く反応するが、アンデッドへの反応は鈍いようだ。
今日も作業を開始しようとした途端、冒険者ビバル・メストレスの大声が響いた。
「魔獣だ。西から来るぞ! 冒険者前へ!」
またかよ。
朝っぱらから元気だな魔獣も。
と、西から魔獣が沢山やって来た。
俺はその姿を見て絶句した、まさかあれは!
「ホワイトスライムだ! 行くぞ!」
ホワイトスライムだってぇ!?
あのモチモチとした感触、つるつるとした質感。あれはどう見ても「白玉団子」だろうが。
直径1メートルはあるデカイ白玉団子が転がってきて、冒険者の剣や槍で切られる。
すると、内部のあずき色の内容物が飛び散った。
あれ、美味そうだな。
「右からスクエアスライムだ。魔法で応戦しろ!」
スクエアスライム!
四角い透明感のある、あずき色の物体が地面をはって近寄ってくる。
ああ、俺には、俺にはあれが自走する巨大羊羹にしか見えない。
縦に6つに切りたくなってきた。
「気をつけろ! 後続、ブラウン・ジェル・スライムだ!」
真中に黒い焦げ目がついた白玉団子が、体に茶色いジェルをまとっている。
はあっ?!
ブラウン・ジェル・スライムだと、あれはどう見ても巨大な「みたらし団子」だろうが。
あれを4つ並べて串を通したら完璧だ。
おかしいぞ、この世界のスライムは、なんで皆和菓子チックなんだろう?
あれを見て、今俺は猛烈に緑茶が飲みたくなってきた。
そして短時間の戦闘でスライムは壊滅した。
「ふむ。どうやら北西に食糧迷宮があるようだな……」
冒険者ビバルは呟く。
なるほど、あいつらが食糧迷宮の魔獣か、だからって食べ物の形してなくてもいいのに。
ドロップアイテムは、クッキーとかスポンジケーキみたいなものだった。
残念、団子が出てくるかと思ったのに。
中々面白い魔獣だったが、まあいいや。
さっさと仕事を始めよう。
今日からはトイレ前の地面、250メートル四方に「沈下」をかけて「整地」していく。
この整地した所が開拓村となる。3日で整地は終了。
休日を挟んで、開拓村の壁を作っていく。
サイズは200m×200m。
最大200人が住める小さな村にする予定。
トイレの壁を作るのと同じ要領で壁を作るが、厚さ1m、高さ3mにして魔獣が突っ込んでもいいように頑丈に作る。
スケルトン達とひたすら壁を作って、6日で村を囲む壁は完成した。
相変わらず魔獣は襲ってきたが、日が経つごとに回数は減っていく。
魔獣退治が順調にいってるのだ。
1人の冒険者がステータスプレートを確認して驚いた。
「あれぇ? 俺レベルが2つも上がってるぞ!」
「ちょっと早過ぎないか? おお、俺もレベルが1上がっている!」
「フフン。分かっていないようだが、それが魔王様の加護なのだ。成長速度がアップして、取得スキルポイントも増加する。魔王様に感謝するのだな」
「マジだ。スキルポイントが8ポイントになってる。凄いな魔王様の加護は!」
何故だかディータが胸を張って、自慢げに俺のスキルを説明した。
冒険者は口々に俺に感謝を述べてくる。
良かった、ちゃんとスキル「魔王軍団」は忠誠を誓った皆に発動しているようだ。
9月中旬になった。
俺は川から溝を掘っていき、水路を村の壁内に引き込んだ。
この水路は飲み水、生活雑水用だ。
風呂と洗濯にはそのまま使うが、飲料には浄化をかけてから使用する。
2日で工事は終了。
翌日には魔王船からドワーフがやってきて、開拓村の門に木の大扉を設置、外部を遮断することが出来るようになった。
俺は薄い石のブロックを作り、石畳の通路を開拓村に敷設していく。
石畳は中央通の十字路のみとして、雨水を排水する溝もあわせて作った。
作業は4日で終了。
あっという間に9月18日だ。
俺は明日休日なので、魔王船でゆっくりすることにする。
19日、休日だが俺は第6デッキや召喚の間で仕事をする予定だ。
休みの日なのに仕事をする。
俺はいつからこんなに社畜精神溢れる男になったのだろうか?
まずは第6デッキの木材工房ユニットを2つ追加で召喚した。
1つ目のユニットでは、開拓村の扉や屋根などの建設資材を作る。
2つ目のユニットは、開拓村向けの家具を作る。
次は魔王船の食糧の余裕も出てきたので、メイドさんを召喚することにした。
やっぱ城や後宮にはメイドさんが必要だからね。
人数はとりあえず20人召喚しようと思う。
召喚宝典からメイドさんを選択する。
むっ、種族はハイオーガなのか……
あんまりゴツイのは困るが、とりあえず召喚してみる。
召喚の間が光り輝き、20人のハイオーガのメイドが現れた。
皆黒髪で、黒を基調としたフレンチメイド型のメイド服を着ている。
頭にはレース付きのカチューシャを付けていた。
頭には1本、湾曲した角が生えている。
ハイオーガなので体格が凄いのかと思ったが、そんなことはなく普通の体型だった。
しかし身長は高く、平均で160より下はいないようだ。
どっちかというとモデル体型だな。
1人だけ、ピンクのメイド服を着ている銀髪のメイドがいる。
俺が呼び出したメイドマスターなのだろう。
メイドマスターは俺に話しかける。
「魔王様、召喚していただき、誠にありがとうございます。メイドマスター1名、メイドサーヴァント17名、ナースメイド2名、ただいま参上しました」
「うん。君達には後宮と魔王城のメイド業務を任せる。君の名前はレ・ルーナだ。そう名乗れ」
「魔王様より名を賜り、恐悦至極でございます。忠誠をもってかえさせて頂きます」
全員を見回したが、みんな美しいね。
その中でもメイドマスターは飛びぬけてるわ。
俺は鑑定を使用した。
■メイドマスター
名前 レ・ルーナ
種族 ハイオーガ
職業 メイドマスター
レベル20
ヴァイタル 204/204
スキルポイント 0P
種族スキル 修復
スキル(8/9)
【短剣術レベル3】【格闘レベル3】【身体強化レベル3】
【性技レベル5】
【メイドレベル5】【家事レベル3】【裁縫レベル3】
【指揮レベル3】
――――――――――――
■メイドサーヴァント
名前 メイドサーヴァント1号
種族 ハイオーガ
職業 メイドサーヴァント
レベル10
ヴァイタル 84/84
スキルポイント 0P
種族スキル 修復
スキル(5/9)
【格闘レベル2】【身体強化レベル2】
【メイドレベル3】【家事レベル2】【裁縫レベル2】
――――――――――――
■ナースメイド
名前 ナースメイド1号
種族 ハイオーガ
職業 ナースメイド
レベル12
ヴァイタル 102/102
スキルポイント 0P
種族スキル 修復
スキル(6/9)
【格闘レベル1】【身体強化レベル1】
【メイドレベル1】
【薬師レベル2】
【光闇魔法レベル3】【聖邪魔法レベル4】
ハイオーガの種族スキルは「修復」だ。
肉体が怪我を負うと、魔力で修復してしまう。
当然、魔力がなくなると修復は使用できなくなる。
メイドサーヴァントは、普通のメイドさんで、ナースメイドは治療に特化したメイドさんだ。
しかしメイドマスターのスキル、性技レベル5…… だと!?
どんな凄いスキルなのか想像がつかないな。
ハッ!
彼女はこの世界で生まれたばかりだから、つまり男にとって絶対矛盾のレジェンド的存在である「処女だけど床上手」が実現化してしまったというのか!
なんということだ。
しかし、婚約者達を怒らせるわけにはいかないので、手が出せないのが残念だ。
まあそれはともかく、人員はメイドサーヴァント6名、ナースメイド1名を後宮住宅に、メイドサーヴァント11名、ナースメイド1名を魔王城に配置することにした。メイドマスターがメイド全体の管理だ。
さっそく俺はメイド達をともなって後宮に向かう。
後宮にはマリベルとソフィアがいた。
「お兄ちゃん。その人達ってメイドさんなの?」
「うわー。メイドさんの服が可愛い~」
ソフィアはメイドさんを見て、可愛い、可愛いと騒いだ。
リリアでもナタリアさんとかメイドはいたけど、基本地味な服だからな。
こんな派手なメイド服は間違っても着ない。
マリベルはメイドマスターの顔を見て、ジト目で俺を見る。
な、なんだよ、俺は浮気なんかしてないぞ。
俺を見ていたマリベルは、何かを思い出したのか、ハッとして話しかける。
「あっ、そうだお兄ちゃん。頼みたいことがあるんだけど」
「なんだよ?」
「私の友達のジュマとヌリアが魔王城で働きたいんだって、何か仕事紹介してくれない?」
「ほう。そうだな…… ああ、いい職場があるぞ!」
「「魔王様、ありがとうございます!」」
というわけで、ジュマとヌリアの2人には魔王城の受付をやって貰う事にした。
今まで受付はアンデッドのヴァルターに任せていたが、あいつは外見が怖いから、怖がる人も結構いるのだ。
それなら可愛い女の子2人にやってもらったほうがいい。
ヴァルター達アンデッド組は、後ろの警備室に控えてもらう。
まだ制服は作ってないので、ジュマちゃんもヌリアちゃんも私服だが、服は貿易が終わってから揃えようと思う。
さて、9月20日、リフレッシュした俺は気合を入れて開拓を再開する。
開拓村南からレムノス大河の間50mに、敷石を敷いて通路を作る。
そして川岸に、3日間かけて石のみで桟橋を作った。
これでカッター艇が10隻ほど容易に着岸できるようになった。
次は開拓村内部に資材倉庫を作る。
スピードが重要なので、簡単な平屋構造だ。
2メートルの高さの壁を作り、建物の壁が完成。
あとでドワーフが来て、木で屋根を作る予定だ。
1日に1つずつ資材倉庫の壁を作り、4日で4戸作った。
休みを挟んで、洗濯場、風呂場を建築。
その頃にはドワーフが、資材倉庫の屋根を作りに来ていた。
これで9月は終了。
あっという間の1ヶ月だったな。
10月1日。
総合ギルドの建物を作る。
開拓村の建物は全て平屋構造にするつもりだ。
壁は薄いが、おそらくレムノス島は、暖流である超海流の影響で気候は温暖だと思うので、冬は暖かいだろう。
だから壁は薄くてもいい。
3日で総合ギルドの壁が完成。
さらに3日で、開拓事務所の壁が完成。
次は酒場を作る。
酒場といっても、中はガラガラで、しばらく開店することは無いだろう。
普段は会議場として使用することになる。
酒場の壁も3日で完成。
ドワーフが資材倉庫の屋根を完成、続けて総合ギルド、開拓事務所の屋根を完成させた。
さっそくドワーフ達が、魔王船で作った建築資材を倉庫に放り込んでいく。
ディータと冒険者、探索者の3パーティーは、相変わらず開拓村周辺で警備をしているが、最近はほとんど魔獣は来ないとのこと。
そんな中、魔王船からアベルがやってきた。
「おお、大分開拓村が出来たな。1ヶ月でここまで立派な村を作れるなんて大したもんだ。今日は開拓事務所の準備に来たんだ」
アベルは、荷物や新品の机を持った開拓局の人間を引き連れて、事務所にやって来た。
事務所を開くのは、20日以降の予定だそうだ。
俺は次々と建物の壁を作っていく。
9日~10日、配給所 治療院建築。
12日~15日、食糧倉庫建築。
17日から住宅建設開始。
18日にイレーネがやって来た。
「頑張ってるじゃないソール。2日後に開拓事務所を開くわ。2ヶ月でここまで作るなんて、ソールは凄いわね」
「いやぁ~。ぶっちゃけ予定1ヶ月ぐらい遅れてるよ。とても年内に第2期まで終わりそうにないよ」
「そう急ぐこともないわよ、さっき冒険者と迷宮視察に行ったけど、開拓村の北西に、雑貨迷宮、魔力結晶迷宮、黄金迷宮、食糧迷宮を確認したわよ。いきなり当たりを引いたわね。早く探索者を投入したいわ」
「そうかぁ。開拓村は月末にはなんとか格好をつけるよ」
17日~23日までかけて、住宅の壁は完成した。
ドワーフが住宅の屋根の設置にかかり始めた。
住宅の間取りは、2部屋に居間、簡単な調理場だ。
これらの住宅は冒険者、探索者、関係者が使用することになる。
最大で150~200名が生活することができるだろう。
俺は魔王船で4隻のカッター艇を召喚。
キャプテン・キッドの指示を出し、開拓村と魔王船の間に定期便を走らせることにした。
7時、13時、17時の3回、カッター艇で荷物や人を輸送するのだ。
同時に魔王船の冒険者、探索者にはレムノス島への上陸許可を出す。
さっそく次の日から、冒険者達がレムノス島に続々と上陸を開始。
ギルドのホセさんとロッシさんに「紅姫と疾風従者」「曙の斥候隊」が上陸。
翌日、「白銀の射手」「戦歌の誓い」が上陸。
全冒険者が上陸を完了。
3日後に探索者パーティー「迷宮同盟」「魔族倶楽部」「リリア迷宮 主婦の会」が上陸。
誰が先にレムノス島に行くかで、冒険者、探索者はかなり揉めたらしい。
原因は俺のスキル「魔王軍団」で、レベルが早く上がるので、皆先に行きたがった。
揉めに揉めた結果、登録順に上陸することで決着したらしい。
上陸した冒険者達は、さっそく北の森に向かい、魔獣を討伐しに行った。
俺は工事を継続。
25日~29日で木材倉庫の壁を作り終える。
よっしゃ!
これで2ヶ月かけた開拓村建設の俺のノルマは終了した。
あとは外部に牧場を作って、北の森を焼けば、第1期開発計画は終了する。
こうして俺の10月は終わったのだった。
探索者は全パーティーが上陸完了。
北西に発見された迷宮4つに、全パーティーが向かい、獲得したドロップアイテムは開拓村に溜められ、現地と魔王船で消費されることになる。
冒険者達は開拓村周辺や北の森を巡回し、片っ端から魔獣を片付けていく。
開拓村も本格的に動き出した。
第44話 「魔王様、魔法ドカタになる」
⇒第45話 「魔王様、自然破壊する」




