第43話「魔王様、愛を奏でる」
8月末。
魔王船食糧増産計画も順調に推移し、とりあえず食べることに困ることはなくなった。
レムノス島開拓計画も、第1期計画策定は詰めの段階に入りつつある。
そんな夏の日の夕方、魔王の婚約者達は、今日も仕事を終わらせて、自分の家である後宮住宅、シーサイドパティオ・アイリスに戻ってきた。
「ふう、ただいま~」
「ソフィア、お帰りなさい。中庭でみんなでお茶の準備してるわよ」
ソフィアが帰宅すると、パッツィが出迎え、ソフィアをお茶会に誘う。
仕事を終えてから夕方にお茶会を開くのが、彼女達の最近の日課になっている。
婚約者達の最近の仕事は、開拓計画作成の手伝いと、自分の担当局の事務関連の段取り確認程度だ。
今のところ、彼女達の局はそれほど忙しくない。
ただ開拓局だけは、9月1日から開拓開始のため、準備にかなり忙しかった。
ソフィアは荷物を部屋に置くと、サッカー場ほどもある大きな中庭に出た。
上を見ると太陽の夕焼けの赤が雲に写り、海風が優しくソフィアの髪を撫でた。
中庭には、後宮住宅付属の野外テーブルと椅子が置いてあり、パラソルが立っている。
パッツィ、マリベル、マルガリータがそこでお茶を入れている。
最近のソフィアの生活は充実していた。
自分の住んでいる家はこの上なく豪華だし、仕事で大好きなソールにも貢献出来ている。
本当にソールと婚約してよかった。
とソフィアは思う。
浮き立つ気持ちを感じながら、ソフィアは上機嫌で席に座る。
それから皆でお菓子を食べたり、お茶を飲んだりして夕飯までお喋りする。
仕事の話や友達の話など、話す内容はたわいのない物だ。
「ところでさぁ…… あ、やっぱり言わないほうがいいかなぁ?」
「何よ改まって、そんな言い方したら気になるじゃない。話してよ」
パッツィのもったいぶった言い方に、ソフィアは喋るよう促す。
「分かった…… あのさぁ、やっぱり魔王船には『出る』らしいのよね」
「出るって何が?」
「出るって言ったら決まってるじゃない。ゆ・う・れ・い・よ」
「ええ、そうなんですか?」
「……幽霊、今までに見たこと無い」
パッツィが声を潜めて幽霊の話を告げると、マリベル、マルガリータが驚いた。
「やっぱこの魔王船って600年の歴史があるじゃない。過去に何度も戦ったこともあるだろうし、そりゃ成仏できない霊が住み着いてても不思議じゃないというか」
「そ、そんなことあるわけないじゃん。そんなの迷信よ!」
「あらソフィア、顔が青いけどどうしたの? 怖いの?」
「ち、違うもん。そんなのただの錯覚だって言いたいだけだよ」
ソフィアは背筋に悪寒を走らせながら、青い顔で弁明した。
パッツィは一瞬二タッと笑ってから、急に真顔になり、赤茶を飲んでカップをテーブルにそっと戻す。
それから目を細めて、静かに話し始めた。
「そう。怖くないなら話すわ。それは、3日ほど前から目撃され始めたんだって…… 目撃者はこう言ってるわ」
探索者パーティー「リリア漁業組合 迷宮会」
イボさんの目撃談
カァーン!!(効果音)
「あ、こんばんは。俺は探索者パーティーで剣士やってるイボって者です。
無事ここまで逃げて来て、しばらく魔王船落ち着いてるじゃないですか。
それで探索できなくて、けっこう暇なんですよね。
だから俺、漁業ギルドに所属してる猟師でもあるので、毎日干物作りを手伝ってるんですけどね。
それで2日前でしたか……
夜になって、ウェルドッグで作業終わった俺は、薄暗い階段を登って第5デッキ向かってたんですけど、登っている最中に、しゅるしゅるしゅる、て変な音が聞こえたんですよ。何かなーって思ったんですけど、気にせず登ったらですよ、踊り場にいるんですよ。白いローブの女の子が。
いや本当に。
手にホウキのような物をもって、踊り場を横切っていったんです。
それで俺、すぐに踊り場に出て確認したらですね、誰もいなかったんですよ。
影も形もないんですよ。足音もしないし。
それから第5デッキに着いて、通路を歩いてる時にも、しゅるしゅる って遠くで音が聞こえました。
多分あれって、昔の戦いで死んじゃった女の子じゃないですかね。
自分が死んだことが分かってなくて、今でも魔王船をさまよっているんじゃないですか?」
探索者パーティー「ドラゴン・シーカー」
シモンさんの目撃談
キャアァァァァ!!(効果音)
「どうも。探索者パーティーのリーダーやってるシモンです。
昨日の話なんですけどね。うちのエヴァが、焼いた新鮮な魚が食べたい、とか言うので俺1人で魚貰いにいったんですよ。
もちろん配給券持ってですよ。エヴァのはもう使ったんでね。
それで魚を取りにいったんが、たしか20時ごろだったかなぁ。
カッター艇の手入れをしていた猟師さんに頼んで、魚1匹貰ってですね、階段のほうに歩いて向かったんですけど、倉庫の前を横切る時にですね、しゅるしゅる て音が聞こえたんですよ。
ちょっと気にはなってたんですけど、この時間ウェルドックの辺りって人居ないじゃないですか。
俺怖がりだし、急ごうと足を速めた瞬間にですね、倉庫の壁から、ウァアアアアァって!!
そう、ウァアアアアァって感じで、壁から白いものが出てきたんですよ!
本当ですよ。よく見たら白いローブをまとった少女だったんです。
いえ、特に何も持ってはいませんでしたね。
俺心臓止まるかと思いましたよ。ええ、完全に体硬直してましたが、横をその幽霊が通り過ぎていって、俺勇気を出して後ろを振りかえったんですよ。
そしたら、そしたら誰もいないんですよ!?
消えたんです。おっかねぇ~。
あそこはウェルドックの近所ですからね、恐らくですが、あの娘昔、ウェルドックで溺れ死んじゃった霊じゃないですかね。
それで、あの辺をうろついて自縛霊とか、そんな感じで。
俺ちょっと霊感あるほうなんで、なんとなく分かるんですよ」
「ちょっと、そういう話やめてよ~。一人でトイレ行けなくなるじゃない」
「あはは、ちょっとソフィア怖がりすぎよ」
全身に鳥肌を立たせて、ソフィアが怖がるのをパッツィがなだめる。
マルガリータが興味津々な顔でパッツィに声をかける。
「私…… 白い子とお友達になりたい」
「フフ、相変わらずマルガリータは変わってるわね」
「別に怖くないもん! そうよ、いざとなったらマリベルちゃんがやっつけてくれるわよ!」
「ソフィアさん。私の光闇魔法でアンデッドは倒せますけど、幽霊には効果ありませんよ」
「え、そうなの!?」
そんなこんなで、本日のお茶会はこれで終了。
皆で夕飯を食べて、就寝することになった。
ソフィアは自分の部屋のベッドに潜り込む。
思わずパッツィの幽霊話を少し思い出すが、怖くない、怖くないと念じて眠った。
「う…… ん」
朝、太陽の日差しが窓から射し込み、ソフィアは睡眠から覚める。
ソフィアは半身を起こし、しょぼしょぼする目をこする。
あー、もう朝になったんだ。
ソフィアはぼんやりしながら、しばしベッドに佇む。すると、
しゅるしゅるしゅる
廊下の方から妙な音が聞こえた。
ソフィアはハッとして、廊下に注意を向ける。
足音も何もしないが、たしかに何かがいる気配があった。
よーし。
ソフィアはベッドから起き出して、そっと扉に向かった。
幽霊なんかいるはずないもん。きっと鼠とかが歩いてるのよ。
ソフィアは謎の音の正体を突き止め、幽霊でないことを証明するつもりだった。
バンッ!
「誰!?」
自分の部屋の扉を開いたソフィアは、顔を出して廊下を見る。
しかし廊下には人影も鼠もいなかった。
なんだぁ……
ソフィアはホッとして緊張が緩んだ。と、
しゅるしゅる
ソフィアの背後、部屋の中から、あの妙な音が聞こえたのだ。
部屋に入ることができる入口は、今ソフィアが立っている扉しかない。
誰かが中に入ることなど不可能だ。
ソフィアからサーッと血の気が引いた。
恐怖の余りソフィアの体が硬直する。
しゅる……
しゅる……
その嫌な音は、背後から少しずつソフィアに近づいてきた。
ソフィアは恐怖に体を震わせながら、下を見た。
自分の左手が見えるが、まだ背後の物は見えない。
ソフィアは後ろを見ようと、恐怖心を堪えて、ゆっくりと首を回し始めた。
その刹那、白い塊が急に飛び出して、ソフィアの左手にぶつかったのだ。
「キャアアアアアアァア!」
部屋の中にソフィアの悲鳴が鳴り響いた。
超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ
⇒第5章 レムノス島開発編
俺は朝、目が覚めてから、司令の間の見張り台に出た。
ここちよい早朝の海風を受けてから、俺は後宮住宅に朝食を摂るために向かう。
後宮の中庭に行くと、皆がテーブルにパンやお茶を並べていた。
「おはようみんな」
「「「おはよう、ソール」」」
パッツィ、マリベル、マルガリータが元気に挨拶してくれる。
俺はそのまま椅子に座った。
朝食だけは、皆でここで摂ることに決めているのだ。
「ん? パッツィ。ソフィアはどこに行ったんだ?」
「あぁ、あの娘はお寝坊さんよ。まだ寝てるんじゃない」
「そうか。あいつは朝弱いからな。先に食べとくか……」
俺はティーカップに注がれた熱い黒茶に口をつけた。
「キャアアアアアアァア!」
俺は思わず黒茶を吹き出した。
2階から唐突に悲鳴が聞こえたのだ。
あの声はソフィア。
何かあったのか!?
俺達4人は建物に走り、2階のソフィアの部屋に向かった。
開け放たれている扉から中を見ると、腰が抜けて口をパクパクさせているソフィアと、雑巾で机を拭いているシルキーを発見した。
「なんだシルキーじゃないか」
「魔王さま」
シルキーはこっちを見てニッコリ笑う。
相変わらず可愛い。
パッツィが俺に声をかけた。
「ちょっとこの娘誰、知り合い?」
「ああ、この前召喚した家魔妖精シルキーだ。そうだった、お前らに紹介しようとして忘れてたわ」
「そうだったの、幽霊じゃないのね」
「へっ、幽霊? 何の話だ」
掃除の終わったらしいシルキーは「お綺麗にするのです」と言い残し、壁を突き抜けて隣の部屋に行った。
「まあご覧の通り、あの妖精は話通じない系だ。おい大丈夫かソフィア?」
俺はブルブルと震えているソフィアに手を差し伸べる。
涙目のソフィアは、こっちを見て声を発した。
「ソ……」
「そ?」
「ソールの馬鹿ぁ~!!」
パカン!
たく、なんだよソフィア。
そんなに怒らなくてもいいだろ。
俺なんにもしてないのに。
身体強化レベル3だと平手打ちでも結構痛いんだぞ。
ヴァイタルが5ポイントも減った。
久しぶりにダメージ食らったわ。
しかし、まさかシルキーが幽霊扱いされてるとは思わなかった。
今度から召喚する度に皆に通達を出さないといけないな。
俺はぶつぶつとそんなことを呟きながら、魔王城の近辺を散歩。
ついでに魔王池や深魔の森に行って、妖精たちの働き振りを確認した。
9月に開拓開始すると出ずっぱりになるので、それまで俺はお休みになっている。
といってもやること色々あるけど 余り何もしたくない雰囲気。
日曜日みたいな感覚だな。
明日は仕事があるけど、そわそわして何も集中できないとか、そんな感じ。
とりあえずまた、俺は後宮に戻ってきた。
中には誰もいなかった。
そういや、皆事務仕事に向かったんだった。
仕事熱心だねぇ。
俺が中庭をふと見ると、工房のほうでマルガリータを見かけた。
おお、マルガリータはいるのか。
そういや工房は人形作るのに使うとか行ってたな。
俺は工房に歩いていく。
工房の中を見ると、人形を作るための様々な道具が置かれていた。
ビビアナやオルエッタも棚に置かれている。
机で何かしら作業をしているマルガリータに声をかけた。
「ようマルガリータ。またお人形作ってるのか?」
「……お兄様。はい、シャルロッテの胴体を作っています」
ああ、背徳の螺鈿毒婦、シャルロッテだな。
螺鈿細工をコンセプトにした中距離攻撃型の戦闘人形だ。
風刃を出すミニボウガンを装備し、口からは毒針を発射する計画だった。
まあアルコンのゴタゴタで計画は止まったままだが、頭部の毒針発射機構までは完成してる。
後は俺がミニボウガンを、マルガリータが胴体を作れば完成だ。
マルガリータは棚から紙やペンを持ち出す。
そういや俺、婚約者なのにマルガリータとは恋人らしいこと何もしてないな。
ようし、少し可愛がろうか。
俺は作業机の椅子に座ってマルガリータを待つ。
「マルガリータ。ここに座れよ……」
「あっ…… はい……」
俺は股を開いてマルガリータを椅子に座るように誘う。
マルガリータは少し躊躇しながら、股の間にお尻を突っ込んで座った。
「なぁマルガリータ。胴体はどこまで作ってるんだい?」
「それはこの設計図で、あっ…… 10分の1の、うっ……」
俺はマルガリータの体をまさぐる。
マルガリータの顔はみるみる赤くなった。
俺は可愛い胸の感触を楽しみ、スカートの中に手を突っ込んで、太ももの内側を撫でる。
そして耳元でマルガリータに囁く。
「マルガリータ。今まで色々忙しかったから出来なかったけど、今から恋人らしいことしよっか?」
「ああっ ……お兄、様」
俺はゆっくりとマルガリータと唇を重ねた。
それから舌をねじこみ、マルガリータの舌と絡ませる。
いやらしい音が工房に響き、しばらくして口を離した。
「どうマルガリータ、俺とのキスの味は?」
「……とっても、甘いです……」
マルガリータはトロンとした表情で俺を見つめる。
その赤い瞳は潤んでいた。
そんな顔を見て、俺は気分がモヤモヤする。
ああ、いじめたい。
上品な顔立ちのマルガリータがイジメられている姿が見たい。
俺は立ち上がり、工房の荷物の上にあった荷造り用のロープを掴み、椅子に座らせたマルガリータの後ろ手を縛った。
「お兄様、何を、するんです?」
「フフフ、ちょっとマルガリータと色々なことを楽しむだけだよ」
「あん…… そこは……」
俺はスカートの中に両手を差し入れ、マルガリータのパンツを足下までズリ降ろす。
それからスカートをまくり上げ、股を強引に広げた。
「おいおいマルガリータ。パンツも脱いで股を広げるなんて、いやらしい娘だな」
「あうっ。それはお兄様が…… んんっ」
「欲求不満で誘ってんのかよ。マルガリータは変態だな」
俺は耳元で囁きながら、内股を指でなぞる。しかし核心には触れない。
マルガリータは、ビクビクッと体を震わせた。
「別に嫌ならいいんだよ。嫌なら。変わりにマリベルをここに呼ぶ。そうだな、マルガリータの前でマリベルと一杯ペロチューしようかな」
「……意地悪」
マルガリータは潤んだ瞳で上目遣いに俺を見る。
ああ、そんな表情で見られたら、俺はまた君をイジメたくなるじゃないか。
何故かマルガリータとはこういう関係が興奮できる。
多分だが、婚約者達は皆エロ属性が違うんだろう。
パッツィは獣エロ属性、ソフィアは光エロ属性、マリベルは妹エロ属性、そしてマルガリータは闇エロ属性だ。
相手によって俺の様々な性質の欲望が引き出されてしまう。
俺はマルガリータの手を引き寄せる。
彼女は頬を染めて、顔を真っ赤にした。
「あっ……」
「どうだいマルガリータ。俺のはもうビンビンだぜ」
「お兄様…… 私まだ…… 心の準備が」
「ククク、こんなムードのない所でそこまではしないよ。これからたっぷりなぶって、焦らして、我慢の限界でやったほうが精神的にクルだろ?」
それから俺はマルガリータの唇を激しくむさぼった。
俺は満足して、縛ったロープを外す。
「マルガリータ。明日も同じ時間にここにいるんだ」
「はい…… お兄様」
「短いスカートを履いておけ、下着はつけるなよ。ノーブラ、ノーパンで来るんだ」
「そ、それは……」
マルガリータの頭を撫でて、俺はそう言い残して工房を出た。
昼になった。
俺はマリベルと一緒に、後宮の横にある高級住宅キューブモダンに向かう。
最近の昼飯はローズブローク家で摂ることにしている。
家に入ると、母イレーネが食事の準備をして待っていた。
俺は皆と一緒に昼飯を食べた。
うん、この時だけはリリアでの時のように落ち着いて食事が摂れるな。
もっとも、ナチュラルに1体だけ馴染んでいるのがいるが。
「はーいブレインちゃん。ご飯ですよー」
「いつもありがとうございます。いや今日もイレーネ様はお美しいですね」
「あらブレインちゃんも上手ね~。一杯食べていってね」
そう言うとイレーネは、ペット用の皿に、魚の塩煮を盛ってブレインに与える。
犬か、犬か、ブレインは犬なのか?
母ちゃん。そいつは害が無さそうに見えるけど、脳を乗っ取ることができる危険生物だぞ。
まあ言ってないんだけどね。
ブレインは犬のように、床で魚を骨ごとバリボリ食ってる。
マリベルは毛嫌いはしないが、ブレインと微妙に距離をとっていた。
きっと苦手なんだろうなぁ。
翌日、昨日と同じ時間に工房で待っているとマルガリータが頬を染めてやってきた。
いいねぇ、その恥じらいの態度が、俺の加虐心を燃え上がらせる。
俺はマルガリータの横に立って抱きついた。
「あっ……」
俺はマルガリータが履いている短いスカートをまくり上げる。
彼女は下半身に何もつけてはいなかった。
「ふーん。マルガリータ、パンツも穿いてないなんて、お前、本当は淫乱だったんだな」
「……ソールお兄様は、意地悪です」
マルガリータは瞳を潤ませながら抗議した。
その抗議する口を、俺の口で塞いで黙らせた。
「分かっているんだろマルガリータ。全部脱げよ」
マルガリータはピクッと体を反応させる。
俺は上着やスカートを脱がせて、マルガリータを全裸にした。
それから様々なポーズをとらせて、俺はあらゆる角度からマルガリータを視姦した。
美しい、しなやかな肢体の饗宴が、俺の目の前で繰り広げられる。
もうマルガリータが、俺に秘密に出来ることは1つも無くなった。
被虐的な露出の悦楽が、マルガリータの心に刻み込まれる。
俺はロープで彼女を後ろ手に縛っていく。
それから俺は持ってきたぶどう酒を、マルガリータの上半身に掛けた。
少しずつ流れたぶどう酒が、彼女の節度のある美乳を伝って、したたり落ちる。
俺はぶどう酒の垂れたマルガリータの乳首を吸い上げた。
じゅる、ちゅう、じゅるるる、ちゅぱっ
「あん、あっ、ソールお兄様ぁ……」
はあ、やっぱりおっぱい酒は最高に美味いな。
右の胸は味わった。
次は左の胸だ。
ちゅちゅう、ぺちゃ、じゅる、じゅるる
「ふうん。あっあっ、大好きです、お兄様……」
マルガリータは顔を真っ赤にしながら、涙目でせつない声をあげる。
フフ、もう限界だろうマルガリータ。
でもこの責めはまだまだ続くんだよ。
夜になり俺は婚約者達と夕食を摂る。
それからしばらくお喋りして、皆は自分の部屋に戻っていく。
「さてマルガリータ。君の部屋でデザートをいただこうか……」
俺がそう言うと、彼女はチラッとこちらを見て、頬を赤くする。
パッツィ達に見られ無い様に、俺は彼女の肩を抱いてマルガリータの部屋に早足に向かう。
部屋に着いた瞬間、マルガリータをベッドに押し倒して、上半身を裸にした。
俺は持ってきた蜂蜜を、彼女の乳首に塗りたくる。
これでデザートの準備は完了だ。
俺は彼女の乳首をベロベロと舐めて、おもむろに吸い付いた。
ちゅう、ちゅちゅう
「……いっ、あっ、ああん!」
マルガリータは艶かしい声を上げて、身をよじった。
あぁ、やっぱこれは最高のデザートだな。
両方の乳首を堪能した俺は、一息つく。
俺の前には美しい双丘の頂が見える。
おっぱいは平和の象徴だ。
これを男達がいつでも自由に楽しめるなら、この世界に戦争などありはしなかったのに。
だが現実は厳しい。
真なるおっぱいを味わうことができる男は多くは無い。
そしてこの世に戦争が蔓延るのだ。
ならば、ならばせめて俺の国だけは、できるだけおっぱいを楽しめる機会を皆に与えてやらねば。
俺は目の前のおっぱいを触りながら、決意を新たにする。
それから俺は、マルガリータと風呂場で洗いっこして、彼女の身を清めた。
満足した俺はマルガリータの部屋を後にして、鼻歌を歌いながら魔王城に向かう。
深夜、人がまったくいない通路を歩き、リッチが警備するホールを抜けて、魔導リフトで魔王城8階の「魔王の間」に向かう。
俺が普段住んでいる部屋に戻ると、女が一人で椅子に座って待っていた。
一瞬ビックリしたが、よく見るとマリベルだった。
なんだ、驚かせるなよ。
というか、お前後宮にいたんじゃ無かったのか。
なんか不機嫌そうだな。
「お兄ちゃん。今日はずいぶん帰りが遅かったのね」
「い、いや…… まあ…… 色々とあってな」
「ふうん……」
マリベルは立ち上がり、俺の近くに立ち、左手で俺の襟首付近を掴んだ。
「最近マルガリータばっかり可愛がってるよね。私だって可愛がって欲しいのに……」
俺の服の襟首を、手でいじいじ、としながらマリベルは拗ねた声を出す。
やべぇー、気付かれて無いと思ったが、しっかりバレてるじゃん。
「私が福祉局長を受けたのだって、一生懸命すればお兄ちゃんが可愛がってくれると思ったから。なのにお兄ちゃんはマルガリータと、そんなの嫌!」
ああ、マリベルは大分ご立腹だ。
マルガリータとの仲は戻ったが、認められない一線はあるようだ。
マリベルには謝っておこう。
「悪かったよマリベル。許してくれ……」
「お兄ちゃんが、キ、キスしてくれたら、許してあげても、いいよ」
マリベルは頬を赤く染めて、俺にキスを要求する。
もう、かわいいなぁマリベルは。
俺はマリベルを抱きしめてキスをした。
最初は啄木鳥キス。
それからお互いの舌を絡ませた、ディープキスをする。
キスをしながらマリベルの腰をさすると、俺はとんでもないことに気がついた。
穿いてない。
「おいマリベル。お前パンツ穿いてないのか?」
「だっ、だってぇ…… マルガリータに負けたくないんだもん……」
なんてこった。
勝負パンツなんか、いらんかったんや!!
ああ、お兄ちゃんは悲しい。
マリベルが最近どんどん変態になっていく。
子供の頃の清純な妹はどこへいったのだろう?
あとはしゃぶしゃぶの作り方を教えればいいだけなんて!
このままではマリベルがグレてしまう。
不純異性交遊にハマる前に、体に異常がないか小一時間調べねば……
「おいマリベル。お前最近いやらし過ぎだぞ」
「ち、違うもん。お兄ちゃんがマルガリータばっかりにするから、私のほうがお兄ちゃんの、んんっ!」
マリベルは体をビクッと震わし、息も荒く俺にしがみついた。
全身の力もすっかり抜けてしまった。
「いや、婚約者は皆平等なんだから」
「い~や~! マルガリータより私のほうが先だもん。これは、はぁ、あっ!」
「まったく、マリベルは我がままだな」
「ひっ、あっ、うっ……」
俺の指先の動きに、マリベルという楽器が艶のある音色を響かせる。
それはマエストロの指先。
嬌声の旋律に乗って、官能の前奏曲が始まる。
いつしかマリベルは、俺の指先に酔いしれ、悦楽の組曲を体で表現する。
扇情と快楽とを、指先一つで演奏する、俺は愛の吟遊詩人。
俺に触発されてか、マリベルは俺の楽器を口に含み、懸命に演奏する。
だがなマリベル。
今のお前の腕前では、とても俺の純白の愛は受け止められない。
しかしマリベル。
愛しい妹の可愛い演奏に、俺は微笑まずにはいられない。
だからマリベル。
今日はここでおしまいだ。
お前と俺とじゃ、熱愛の協奏曲を弾くのは早すぎる。
ゆえにマリベル。
共にベッドでゆっくり眠り、続きは夢の中でしよう。
第43話 「魔王様、愛を奏でる」
⇒第44話 「魔王様、魔法ドカタになる」




