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超弩級超重ゴーレム戦艦 ヒューガ  作者: 藤 まもる
第2章 迷宮探索編
25/75

第23話「VSキングゴブリン」

 俺たちは雑貨迷宮最下層の第10層に到着。

 回廊を警戒しつつ進撃する。


 俺とソフィアが前衛。中衛にパッツィ。

 後衛がマリベルとマルガリータだ。

 さっそく魔獣とエンカウント。


「前方からアックスゴブリン4。俺とソフィアでやる。パッツィは援護。後衛は待機」


 アックスゴブリンは刃の小さい両手斧を持った大柄なゴブリンだ。

 この階層には、火玉ボイドを使ってくるメイジゴブリンがいるはずなので、後方からの攻撃に備え、後衛は待機してもらう。


 アックスゴブリン4匹が30メートルに接近。

 パッツィは矢を3本づつ連射する。

 先頭の1匹に矢が3本命中。

 続けて2匹目にも矢が2本刺さり、先頭2匹が倒れる。

 残りの2匹が俺たちの相手だ。

 

 1匹がソフィアを狙って斧を振る。

 ソフィアはバックステップで回避。

 即座に強烈な突きを撃ち返す。

 だが、アックスゴブリンもバックステップで回避。

 なかなかいい動きだ。


 アックスゴブリンは斧の柄で突きを放つ、ソフィアはそれをサイドステップでかわし、短剣の護拳部分でゴブリンの左手を殴る。

 そして後退しつつレイピアの打ち下ろしで、ゴブリンの左手を斬る。


 左手が使えなくなったアックスゴブリンは、右手だけで横なぎに斧を振るうが、スピードが遅くソフィアは回避。


 俺にも、もう1匹のアックスゴブリンが斬りかかる。

 俺は横に回避してシールドバッシュを食らわし、体勢が崩れた所で突きを放つ。

 右肩を打ち抜いたが、

 ゴブリンは左手だけで突きを放ち、俺はその攻撃を盾で弾く。 

 その時、パッツィが叫ぶ


「後方から魔獣接近。アックスゴブリン4、メイジゴブリン1!」


 後方の敵は後衛、中衛に任せ、俺とソフィアは目の前の敵に集中する。


 右手だけで斧を振るうアックスゴブリン。

 隙を突いてソフィアが仕掛ける。


「シャッ!」


 連続でレイピアで突きを繰り出し、ゴブリンの顔面と胸を打ち抜く。

 油断せずソフィアはバックジャンプしながら、レイピアを打ち下ろし、ゴブリンの額をカチ割り、アックスゴブリンを倒す。


 俺は左手で斧を振るうアックスゴブリンを盾でいなし、突きを放って左手を打ち抜き、ゴブリンは斧を落とす。

 俺は渾身の突きで、ゴブリンの胸を打ち抜いて倒した。


 パッツィは後方から接近する魔獣達に矢を放ち、先頭のアックスゴブリンに矢を3本当てて沈める。

 やや距離があったものの、

 パッツィは続けてメイジゴブリンに3本の矢を発射、うち2本がメイジゴブリンを貫き絶命させた。

  

 残ったアックスゴブリン2匹はマリベルに向かい、1匹はマルガリータに向かう。


「光闇魔法――――生命力吸収ヴァイタルドレイン

 

 マリベルは魔法で相手のスタミナを奪う。

 2匹はマリベルに斬りかかるが、マリベルは鉄棒を巧みに操り攻撃カットに集中、時間を稼ぐ。


 戦闘が終わった俺は、全力ダッシュで後衛に向かう。

 ソフィアは事前の取り決め通り前衛で待機。


 マリガリータにアックスゴブリン1匹が襲いかかる。

 マリガリータは突きでけん制しつつ後退。

 いつのまにかゴブリンの足元に忍び寄った人形、鮮血の貴婦人ビビアナが足を短剣で切り裂く。


「ギイッ?」


 驚いたゴブリンの隙をつき、マリガリータは急加速、

 ゴブリンの顔面をショートレイピアで打ち抜き、再び急加速で離脱。

 倒れたゴブリンの首に、ビビアナが短剣を突き立て止めを刺す。


 俺はマリベルの真横に飛び出し、投擲短槍ショート・ランザーを放ち、マリベルを襲っているゴブリンのわき腹に槍を打ち込む。


 マリベルの生命力吸収ヴァイタルドレインが効いていたのか、その一撃でアックスゴブリンは崩れ落ちる。


 残り1匹になったアックスゴブリンは、マリベルと打ち合っている間に、背後からマルガリータの刺突を受ける。

 続けて攻撃に転じたマリベルから、鉄棒の強烈な突きを顔面に食らいあっさり倒れた。

 

 戦闘は終了。

 ソフィアとマリガリータが警戒に立ち、俺達はドロップ品を拾う。

 拾いながら俺はパッツィとしばし相談。


「まあ危なくはなかったが、アックスゴブリンはなかなか強いな」


「そうね、マリベル、マルガリータにもう少し攻撃魔法を撃たせましょう」


「だな、その分ソフィアの精霊魔法はボス戦に温存するか。」


 その後、30分間に3度戦闘を行い、回廊の敵はあらかた片付けた。


 この第10層のドロップ品は、

 エール、果実酒、ピーナッツ、ドライフルーツ、ドライソーセージ、燻製肉、炭酸水、燻製魚、などなど

 酒とおつまみがメインだった。

 食べ物はたいしたことはないが、酒はそこそこの値段で売れる。





    超弩級超重ゴーレム戦艦ヒューガ

   ⇒第2章 迷宮探索編





 回廊の敵を全滅させた俺達は、ボス部屋までの最短距離を突き進む。

 4つの部屋の魔獣を次々に倒し、いよいよ最後のボス部屋にたどり着いた。


 準備を終えてボス部屋に突入すると、部屋の真中で大きな黒いもやが発生。

 雑貨迷宮最後のボス「キングゴブリン」が出現した。


「ちょっ、でけえ。こいつ本当にゴブリンかよ……」


 出現したキングゴブリンの大きさは縦横4メートルほど。

 ゴブリンというよりは、オーガみたいな印象だ。

 武器は持たず、両手にアイアンナックルをはめている。

 殴り攻撃が主体のようだ。

 

 キングゴブリンは下を向いて、

 こちらに向いて歩き出す。

 とにかく戦闘開始だ。


「マルガリータはキングゴブリンの後ろに回りこめ、それ以外は正面から魔法攻撃!」


「――――精霊赤魔法!」


「光闇魔法――――光矢ラズ・フレッチャ!」


「風雷魔法――――風刃ビエント・カッター



 俺達から放たれた魔法が次々にキングゴブリンの胴体に命中。

 その間にマルガリータは小さな翼を広げ、足元を一気に飛び抜き、キングゴブリンの後方に回る。

 パッツィも爆裂矢を発射。

 キングゴブリンの胸付近で小爆発を起こす。


 が、やはり雑貨迷宮最後のボス。

 この程度の攻撃では倒せない。


「ソフィア、あいつの左足を直接攻撃!」


「エスパルダ、右足に体当たり攻撃!」


 ソフィアとエスパルダは足元に突撃。

 上手く滑り込むことに成功した。


「ヤァッ!」


 ソフィアは叫びながら巨大な足をレイピアで刺突する。

 右足にエスパルダの体当たりが炸裂。

 後を追っていた鮮血の貴婦人ビビアナが、キングゴブリンの右足に短剣を突き立てる。


「ガアアアッ!」


 キングゴブリンは吼え、俺に右腕の拳骨を落としてくる。

 俺はバックステップで回避。


 ドガァッ!


 凄い音がして、拳骨が当たった床がへこむ。

 その直後にキングゴブリンは、左腕で俺に向かってフック気味のパンチを浴びせる。


 俺は数度サイドステップを踏み、そのパンチをギリギリで回避した。

 目の前をパンチの風切り音が通り過ぎる。

 

 おおお、冗談じゃないぜ。

 あんなもん食らったら死ぬ。


「人形魔法―――――怪力付与パワー・コンセゾン


 薔薇の吸血姫オルエッタのパワーが上昇。

 飛翔してキングゴブリンの頭部に短剣で斬り付け、ほっぺを裂いた。


 キングゴブリンは右足で蹴りを放ち、懸命に短剣で突いていたビビアナを蹴り飛ばす。

 ビビアナは壁に叩きつけられ、左腕が千切れ飛んだ。


 続けてソフィアを狙って左足で蹴りを放つが、事前に察知していたソフィアは、後方に下がって蹴りを回避した。


 うーん。

 一撃刺殺スキルを持つ俺の目から見ると、

 キングゴブリンの右胸の奥に、心臓か魔力コアのようなものが見える。

 あれを潰せば、キングゴブリンを倒せるかも知れない。

 やってみるか。


「パッツィ、マリベル。タイミングを合わせるぞ。俺が合図したらあいつの右腕を集中攻撃だ!」


「「了解!」」


 キングゴブリンは、再び俺に右腕を振るう。

 俺は高速サイドステップで回避。


「今だ!」


 マリベルの光矢ラズ・フレッチャと、パッツィの爆裂矢が、キングゴブリンの右腕に連続で命中。

 俺も雷撃トールを至近距離で当てた。


 攻撃が効いたのか、

 キングゴブリンの右腕はだらりと下がったまま動かない。

 ここで仕掛ける。


「行くぞ! ハァッ!!」


 俺は裂ぱくの気合に魔力を乗せた。

 ルーン魔法の威圧だ。

 キングゴブリンの動きが鈍くなった。


「ルーン魔法―――――闇移動!」


 俺の体は瞬間的に闇化、真上に5メートル飛翔して、天井付近で再び物質化。

 そのままキングゴブリンの胸めがけて落下する。


「オラァッ!」


 ズドン!!


 落下速度と俺の体重をかけ、キングゴブリンの右胸に俺の手甲剣セスタ・エスパーダが突き刺さる。

 ちっ、

 この攻撃でコアを打ち抜きたかったが、残念ながら予想より胸肉が厚かった。

 右胸のコアに少ししか届いていない。

 早く離脱しないと。


 俺は両足でつっぱり手甲剣を引き抜こうとしたが、横からキングゴブリンの左腕が伸び、手甲剣を掴んでしまった。


「くそっ、抜けねぇ!」


「魔王様、危険です。剣を離してください!」


 手甲剣に組み込んだブレインが叫ぶ。


「いや、しかし……」


「魔王様のお役に立つことが最高の誉れ。魔法を使います!」


 逡巡している暇はないか……


「すまん!」


 俺は手甲剣から手を離し離脱、再び闇移動で5メートル後方の床に着地した。


ドンドンドンドン!


 ほぼゼロ距離から、ブレインは4発の火玉ボイドを放つ。

 冷熱魔法レベル1の魔法だが、これだけの至近距離で4発も浴びれば、それなりのダメージを与えられる。


「グァアアアア!」


 キングゴブリンは手甲剣を引き抜き、そのまま壁に向けて叩きつけた。

 ああ、大丈夫かよブレイン……


 左腕を大きく振り終えたキングゴブリンの隙を、パッツィは見逃さなかった。

 用意していた爆裂矢を顔面に向けて放つ。


「人形魔法――――打撃力付与アタック・コンセゾン


 上空を飛んでいた薔薇の吸血姫オルエッタの上昇したパワーに、攻撃力が加算される。

 オルエッタは高速スピンを開始、キングゴブリンの後頭部に向かって猛スピードで急降下。


ドォォォン!


 爆裂矢が命中し、

 キングゴブリンの顔面が炎に包まれる。

 その直後にオルエッタのスピンアタックが、キングゴブリンの後頭部を叩き割る。


 この攻撃に、さしものキングゴブリンも耐え切れず、ゆっくりと後方に倒れて沈んだ。


ドドン!


 キングゴブリンの倒れた音が、迷宮内にこだまする。


「やったー!」


「お見事。雑貨迷宮クリアよ!」


 ソフィアとマリベルが歓声を上げる。

 黒いもやと共にキングゴブリンが消える。


 ドロップ品は、

 高級ソーセージ詰め合わせセットが5パックだ。

 売れば金貨5枚になる。


 そして詰め合わせセットの隣には赤色の迷宮鍵があった。

 この迷宮鍵があれば、地上の入り口から一気に10階層に転移できるのだ。

 迷宮ではこの鍵が10階層ごとに手に入る。

 雑貨迷宮は10階層しかないから、1つしか手に入らないけどね。


 とにかくやった!

 ついに雑貨迷宮をクリアしたんだ。

 初めて迷宮に挑戦してから足掛け4年。 

 長かったなぁ。

 俺の頭の中で「蛍の光」が演奏された。




 あっ、そういやブレインは無事なのか、

 俺は慌てて手甲剣が飛んでいった場所に走り寄る。

 手甲剣は擦り傷だらけで、改造した金属部分はネジ切れていた。

 ブレインは見当たらない。

 どこに行った。


「大変です、魔王様!!」


「うおっ!」


 手甲剣の横の石片からブレインが飛び出して来た。

 おまえなぁ。

 外見がグロテスクなんだからビックリするだろ。

 もう少しゆっくり出てこいよ。


「魔王様、重要なことが判明しました! この部屋の遥か奥に私の『仲間』がいます。今、テレパシーで呼びかけられました」


 なんだよ仲間って、

 それでなにか?

 仲間同士で殺しあったりするわけか?


「ちょっと何アレ魔獣?」


「というか魔王って何、ソールが魔王?」


 その声に振り返ると、

 パッツィ、ソフィア、マリベル、マルガリータが驚愕の顔で俺を見ていた。

 ああぁ、しまった!

 こんなとこで魔王バレかよ。


「おいブレイン、お前のせいで俺が魔王ってバレちゃったじゃないか!」


「何をおっしゃいます。向こうのお三方は前魔王の下僕の子孫、妹様も大変寛大なお方。心配はいりません。そんな些細なことはどうでもよろしい」


「よろしいわけあるか! どうすんだよ魔王ってバレて、俺世界征服の方法とか知らないぞ!?」


 そうだよ、

 魔王っていっても俺ズブの素人じゃん。

 何かテキストとかマニュアルがないと、世界征服とかできないと思う。


 やっぱ形から入るべきなのか、いやでも俺、高笑いの練習とか、面白くも無いのに大笑いできないんだけど。


 しかしブレイン、いつも冷静なのに明らかに興奮してるな。

 寄生魔獣にも感情があるのは聞いていたが、これほど暴走するとは思わなかった。


「ソール」


 パッツィの声が真後ろから聞こえる。

 俺は恐る恐る振り返る。


「どういうことか、ちゃんと説明してね」


 パッツィがニンマリ笑う。

 俺は観念した。




****

 ステータスプレートを見せて、俺の職業が魔王だと明かした。

 嫌われるかも、とビクビクしてたが、何か皆の様子がおかしい。


 パッツィはうんうんとしきりに頷き、「やっぱり私の男を見る目は正しかった」とか言ってるし、ソフィアはハイテンションで「魔王、魔王!」とか騒いでいるし、

 マルガリータはキラキラ目で俺を見てるし、マリベルは首を傾げていたりする。


 あれぇ?

 魔王って悪役とか悪の化身とかじゃ無いの?

 というようなことをパッツィに尋ねると、盛大に呆れられた。


「はぁい? 魔王って魔族の王って意味よ。そんな悪の化身だったら、その下僕の子孫がこんな堂々と町で暮らしてなんかいないわよ。私も全然凶暴じゃないでしょ? しとやかな女って感じで」


 いやまぁ、パッツィはたまに凶暴だけどさ、

 たしかに言われて見れば、

 この国の人間族と魔族は基本的に仲良しだよな。

 いさかいがあっても、個人的なケンカしか見たこと無い。


「じゃあ、魔王は悪いイメージじゃないの? 正義の味方?」


「正義の味方かどうかは知らないけど、それは国によるわね。私達から見て悪の権化と言ったら、真っ先に覇王を思い起こすわ。ソールがたまに行ってる図書館にも歴史書ぐらいあるでしょ、読んだこと無いの?」


「うっ…… 歴史書見て、もし魔王が無抵抗の人を虐殺してたら精神的にへこむと思うから、怖くてあんまり読んでない……」



 パッツィによれば、600年前に覇王と魔王の間に戦争があったそうだ。


 覇王は北方でアルコン帝国を打ち立て、数々の侵略戦争でエスパーニャ大陸を席巻、全土を植民地とした。


 しかし600年前に西の果ての海から魔王が来襲。

 激しい戦闘の末、覇王はすべての植民地を失った。

 苛烈な支配を受けていた国々は、再び独立を勝ち取る。


 魔王の配下の魔族軍団と、覇王のアルコン帝国軍は激しく戦ったが、直接対決は実現しなかったらしい。

 

 というわけで、

 今でもアルコン帝国では、帝国弱体化の原因である魔王は憎まれている。

 反面その他の国では、戦争で棚ぼた式に独立ができたので、魔王に友好的な国は少なくとも、積極的に敵対する国は皆無なのだそうだ。


「そりゃ戦争だからね。魔王だって清らかな存在ってわけじゃない、是も非もあるものよ。」


 なるほど。

 とりあえず俺はレオン王国に来て助かったわけか。

 これがアルコン帝国への漂着だったら死んでたな。



「で、そこにいる肉団子の目玉のお化けは何?」


「ああ、こいつは魔王が召喚できる専用魔獣だ。ブレインと名前をつけてる」


 さすがに寄生魔獣とは言わなかった。

 脳を乗っ取る魔獣とか不気味だしな。


「そうです。そろそろ話を戻しましょう。この部屋のずっと奥に私の仲間がいます。前魔王が去られてから500年以上この地で魔王様を待っていました。ついてきて下さい」


 そう言うとブレインは、下腹部から2本の足を生やして、トコトコと奥のほうへ歩き出した。

 逡巡しつつ俺達も全員ついて行く。

 しかし500年以上前から待ってるって、

 一体何があるというのか。


 この最深部の部屋には、雑貨迷宮のダンジョンコアがある。

 目の前の大きな台座に5つ星魔力結晶が乗っている。

 これがそうだ。


 この5つ星魔力結晶がダンジョンに魔力を送り、魔獣を復活させたり、ダンジョンを修理している。

 ただ、この5つ星魔力結晶は触媒であるらしく、魔力が減ると、自動的に魔界から魔力が補充されるらしい。


 このダンジョンコアを台座から外すと、ダンジョンでは魔力が流れなくなり、即座に魔獣は消滅する。

 ダンジョン自体も1週間ほどで消えてしまうのだそうだ。


 この台座の足元にはいくつかの魔法陣が描かれており、よく見ると台座の周辺は薄い魔力障壁で包まれている。

 これはダンジョンコアを保護するために、総合ギルドが設置した結界だ。


 リリアの町の近辺では、迷宮は雑貨迷宮と武具迷宮しかない。

 そこからもたらされるドロップ品は、町を支える産業に役立っているのだ。


 そのため、迷宮を討伐するより保護するほうが町の利益になる。

 というわけで、勝手に迷宮を討伐されないように、総合ギルドが結界で、ダンジョンコアを守っているのだ。



 ブレインはその台座を無視し、さらに進んで何の変哲もない壁の前に立つ。


「ここです。しばしお待ちを」


 しばらく待っていると、地響きの音が聞こえ始めた。

 ゴゴゴゴ……

 と音がして皆が不安顔になる。

 

 と、ふいに壁の一部が光り輝き消滅した。

 そこに長い長い通路が現れたのだ。


「こ、これは……」


 俺達は唖然とその通路を見つめる。

 その通路は等間隔で明かりが点いていたが、雑貨迷宮とは明らかに雰囲気が違う。

 赤い壁に大理石のような床が光っている。


 その通路がずっと奥に続いている。

 俺達は目をこらすが、先を見通すことはできなかった。





    第23話 「VSキングゴブリン」

   ⇒第24話 「デーモンキング・シップ」


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