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私の最高傑作は冥王です  作者: 屋猫
第一章 出会い
13/48

13 ゾルウェストの砦上空にて

 死体を魔法で消し去った後、ジュラとオズウェルはゾルウェストの砦へと向っていた。

 オズウェルの話しでは、一人だけ砦の方に逃げて行ったらしい。

 そして、とりあえず様子を確認しておこう、と言うことになったのだ。


 「じゃあ、この地域は帝国の領地になってから日が浅いの?」


 「ええ、そうです。帝国は30年ほど前から積極的に領地の拡大を行い、各地へ侵攻しています。」


 ジュラは背後に座るオズウェルの話しを、興味深く聞いていた。

 ジュラは基本的に人間の社会とは関わりを持たず、人との付き合いは亜人との交流が中心なので、人間の国家についての近年の動向を全く知らなかった。


 「この30年間で、旨味のある地域は全て支配化にいれてしまいました。現在は目ぼしい地域も無くなってしまったために、今まで見向きもしなかった辺境の寂れた地域にさえ侵攻しているようです。」


 「でも、領地の拡大はやめないの?」

 

 「ええ、帝国は奴隷国家ですから」


 人間の国の中でも大国と言われるソルスト帝国は、侵略した国々の人を奴隷とし労力として使う事で発展して来た国である。

 帝国内は厳しい身分制度があり、皇族、貴族、市民、下級市民、奴隷という階級に別れている。占領された国や地域の人々は農奴や鉱奴として、重労働についていた。

 市民は侵略以前から帝国民であったか、侵略の際に金でその地位を買った者達である。

 下級市民は20年以上占領地下にあり、帝国への帰化がある程度完了していると判断された地域の者達が与えられる地位である。

 しかし、その待遇は奴隷と殆ど変わらず、帝国に占領されれば一生奴隷から抜け出すことは不可能であることを意味していた。


 「ふうん」


 オズウェルの説明を聞きながら、ジュラは何とも気のない返事をした。

 始めは興味深く聞いていたのだが、もともと人間と関わりが薄い為か、直ぐに興味が失せてしまった。


 ――人間は学習しない生き物だなぁ。数百年経っても、結局は振り出しに戻る


 ジュラは醒めた気持ちで眼下の砦を見下ろしていた。石材を積み上げ砦らしい体裁をどうにか取り繕っている、という実に粗末なものだった。

 今は、そこかしこに見張りの兵らしきものが立っているが、その様子はおどおどとしていて実に頼りない。


 「あれは、帝国の騎士でありませんね」


 オズウェルが砦の様子を観察しながら、そうこぼした。


 「おそらく、砦にいる奴隷達を武装させているようです」


 「奴隷に武器を渡すなんて、無用心だねぇ」


 「武器を持っていても、彼らが反抗する事はできません」


 砦を警備しているのは十人ほどの奴隷兵士である。


 「彼らには、隷属の魔術が掛けられていますから」


 「隷属の、魔術?」


 「ええ」


 隷属の魔術は、奴隷大国のソルスト帝国で開発された魔術だ。

 侵略した地域を、円滑に速やかに支配化に置くために、常習的に使用されている。

 本来は、重犯罪者に使用されていたものだったのだが、帝国の方針が大きく転換された30年ほど前に改造され、それ以降帝国内で広く使用されていた。


 施されたものは、本人の意思に関わらず帝国騎士に反抗することが出来なくなる。


 「反抗、出来なくなる?」


 「そうです、反抗しようとすると体硬直して動けなくなります。また、指定された地域よりも外に出てようとすると、足が動かなくなるようにされています」


 「逃亡防止、も含まれていると」


 「そうです。しかも、開放することは前提にされていないため、解術も考えられていません」


 「ふうん」


 姿隠しの魔法を纏った状態で、砦の上空を旋回していたジュラは砦の右奥に檻を見つけた。


 上空からでは中の様子は分からない。かなり大きな檻のだ。


 「なんだろねぇ、あれ」


 ジュラが指す方をオズウェルものぞき見るが、オズウェルにも分からないようだ。


 「・・・あの箱は、魔獣や妖獣を捕らえておくためのものですが」


 「は?そんなもの、捕まえてどうするの?」


 魔獣や妖獣は、小さく弱いものもいるが、あの箱に入る大きさとなると、中級レベルの魔獣となり、人間でも数十人で倒せるかどうかという強さになるだろう。


 「帝都では、犯罪者を魔獣と戦わせる、という見世物が人気です。犯罪者といっても、帝国に最後まで抵抗した人間や、占領した国や地域の指導者達が殆どですが・・・」


 「はぁー、随分高尚な趣味だこと・・・」

 

 オズウェルの話しを聞いて、ジュラは呆れ果てていた。


 ――・・・見せしめ、ていうやつですかねぇ


 そして、何気なく檻の中を魔法で覗きこんでみたのだ。






  

 

 

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