青春放棄の生存確認
早朝、幼なじみが死んでいた。
え、ヤバくない? 死んでない?
「暑い…」
それは口を開き、言葉を絞り出す。
僕はホッとしつつ、歩いて向かう。
作家志望で不登校の幼なじみ。
夏の朝、早朝だが、既に太陽は出ている。
今日の『生存確認』は死体もどきから始まった。
「生き返るー! やっぱ暑いときは冷たいジュースだよねっ」
「参考書を買うお金が減ってしまいました」
「ツケだよ、ツケ。私が作家になったときにねっ」
「いつ夢は叶うのやら」
などと、いつものようにやりとり。
公園のベンチに座る僕たち、早朝ゆえ、ここには2人しかいない。数日後から夏休み。ラジオ体操に使われるかもしれない、などと想いを馳せる。
「とりあえず、元気だった?」
「うん、元気だったよ。暑いのが困り事かな」
「僕たちの中学校はそろそろ夏休みに入ります」
「関係ないね、私そーいう青春捨てちゃったもん」
「青春放棄、残念だ」
「何で?」
「いやいや、こっちの話、気にしないで」
首を傾ける幼なじみ、青春放棄者、中2という一番楽しい時期を放棄した者。
「夏休みの宿題があるよ」
「適当にやってよ、委員長じゃん」
「将来が心配だ」
空を仰ぎ、僕は苦笑い。
「ま、いいや、生きてるって分かったし。
じゃあ、僕は学校に行くから」
立ち上がろうとする。
「ちょっと待って」
「何ですか?」
「飲みたくなくなったから、あげる」
缶を差し出してくる。
「買わせたくせに要らなくなったって」
「いいからいいから、ほら、飲みな」
仕方ない。
僕は半分くらい入った炭酸の缶を飲む、
ゴクゴク、と。
「間接キスだね」
「ぶっ」
朝から公園を汚しそうになってしまった。
ニヤニヤ、としながら見てくる青春放棄者。
「からかってみたっ」
「放棄したんじゃなかったの?」
「やだなー、私と間接キスして嬉しい人なんかいる訳ないじゃん」
ここにいるぞ、と言いそうになってしまった。
最後までお付き合いありがとうございました!




