ハルユメ外伝 -俺達のスタジオ-
登場人物
宮本雄介(♂︎)
加賀大輝(♂︎)
桐生先生(♂︎)
〈友情出演〉百瀬一華(♀)
第一章『出会い The First Contact』
ある日の昼休み。
図書室で映画脚本を書いていた雄介。
しかし誰にも見せる気はない。
雄介
「どうせ作れないしな……」
そこへ。
窓際でスマホを構えていた大輝が叫ぶ。
大輝
「うおおお!!今の鳥めっちゃ良い画!!」
雄介
「図書室で騒ぐな」
大輝
「お前それ何書いてんの?」
雄介
「別に」
大輝
「脚本じゃん!」
雄介
「違う」
大輝
「絶対脚本じゃん!見せろよ!」
強引にノートを読む大輝。
雄介
「ちょっと!返せ!」
数分後。
大輝
「おもしれぇ」
雄介
「は?」
大輝
「これ映像にしようぜ」
雄介
「無理だ」
大輝
「なんで?」
雄介
「機材もないし、役者もいない」
大輝
「なら集めりゃいいじゃん」
雄介
「簡単に言うなよ」
大輝
「簡単だろ」
そして。
大輝は雄介を真っ直ぐ見て言う。
大輝
「お前が物語を作れ。俺が撮る」
雄介
「は…?」
大輝
「俺、お前と組みたい」
第二章
『映画部設立作戦』
放課後。
空き教室。
二人は映画制作計画を立てる。
大輝
「映画部作ろうぜ!」
雄介
「マジで言ってる?」
大輝
「部になれば堂々と撮れる!だし…ジャーン!」
雄介
「うお、どうしたそのカメラ」
大輝
「バイト代貯めて買ったんだよ。スマホのカメラじゃ味気ねぇじゃん」
雄介
「本気なんだな、お前。でもさ、部活するにも顧問はどうすんだよ?」
大輝
「これから探す!」
雄介
「勢いだけかよ」
大輝
「失礼な!勢いも活動には大事だぞ!」
雄介
「分かったよ。とりあえず、顧問してくれそうな先生探すか」
顧問探しが始まった。そこでとある先生に辿り着く。
第三章
『障壁』
職員室。
雄介
「映画部を作りたいんです」
桐生先生
「却下」
大輝
「早っ!?」
桐生先生
「活動実績がないだろ」
雄介
「なら作ります」
桐生先生
「作ってから来い」
大輝
「ぐぬぬ……」
桐生先生
「感情論で部活は作れん」
大輝
「感情論じゃねぇし」
桐生先生
「なら何なんだ」
雄介
「大輝も俺も、本気なんです!」
桐生先生
「本気だったら結果で示せ。話はそれからだ。」
雄介(独白)
「ここから、自主映画の制作が始まった。
放課後、休日俺達は集まった。失敗の連続。カメラワーク失敗、脚本修正、ケンカも絶えなかった。」
雄介
「だからその撮り方じゃダメだって!」
大輝
「脚本通りじゃ面白くねぇだろ!」
雄介
「桐生先生も言ってただろ!本気でやれって。遊びじゃねぇんだぞ」
大輝
「分かってる!」
雄介
「だったら真面目にやれや!」
初めての衝突。
完成した自主映画。
再び職員室。
桐生先生
「……」
黙って視聴する桐生。
雄介
「どうすか?」
桐生先生
「まだ甘い」
大輝
「は?」
桐生先生
「これでは部活動を任せられない」
大輝
「またかよ!」
雄介
「大輝!」
桐生先生
「映画ってのはな、遊びじゃねぇんだよ」
大輝
「桐生先生!あんた昔、映画研究会にいたって言ってたよな!?」
桐生先生
「……」
大輝
「だったら分かるだろ!脚本書いてるやつがどれだけ悩むか!撮る側がどれだけワクワクするか!俺らがどれだけ本気か!一番分かるのはあんただろ!」
静寂。
桐生先生
「分かるよ。分かるし本気だからこそ、簡単に承認できない……今日はもう帰れ」
大輝
「くっ…」
雄介
「大輝、もう行こう」
二人退場。
残された桐生先生。
桐生先生
「まったく…あのガキ、昔の俺みたいなこと言いやがって」
第四章『オリジン』
放課後
自主映画制作中。
休憩時間。
校舎の屋上。
雄介
「そういやさ」
大輝
「ん?」
雄介
「お前、なんで映画作りたいなんて思ったの?」
大輝
「俺?」
雄介
「ああ」
大輝
「……」
珍しく黙る大輝。
大輝
「俺さ、小学校の頃、入院してたんだ」
雄介
「え?」
大輝
「大した病気じゃないんだけどな。でも、ずっと病室で暇だった」
大輝
「ある日さ、親父が映画持ってきたんだ。古ーいやつ。でも、見たらめちゃくちゃ面白かった」
大輝
「病室にいたのにさ、気付いたら宇宙行ったり、冒険したり、泣いたり笑ったりしてた。映画ってすげぇなって思った。たった二時間ちょっとで世界を変えられるんだぜ?」
雄介
「……」
大輝
「じゃあ雄介は?」
雄介
「俺?」
大輝
「ああ」
雄介
「上手く言えないけど、俺は…誰かになりたかった」
大輝
「誰か?」
雄介
「主人公とか、ヒーローとか」
雄介
「でも無理だった」
雄介
苦笑する。
雄介
「だから作る側になった。物語の中なら、誰だって主人公になれるから」
ここで二人の原点が繋がる。
大輝
「なるほどな」
雄介
「何だよ」
大輝
「やっぱ俺ら相性いいわ」
雄介
「どこがだ」
大輝
「お前は夢を書く」
大輝
カメラを掲げる。
大輝
「俺はその夢を映す。完璧じゃん」
雄介
「フッ…なぁ大輝」
大輝
「ん?」
雄介
「ありがとう」
大輝
「何だよ…気持ち悪っ!」
雄介
「撤回する」
大輝
「悪かった」
屋上。
夕暮れ。
大輝
「なぁ雄介」
雄介
「なんだ」
大輝
「俺らの映画部さ」
雄介
「ああ」
大輝
「絶対すげぇ場所にしようぜ」
雄介
「当然だろ」
大輝
「誰かが夢を見られる場所」
雄介が少し笑う。
雄介
「誰かが主人公になれる場所な」
大輝
「それだ!」
その後も続いた企画、脚本制作、直し、リハーサル、そして撮影。
重なる試行錯誤の末
雄介
「できた」
大輝
「お疲れ!見せてくれよ」
雄介
「まぁ待て。再生するぞ」
再生
大輝
「いいじゃん!」
雄介
「これならいける」
大輝
「明日の放課後、職員室行こうぜ!桐生先生にも見せねぇと」
雄介
「あぁ。もう『却下』なんて言わせない」
最終章
『俺達のスタジオ』
翌日。
職員室。
桐生先生
「……うむ。宮本」
雄介
「はい」
桐生先生
「加賀」
大輝
「はい!」
桐生先生
「条件付きだ」
大輝
「え?」
桐生先生
「映画部設立を承認する」
沈黙。
大輝
「マジ?」
雄介
「本当ですか…?」
桐生先生
「ただし、つまらん映画は作るな」
大輝
「当たり前だ!」
桐生先生
「あと」
桐生、承認書に判を押す。
桐生先生
「好きに撮れ。責任は俺が持つ。これからお前らの作る映画、まずは俺に見せろ。出来によっちゃ、学園祭で上映会を許可する」
大輝
「じゃあ、映画部の顧問は」
桐生先生
「あぁ。お前らさえ良ければ俺がやろう。」
雄介
「よっしゃー!」
桐生先生
「浮かれるんじゃねぇぞ。忘れるな?条件付きだってこと。面白い映画作らねぇと、俺の権限の下、即刻解散だ」
大輝・雄介
「「はい…」」
桐生先生
「お前ら、よく頑張ったじゃねぇか」
雄介
「ありがとうございます!」
桐生先生
「活動開始するにも部室が無いことには始まらんだろ。少し狭いが、空いてる教室があってな。そこを使えばいい」
大輝
「サンキュー!先生!」
桐生先生
「ちょっと待ってろ。鍵と映画部の看板を持ってくる」
雄介
「もう看板があるんすか!?」
大輝
「先生〜、もしかして俺らに期待してた?」
桐生先生
「頑張るお前らに昔映画研究会にいた頃の自分を重ねてな。お前らなら、やれる気がする。」
大輝
「俺ら、頑張ります!」
感動のクライマックス。
ラストシーン。
空き教室。
新しいプレート。
『映画部』
大輝
「スタジオ完成だな」
雄介
「スタジオ?」
大輝
「あぁ。俺達の夢を作る場所」
雄介
「……そうだな」
大輝
「 俺、お前と組んで本当に良かった」
雄介
「俺も。 どうなる事かと思ったけど、お前が声掛けてくれなきゃ、ここまで来れなかった」
大輝
「ヘヘッ。で、次は何撮る?」
雄介
「決まってるさ。最高の作品だ!」
エンディング曲
My Buddy
桐生
「小さな思いが夢になり、夢は目標になる。夢なんて正直、続かない奴の方が多い。だからこそ、続けるんだ。その本気の熱意こそが、走り続けるための動力源になる。これは、『ハルユメ』へと続く、夢のために走り続けた2人の少年の物語」
そして数ヶ月後
大輝
「暇だな」
雄介
「俺、今脚本書いてる」
大輝
「新入部員来ねぇかな」
雄介
「この部活自体新しいからな。桐生先生に言われた通り、俺達がデカくするんだ。この映画部を。」
コンコン。
大輝
「お?」
部室のドアが開く。
そこに立つのは――
百瀬一華。
一華
「あのー、映画部って、ここですか? 1年の百瀬一華です。」
大輝
「同級生じゃん!大当たりだぜ!」
雄介
「ようこそ」
物語は『ハルユメ』本編へ。
『外伝 俺達のスタジオ』 完
To Be Continued...




