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OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「ついでだからこの際大きな話もしてしまうか」
「……なんなんだ? 大きな話ってのは。スタンピードの対応よりも大きな話って事でいいのか?」
「ああ、スタンピードの話よりも重要な話だ。何しろ、……ここのお貴族様の名前ってなんだったっけ?」
「あのねえ……。ルッテンドルフ辺境伯家よ。そのくらい覚えておきなさいよ」
「興味が無いからすっかり忘れてた。それで、ルッテンドルフ辺境伯家から、クリメリア町が独立しようって考える方向で動こうと思っている。それで、キッキリア町もそれに同調してもらいたいと思っているんだよ。スタンピードの対応もしなくて構わない。後はこっちで対処できるだけの戦力を蓄えるからな。冒険者ギルドにも協力はしてもらうが、大々的に独立を宣言しようと思っているんだ。そうしたら、スタンピードには関わらなくても済むだろう?」
「ちょ、ちょっと待て! 何の権限があってクリメリア町を独立させるって言うんだよ!」
「ちょっと考えれば解ることじゃないのかねえ。スタンピードの対処に間違ったんだ。辺境伯家を捨てても良いと思えるだけの材料が手に入ったんだから、独立しても構わないじゃないか。どうせ税金を取られるだけで我慢していた所なんだよねえ。それなら、独立してトップになった方が実入りは大きいじゃないか。そうじゃないのかい?」
「こっちのロゼリアはエデリオ商会の令嬢と言う事になる。つまりは、エデリオ商会が中心となって、クリメリア町を治める事になる。まあ、その交渉もしないといけないんだけどな。ただ、ここも重要拠点だと思っているからな。いずれは併合したいと思っていたんだよ。出来るなら、内諾を貰っておきたいと思ってな。ロゼリアの話では、エデリオ商会はこういう話には飛びつくって話だし。利益が最大になることを望んでいるなら、町1つくらいは治めてくれるらしいぞ?」
「当然だよねえ。辺境伯家に支払う分の税金を自由に使えるんだからさあ。しかも輸出も出来る土壌がしっかりとあるんだからねえ。それなりに稼げるとは思うんだよねえ。天秤にかければ、大きく傾くことは解っていることだし、まあ、間違いなく僕の父親は独立を選ぶと思うんだよ。そこは賭けてもいい。だからさあ、冒険者ギルドもこっち側に来ないかいって話なんだよ」
「……お前ら、本気か?」
「本気も本気だ。独立しても、戦力さえ整えられれば、独立を維持することも可能だと考えている。まずは手近な所から治めていきたいから、クリメリア町とキッキリア町をって推薦をするつもりでは居るけど、出来るなら、農業に特化した町も取り込みたいよねって思っている。そのくらいはなんとかなるとは思うんだが、どうだ? こっちの話に乗る気は無いか?」
好条件で買い叩いてやろう。それはそうなんだよなあ。高値で買い取ってもらえるとは思わない方が良い。何しろ今後は大改革を推し進めていくからな。俺はダンジョンには潜れなくなるかもしれないが、それは別に構わない。俺がダンジョンに潜る必要性は、そこまで無いからな。未開地ならともかく、ダンジョンなら、俺が抜けたって攻略速度は変わらない。採取だけちょっと手間取るかなって感じなんだよ。それだけだな。
冒険者ギルドは残す。組織として残すだけだ。商業ギルドは組み込めないが、冒険者ギルドなら組み込んでも問題ない。出来る限りの事をやるつもりで居るんだよ。そう、出来る限りの事をね。色々とやってやるから心配しなくてもいいぞ。冒険者にならない連中も居るかもしれないが、誰しもが冒険者として活動しなければならない事にしてしまう方が良いんだよ。出来れば、戦力になってくれると助かるしな。
「俺は一応だが、ルッテンドルフ辺境伯家の傍流でもあるんだが? ……まあ、縁はもの凄く遠いが。そんな俺を組み込めると思っているのか?」
「組み込めると思っているから話を設けている訳だよねえ。だってそうだろう? この町、キッキリア町には、今は大した戦力が居ない。つまりは、スタンピードが抑えられなかったとき、この町を危険に侵すわけだ。しかも、辺境伯家の方針としては、抑えるのが精一杯で、しかも失敗している。被害は拡大する一方だ。それなら、選択肢としては、1つしか残されていないと思うんだがねえ。辺境伯家の領地を捨ててでも、領都は守るだろう? それなら、こっち方面は切り捨てられる。そうじゃないのかい? スタンピードを抑え付けるだけの戦力を、ありったけの戦力を寄こせと言われたんだろう? それでもスタンピードを抑えるのに失敗しているんだ。この町の人々は、見捨てられたんだよねえ。既に辺境伯家としても、損切をしているだろうさ」
「だな。戦力的に守ることが難しいなら、守る場所を考えればいい。そうなった時、領都を中心に守るのが普通だ。領都はスタンピードの向こう側だって話を聞いている。だったら、こっち側は捨てられるんだよ。遅かれ早かれ皆滅びるんだ。それなら、独立した方がいいだろう? 大きく賭けに出た方がいいだろう? 待っていても死ぬだけなんだから。死ぬくらいなら、大きく足掻いてみないか? まだ死にたい訳では無いんだろう?」
「……ほんとお前らは何処まで見通しているんだよ。まあ、捨てられたってのは解っているつもりだ。この町だけじゃねえ。大半の町は捨てられたんだよ。冒険者も半分以上は引き抜かれているからな。それなら俺が生き残る方に賭けた方が良いんじゃないか。お前らはそう言いたいわけだ」
その通り。お貴族様がするのは保身。自分の身が一番かわいいんだ。それはそれは大事にするだろう。こんな木っ端な町なんて捨てて、自分の身が守れればそれで良いんだから。精鋭を送り込んでも既に遅い。そんな事は既にやっている筈なんだよ。それでも無理だと言う事は、そう言う事でしかない。この町は、この近辺の町は、見捨てられたんだ。既に辺境伯にとっては、ここは未開地と同じ土地なんだよ。じゃあ、独立しても問題ないよねって話になるだろう? こっち側は勝手にやると。それで良いじゃないか。駄目ならそうやって辺境伯が誘導するだろうからな。しないと言う事はそう言う事だ。損切は既に済ませたと言う事なんだよ。
「こっちにベットした方がいいぞ? 賭けるなら、勝ち目の高い方にベットする方が得だ。そうだろう? 辺境伯家に賭けても、この町は滅ぶことになるんだ。なら、滅ばない可能性のある方に賭けた方がお得だ。どっちにしても死ぬなら、足掻いてから死ぬ方が良いんじゃないか? まあ、俺たちは死ぬ気はないけどな。やれることは何でもやるつもりだ。時間はまだまだあるんだよ。それなら出来る事だってあるんだ。スタンピードを納めることは、まあ、出来なくもないんだけど、やってやる義理も無い。こっちはこっちで独立した方が良いんだよ。そのためには、キッキリア町は欲しいと思っている。クリメリア町を中心に、大きく旗を揚げようぜ?」
冒険者ギルドの判断はどう出るのか。それはこの場で決めて貰う。エデリオ商会は確実にクリメリア町を交渉で頷かせる。それに追随するだけで良いんだよ。簡単だろう? ちょっと独立してみたんだって感覚で良いんだよ。どうせお前らが捨てたんだから。俺たちが拾っても文句は無いだろう? 拾ったのが宝石の原石だとしても、お前たちは捨てたんだ。その事実は変わらないんだよ。さあ、サイコロは投げたぞ。出目がなんなのかを知る前に、賭けなければならない。もし乗らなかった場合は、死ぬのが早くなるだけなんだからな。




