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OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「そう言えば、ロゼリアの所の商会って、なんて商会なんだ?」
「今更そこぉ? まあ、良いけど。エデリオ商会だよ。創始者の名前がそうなんだよねえ」
「え!? エデリオ商会!?」
「あれ? エイミーは知っている感じか?」
「というか、知らない人の方が珍しいわよ?」
「だな。こちらも知っている」
「そもそもルッテンドルフ辺境伯家で一番大きな商会は? って聞かれたら、3つ出てくるんですが、その内の1つですから」
「本物のお嬢様じゃない……。何で冒険者をやっているの?」
「商売には興味がなかったしねえ。それに、冒険者をやった方が販路が広がるんじゃないかって思ってさあ。……まあ、ヒヒイロカネの鉱脈を見つけた方がまだマシだった気分だけどねえ」
「それは否定できないです。でも、販路って商売には興味がないんじゃないんですか?」
「興味はないけど、実家を利用するんだから利用もされないといけないからさあ。出来ればいい商売相手を見つけられればって程度だったんだよねえ。まさか、本当に大きな商売になるなんて思っても居なかったさ。親孝行のつもりで言っただけだしねえ」
「なるほどな。実家との繋がりを利用するつもりで冒険者になったのか。それで有望そうな冒険者パーティーに入って、と言う事だな?」
なるほどな。アークエンジェルでパーティーが見つからなかったのはそれか。選ばれなかったんじゃなくて、選ばなかったのか。将来有望って思える冒険者と出会わなかったと言う事か。俺たちは将来有望だと思ったと。そりゃそうか。最初からあの杖を見ていたんだからな。
「それで? アリの巣の攻略はどうだったんだ?」
「順調だったわよ? けど、段々と強くなってきたわね。最後のなんて85層もあったし」
「そうだな。上位のアントが出てきているとは思った。叩き潰したが」
「それでしたらそろそろスタンピードだと思いますよ? 卵が動いていましたから、そろそろ限界を迎えるんじゃないかなと」
「え!? そうだったんですか!?」
「ミサト君はよくそこまで見ていたねえ。じゃあ次の世代が生まれようとしていたって事だよね?」
「ああ、その世代が生まれたらスタンピードになる可能性が高いだろうな。巣の中もかなりの密度でアントが居たのは確認しているし、何時溢れてもおかしくない状況だったはずだからな。それで、冒険者ギルドは何らかの対応をしていたのかどうかだが……」
「外部から冒険者を呼んでいるのは確認しているわ。戦力的には問題ありだとは思うけど」
「そこまで強そうには見えなかったな」
「数合わせでしょうね。犠牲者が増えるだけな気がします」
「犠牲者が増えるんですか!? それは不味くないですか!?」
「不味いねえ。どうするつもりなんだい? 打開策はあるのかい?」
「いや、普通に戦って普通に抑え込むしか方法がない。例えば今から統率種を倒したとしようか。そうしたら纏まっていたアントたちがバラバラに動き出してしまう。そうしたら、スタンピードよりも酷いことになってしまうな。文字通り四方八方に散り散りになるからな。スタンピードは統率種によって町を攻撃する様に命令を受けている。それを取り消してしまうと、非常に不味い事態になるのは想像が付くと思う」
「散り散りになるのは不味いわね。と言う事は、どうしようもないの?」
「どうしようもないな。スタンピードが起きることは確定だ。選択肢としては2つだな。1つは戦ってなんとかする方法。もう1つは、ガメリア町まで逃げる事だ」
「逃げてどうするんですか!? 戦わないといけないんじゃないですか!?」
「駄目では無いですよ? 流石に勝てないと踏んだら逃げるのも1つの選択肢です」
「だが、今回についてはあり得ないと言うだろう。そもそもここが落ちれば、次の町へと向かうだけだろう? ならばこちらもここで迎え撃たなければならない」
「そう言う事だねえ。逃げても結局は何処かを食い破られたら終わりなのさ。僕らも参戦した方が良いのは確かだよ。負ける心配もしないといけないけどねえ」
まあ、逃げるって選択肢は初めからないんだけどな。何処かが突破されたら被害は甚大になる。それを回避するためには、しっかりと守らないといけない。無駄に被害が拡大する様な事は避けるべきなんだよ。だから俺たちも参戦する。半分くらいは慈善活動って感じだな。もう半分は報酬欲しさって所なんだけど。実はスタンピード後のアリの巣には色々と宝物が眠っているのだ。高確率でいいレシピスキルが手に入るのである。それを得るために頑張ろうと、そう言う事である。決して善意100%と言う事ではない。善意もあるが、それ以上に美味しいものがあるんだから狙わないと損だろう?
それに、所詮はアントという安心感がある。魔物の中での格付けが低い魔物のスタンピードだから、逃げなくてもなんとかなるだろうという期待があるんだよ。これが飛竜がスタンピードを起こしますって言うのであれば、一目散に逃げるんだけど、アントだろ? って感じがするんだよな。まあ、飛竜のスタンピードなんて本気で何もしなかった場合くらいしか無いので、問題にはならないことが多いんだけどな。基本的には繁殖力の高い魔物がスタンピードを起こしやすいのである。アントなんかはかなり増えやすい方なんだよ。卵で増えるからな。巣も地面にあって、場所を限定しないし。
「とりあえず、今日はこれで待機だな。明日も何も無ければアリの巣の攻略に出向きたいが、休みは今日だけで大丈夫か? 疲労が何よりも心配だからな。結構連戦をしてきたと思うんだが」
「何言っているのよ。そもそも冒険者に休みなんて無いのと同じなのよ? 稼げないと死ぬのは私たちなの。貴方みたいに常識から外れた知識や生産力があれば別なのかもしれないけど、普通は無いのよ? だから一生働く覚悟がないと冒険者なんてやってられないわ」
「です! 休みは確かに欲しいですけど、それは今じゃないと思います」
「そう言う事よ。今休んで良いのかって事くらいは判断できないと駄目よ」
「まあ、そうなるか。とりあえず、今日は休む。明日の朝からまたアリの巣攻略を始める。少しでも先に潰しておいた方が楽には、比較的に楽にはなるだろうからな」
「でもさあ。冒険者ギルドもそろそろ発表をしないと不味いと思うんだけどねえ。僕らが報告してから結構時間が経ったけど、まだ何も触れを出していないんだよ? このまま何も起こらないと思っているのだとしたら、多数の冒険者が犠牲になるんじゃないのかい?」
「それはあり得るわよね。もうちょっと迅速に動くものだとばかり思っていたのだけど。でも、援軍は来ている筈よ? 町中で兵士の量が増えているんだもの。何もしないって事は無いはずね」
「うむ。こちらもそれは確認している。兵士と思わしき人物が町を歩いているのを何度も目撃している。……まあ、ならば外で戦ってくれとは思ったがな。ここまで来て戦力を温存する意味など無いだろうに」
まあ、温存しているというよりも、内部から暴走するやつらが出ないかを見張っているんだろうな。基本的にはスタンピードが始まったら逃げる事なんて出来ないはずだし。祈りながら勝つことを待つしかない。平民は無力だ。祈るだけしか出来ないんだよ。だからこその冒険者だし、だからこその兵士なんだけどな。でも、兵士が遊んでいるってのはちょっとなあ。積極的にアリの巣を滅ぼせばいいのに。一体何を考えているんだろうか。何も考えていないというのが一番不味いんだがな。




