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OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「ここにも遺品の山が……」
「確保確保。さて、次の目的地に行く前に、荷物を整理するからちょっと待ってくれ。流石に巣穴が深い。思っていたよりも深い。これはちょっとどころではなく不味いかもしれない」
「そうね。不味いわね。……最悪はスタンピードが起きるんでしょうけど、どの位の規模になるのかしら?」
「僕もスタンピードは初めての経験だからねえ。起きる起きると言われてきて早何十年。結局起きないじゃないかって言うのがお貴族様の認識だったはずだよ。なんだかんだ言っても、冒険者が狩るからねえ。そこまでの危険性は無いんじゃないかって話も出ているくらいなのさ」
「でも、確実に言えるのは、この巣は異常。余りにも深すぎる。こんなことになっているなんて冒険者ギルドは把握していない」
「だろうな。ここまでレベルの上がりが良すぎる。かなりの上位種まで倒してしまっている可能性が高い。皆も既に20まで上がっているのではないか?」
「そうですね。あたしももう20まで上がってしまっています」
「スタンピードまで後何十日ってレベルだと思うぞ。今更止めるのは不可能だと思う。流石にここまでアリの巣が成長していると、奥地の巣はどの位の規模になるのかが想像が付かない」
「そこまでやばい事になっているのね。……冒険者ギルドに調べて貰うのは?」
「当然だけど、やるべきだろうねえ。こういう時の為に、冒険者ギルドには戦力を持つ義務があるのさ。当然だけど、お貴族様も出張ってくると思うよ? そのための税金なんだから、こういう時には動いてもらわないといけないよねえ」
「ですが、信じて貰えなかったら……」
「その時は仕方がない。皆で逃げる方がいいのか?」
「逃げるにしても何処までって話もある。この機会にスタンピードを経験しておくのも良いと思う」
「スタンピードが起きたら勿論だけど、参加するからな。流石に放置はできないぞ。出来る限り経験値を貰いたいから、ちょっと無茶をしてでも転職を繰り返すつもりで居るけどな。1次職は全部20まで上げて貰う。ロゼリアに関しては、アークエンジェルのレベルを上げるいい機会になると思うからな。転職してレベルは0に戻っているだろうが、80くらいまでなら上げられると思う。そのくらいには大きなスタンピードになるはずだ」
正直なところ、ここまでの大きな巣があるとは思っていなかった。既に踏破している部屋の数は30を超える。40で危険域、50でスタンピードがいつ起きるか解らない。それ以上の階層があったらもう知らないって感じになるんだよ。しかもそれなのに蟻蜜はまだ見つかっていない。クイーンアントがまだ見つからないんだよ。アリの巣の構造上、クイーンアントは最終防衛ラインに居る筈なんだ。子育てをする階層の前に居る筈なんだよ。
それが姿が見えないとなると、可能性としては2つ。運悪く卵を産みに行っている所だったか、もっと深い所が最終防衛ラインなのかだ。俺は後者だと思っている。だから、一旦持ち物を整理すると言ったんだ。中身の確認も含めてな。有用なレシピスキルがあった場合はそれを使おうかと思っていた。そして、それはあった。
「ラッキーだな。打撃系のレシピスキルがあったぞ。カエデ、使ってくれ」
「こちらでいいのか?」
「ソルジャー職しか使えない上に、打撃武器を使うのはカエデだけなんだ。遠慮するな。ここからはスキルに頼る必要がある可能性もある。存分に戦ってくれ」
「レシピスキルだって? アリの巣にはそんなものもあったのかい?」
「ああ、アリの巣を潰せば色んなものが手に入るが、レシピスキルは結構あるんだよ。ほら、ロゼリアもこれを使っておいてくれ。メイジ職のレシピスキルでバフ関連のものだ。STRとMNDの2つがあったから遠慮なく使ってくれればいい」
「幸先がいいのか悪いのか。微妙な所だねえ。最悪は避けて欲しいけどねえ」
「最悪は避けて欲しいってのはその通りだな。もう暫くはレベル上げに勤しみたいものなんだけどな。……そんな時間は無いかもしれない」
「全く。これだから人生というものは。本当に解らないねえ」
「本当にな。これだから面白い」
スタンピードに立ち会えるなんて中々ない経験だと思うぞ。かくいう俺も初めての経験だ。ゲーム時代はスタンピードが起きたことは何度もある。週イベで何度も発生しているからな。でも、参加するのはこれが初めてだ。俺はもっぱら生産職用のクエストを受けていたからな。戦闘に参加しようだなんてこれが初めての経験だ。何、大丈夫だろうさ。そのための冒険者ギルドだし、お貴族様だからな。普段は偉そうに待機をしているけど、こういう時に使わないで何が戦力だ。普通にお貴族様が鎮圧に手を貸してくれると思うぞ。……辺境伯様は比較的良いお貴族様らしいからな。
まあ、死人は沢山出るだろう。ここまで放置していたんだ。確実に死人が出る。それは避けられないし、俺だって死人を出したいと思っている訳ではない。けど、出るものは仕方がないだろう? どう考えても冒険者ギルドとお貴族様の管理責任なんだから。今更それを責めたところでなんだよね。この流れは、もう止まらないと思うから。
「さて、荷物の整理は終わったぞ。とりあえず下まで確認しないとな。50層を超えていたら、もう何時スタンピードが起きてもおかしくない状況だ。冒険者ギルドに調査を依頼するが、何処まで調べられるのかは知らないし、調べている途中にスタンピードが起きる可能性もある。まあ、今絶賛スタンピードが発生中ってのが一番不味い状況な訳なんだけど、そんな事は考えても仕方がないから、冒険者ギルドに報告だけはするつもりだ」
「そうね。しないと駄目でしょうね。知っていて放置は出来ないわ」
「だな。こちらも死地に飛び込む準備は出来ている」
「怖いですけど、やるしかないんですよね?」
「そう、やるしかない。この流れはもう止められない」
「じっくりと観察したい気分でもあるけど、当事者になるのも悪くはないよねえ」
まあ、なんとかなるだろうとは思うけどな。これでもっと最悪な事態になりましたって事にならないと良いんだけど。流石にそんな事にはならないだろうと思う。もっと最悪なのは、これが各地で同時に起きる事なんだよ。魔物が同じタイミングで同じようにスタンピードが起きたら、それはもう各地で大混乱が予想される。そんな状況にはなって欲しくは無い訳で。まあ、お貴族様の怠慢が問題なんだけどな。ここまでの状況になったのは全部お貴族様が悪い。知識を独占して、冒険者を強くしなかったのが問題なんだよ。冒険者をもっと強くしていたら、防げた問題なんだよなあ。各地でもっと積極的に魔物を狩ってくれただろうからな。
放置した責任はしっかりと取って貰うとしてだ。俺たちに出来ることはやっておかないといけない。今はこのアリの巣の調査が一番だ。ここで何時どうやって起きるのかが解るかもしれないからな。そんな訳で、どんどんと奥に入って行った訳なんだけど……。
「ちょっとこれは、想定を遥かに超えてきた感じだな。何ぞこれ?」
「ちょっとどころじゃなく問題よね。これ、大丈夫なの?」
「大丈夫な訳ないさ。見てよこの数。もう1パーティーで討伐したのが嘘みたいな数だよ? 本当にこれ、何時スタンピードが起きてもおかしくないんじゃないかなあ。僕はそんな気がするよ」
そんな気がするどころの話じゃないだよなあ。クイーンアントが居たのが62層目。その後にまだ下に5部屋あり、そこには一面びっしりと卵が張りつけられていた。これはあれだぞ? もういつ起きるのか、解らないぞ?




