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OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「ねえ、ちょっとあっちを見に行かない? 心配になって来たわ」
「おいおい、他所のパーティー事情は俺たちに関係ないだろ? 首を突っ込んだ方がややこしくなるんじゃないか?」
「それでも心配じゃない。見ておく方が良いと思うわ。もしこっちも何らかの事情でパーティーを別れないといけない人が出てくるかもしれないんだし。それに、あの感じだと確実にパーティーを追い出されるわ。話だけでも聞いた方が良いと思うのよ。今後の為にもなるかもしれないし、社会勉強だと思って聞いておく方が良いと思うわ」
「と言いつつも、なんだかんだとお人好しが発動しただけなんだろ? まあ、優秀な人が抜ける可能性もあるんだし、こっちとしても良いけどな。方針の違いなのかどうかって所もあるし」
ぶっちゃけ面倒ではある。が、メンバーを募集している身としては、抜けるなら貰って良いよなって話にもなるんだよ。なので、半分くらいは渋々様子を見に行くことに。そして、結構な見物人が居るんだな。こう言う事は結構あるんだろうか?
「だから、何度も言っているだろ? シーカーじゃあ戦力にならないんだよ! 今回のダンジョンの成果を見てみろ。こうやってレシピが当たったんだ。皆で山分けをするにしても、戦力外に分けてやる必要はないだろ? だって、戦闘で何一つ役に立っていないんだから」
「でも、道中では役に立っているじゃないですか! 罠の破壊なんかはシーカーの得意分野です! 役に立ってないなんてあり得ないです!」
ああ、なるほどな。シーカーなのか。確かにシーカーはそもそもダンジョンを潜るには必須の職業だ。だからソルジャー系統でも斥候役に丁度いいんだよな。バトルマスターになった時に、斥候とタンクを両立出来るので、そういう役割を持った人材はかなり有用になるんだけど、この世界、天職にいきなりなる傾向があるからな。ソルジャーからシーカーに転職したのであれば、戦うスキルを殆ど持っていないことになるんだよな。ソルジャーの基本スキルくらいしか無い訳で。しかもここはスライムダンジョン。物理攻撃ではダメージは微々たるものだろう。このダンジョンの魔物においては、役立たずとも言えるかもしれない。まあ、そもそもシーカーをちゃんと育てていたとしても、スライムダンジョンで役に立つかと言われたら、微妙な所なんだけど。
「解らねえのかよ! 道中なんて関係ねえんだよ! 結局はボス部屋で活躍できないなら、メイジ職をもう1つ入れた方が効率的なんだ! 罠も大したものじゃねえし、役に立っているとは言えねえんだよ!」
まあ、所詮は10層しか無いダンジョンである。ダメージを受けるものは微々たるもので、状態異常にしてくるなんて罠も無ければ、割合ダメージを受けるなんてことも無いだろうし。そもそもこのゲームには即死罠は無いので、しっかりとパーティーを育てていれば、シーカーは無くても攻略出来る様にはなっている。まあ、普通はバトルマスターになるから、シーカーも兼用で出来るんだけどな。この世界だとそういう訳にもいかないんだろうなあ。シーカーだけで枠を潰すのは確かに勿体ない。物理職であるソルジャー職なら、他の職業を入れても問題にはならないだろうな。……スライムダンジョンだけで生計を立てようと思ったらになるんだけど。
「これはパーティーの総意だ! シーカーなんて無能な職業は要らねえんだよ!」
「そんな! 今まで役に立って来たじゃないですか!」
「役に立って来たと思っているのはお前だけだって事だよ! これ以上は無駄なんだよ。じゃあな」
残りの5人はそう言って去って行った。まあ、シーカーしか基本スキルがないなら、スライムダンジョンでは活かせないだろうな。もっと上のダンジョンでなら輝くんだけど。特にダンジョンなんて入る度に構造が変わるんだ。安全なルートを選べるシーカーは必須だ。
「大丈夫? こっちで話を聞くわ。貴方もそれでいいでしょ?」
「お節介なのは良いけど、事情を聞いても、確実にパーティーに入れるって保証は無いぞ? 一応候補的には問題ないとは思うけど。シーカーなんだろ? まあ順当に考えれば、今後は役に立ってくれるだろうからな。条件を飲んでくれるのであれば問題ないぞ」
「だそうよ。さあ、こっちで話をしましょう? 空いている席へ行きましょうか」
「はい……」
お節介が発動しているんだからどうしても話は聞かないといけないだろうな。まあ、そもそもシーカーの活躍場所を考えると、スライムダンジョンでは難しいだろうという判断になるけどな。でも、あそこまで邪険にする必要は無い訳で。ダンジョンの事を何も解っていないんだろうな。シーカーなしでのダンジョンは厳しいぞ? 正しい道がどっちなのかも解らないだろうからな。それだけダンジョンには専門家が必要なんだよ。10層だから余裕だろうと思っているかもしれないが、これ以上の階層になってくると、シーカーのありがたみが解ってくるんだ。
そんな訳で、場所を移動して話を聞いてみることに。と、簡単に連れてきた訳なんだけど、まあ、そこからはもの凄い事になっていった。出るわ出るわのパーティーへの不満。そもそも何でパーティーを組んでいたのかもよく解らないくらいに不満たらたらで、レベルもカンストまでいっていない状態らしい。まあ、シーカーは3次職。レベルの上限は60になる。スライムダンジョンで上げようと思う方が間違っている。そんな訳で愚痴を聞きつつ30分程度。漸く落ち着いてきたらしい。
「そもそもの話だ。エイミーは不満があった訳だ。今回追い出されたのは良かったんじゃないのか? あのままあのパーティーに居たところで、居場所は無かったはずだし、そもそもステップアップなんて考えてもいないようなパーティーだったじゃないか。シーカーは難易度の高いダンジョンで輝く職業だ。そもそもこんな低難易度のダンジョンで酷使する方が間違っているだろ?」
「そうなの? シーカーってソルジャー職よね? 詳しい性能は知らないんだけど」
「シーカーは3次職。カミラのコンジャラーと同じランクになる。3次職からは専門性が更に高くなるから、1次職や2次職を取っていないと戦闘が碌に出来ない。が、ダンジョンや狩場に関してはスペシャリスト的な立ち位置になるんだ。地図を描いたりするのがシーカーの役割なんだよ。頭の中でゴブリンの集落の候補地を全部覚えていたカミラとは訳が違うぞ。普通は高難易度ダンジョンに連れて行くのが普通の職業だ。スライムダンジョンとはとことん相性が悪い。もう1つの3次職の上忍なら、スライム相手にも無双できるんだけどな。こっちは探索特化型なんだよ」
「……その通りなので言い返す気にもなれないです。あたしは確かに殆ど戦闘系のスキルを持っていません。ソルジャー時代のものしかないんです」
「まあ、そもそもだ。俺たちが欲しいのはシーカーじゃなくてバトルマスターなんだけどな。シーカーもやって貰うが、そもそもバトルマスターに成れれば全てが解決する。だから、シーカーなんか辞めても良いって覚悟が欲しいな。シーカーもやって貰うが、俺たちが欲しいのはバトルマスターだ。転職する覚悟があるならパーティーに受け入れてもいい」
「だそうよ? どうする? 私たちのパーティーに入らない? その、転職はしてもらう事になるけど。悪いようにはしないわよ?」
悪いようにはならない。だってバトルマスターになるには、どうせシーカーをマスターしなければならないのだ。やりたいことは変わらない。それで良ければ受け入れるってだけなんだよ。




