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検証用の作品です。
何の検証をしているのかは具体的には言えないですが、大体は察してもらえると思います。
なので、その辺の指摘を貰っても、曖昧に回答する可能性があることをご了承ください。
まあ、そんな事にはならないとは思うけどね。しっかりと埋まっていきたいと思います。
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「助けてくれーーーー!!!!」
必死に走る。AGI的には余裕があるが、精神的には余裕がない。完全にやらかしているからだ。俺のAGIは1000丁度。対する追手のゴブリンのAGIは良くても50程度。上位種でそれなんだ。だから逃げるのは簡単なんだが……。これで逃げたらトレイン確定だからな。逃げるに逃げられない。全力で逃げたら逃げ切れるんだろうが、街道なんかに辿り着いたら終わりだ。しかし、戦いたいが武器が足りない。石を拾い、枝を拾い、何とか手斧をクラフトして投げるが、それで死んでくれるのであれば、そもそもこんな苦労はしていない。自慢のDEXも緊急事態の今、命中に寄与しているんだが、それでも当たり所を厳選している余裕がない。STRも10000もあるのに、森の中じゃあ生かし切れない。
そもそも戦闘職では無いんだ。こっちは錬金術師。思いっきり生産職である。生産職でもトップの職業ではあるんだが、まあ、戦闘には向かない。戦闘も苦手ではないが、武器が無いのでどうしようもない。何でこんなことになったのかと言えば……。
時は1時間ほど遡る。いつもの様に仕事が終わった後にフルダイブ型のゲーム『ルーセントダイバー』をしていた。ぼっちでも遊べる内容で大変ありがたい所なんだけど、そこで俺は錬金術師としてプレイをしていた。いつもの様にレベルを上げていつもの様に生産する。クランなんて所にも所属せず、悠々自適に遊んでいた。そんな時だった。
「んあ? 差出人不明のメッセージ? 差出人不明ってどういうことだ?」
突然現れたメッセージのログ。疑問に思ったが中身を開けてみた。
〈祝カンスト:これはカンストを達成したプレイヤーに送られるメッセージです。真のルーセントダイバーの世界に行きたいと思いませんか? 行きたいのであれば、このメッセージをゴミ箱に捨てよう。ゲートはそこに開かれる〉
「なんだこれ? ああ、レベルが100に上がっているな。カンストは目指していたけど今達成されたのか。でも、真のルーセントダイバーってなんだよ?」
胡散臭いなと思ったが、とりあえずゴミ箱の中にメッセージを放り込む。
「……なんか、ゲートが出てきたんだけど、どういうことだ? ゲームのシステム的に大丈夫なんだよな?」
渦を巻くゲート。見慣れたゲートではある。今の個人所有の工房に入るのも、このゲートをくぐっているのだ。ゲーム的には何もおかしい事は無い。だが、こんな場所にゲートが出来ても不便で仕方がない。もうちょっと仕様をしっかりと説明してくれないと困るんだよな。
「まあ、行くだけ行ってみるか。よく解らないけど、最悪戻ってくればいいし」
真のルーセントダイバーの世界を知りたいというのはある。それが叶うのであれば、見てみたい。俺はゲートをくぐった。
「……は?」
ゲートを潜ると、そこは森の中だった。木漏れ日がほのかに暖かく、風が緑の匂いを運んでくる。
「……ちょっと待て! ゲームの感覚じゃないだろ!? ゲートは!? 消えてる!?」
いくらゲームの世界であったとしても、技術が進歩したと言っても、五感を感じられるようなゲームであっても、ここまでの処理は不可能だったはずだ。それが技術の限界なんていわれていたからさ。でもここは明らかにおかしい。五感を超えた何かが訴えてくるものがある。
「そうだ、ログアウト……。しっかりと不可能になってやがる……」
ステータスは見る事が出来た。だが、そこからログアウトのボタンが消えている。
「ラノベかよ!? そんなことある!? これって現実!?」
よく解らないが、真のルーセントダイバーの世界とは、現実世界の事だったらしい。……ステータスのある世界で、これからどうしろと?
「……いや、まて。考え方によってはそこまで悪い事じゃないか。異世界転生や異世界転移はよくあることだ。……物語の中ではな。まあ、現実に起こったのはどうしようもない。どうしようもないが、……インベントリの中も空か。こういう展開になった場合、食料問題が一番の課題だ。大丈夫だ。ラノベでもよくある展開じゃないか。まずは検証から始めないと。ゲームの世界って言うのであれば、スキルは使えても問題ないはずだ」
妄想では何度も何度も異世界転生したことはある。もしも異世界転生をしてしまったら、なんて中学高校の時に嫌ほど考えた。社会人になってからも何度も逃げ込んだ。それを発揮すればいい。
「とりあえず、スキルは大丈夫そうだな。ステータスもカンストで止まっている。基礎スキルもレシピスキルも大丈夫か。……問題はスキルをどうやって使うのか、だよな。ゲームの感覚で大丈夫なのかという事がある」
その辺を確かめる為に適当な石と枝を拾う。インベントリの中に放り込み、それらを合成し、石斧を作り出した。
「スキルは健在、と。そうすると、これを使って木を伐れば木材には困らなくなるな。コリマ―のスキルも健在なら、っと」
そうやって木を何回か石斧で叩く。切るだけの切れ味なんてない。叩いて削るだけだ。だが、スキルの効果がちゃんと出ているのだろう。ものすごい勢いで削れていく。30秒程度で、1本の大きな木を伐り倒した。
ズズズズーーーーン
「やってやれない事は無いか。問題は食料だけど、まずは木を手に入れてからの事で良いか。武器もまともなのを作るには金属が必要だし。あ、水も欲しいか。水が最優先だな。木から水が取れれば一番いいんだろうけど……」
「「「ギャギャギャ?」」」
「あ」
切り倒した木を見に、魔物がやってきてしまった。ゴブリンが3体。手には微妙に頼りない石斧があるだけ。しかも使用済みである。耐久力が減っている事は間違いない。
「戦略的撤退! 木だけは回収していくけどな!」
「「「ギャギャギャ!」」」
ゴブリンのAGIは低い。というか、AGI1000が異常に高いだけだ。カンストしているステータスを使って無理やり振り切る。
「やっべ。流石に戦闘をするには検証が足りてない。HPがあるって言っても、素手で魔物とは対峙できないだろ」
「ギャー?」
「ん?」
見渡す。森の中の集落がある。……ゴブリンが沢山いる。
「やらかした! さっきよりも状況が悪化した!?」
「ギャー! ギャー! ギャー!」
奥から出てくるゴブリンの大群。3体ならともかく、この数はヤバい。
「戦略的撤退! 2回目!」
……とまあ、そんなこんなで逃げ回り、ゴブリンの集落を7つ程通り過ぎ、今に至る。戦闘職なら武器さえあれば無双できるんだろうが、こちとら生産職。戦闘も嗜むとはいえ、武器無しでこの数とやり合うのは流石に無理だ。
「助けてくれーーーーーー!!!!」
森の中に俺の声が響く。ここまでトレインしてしまったら、街道に出るだけでも戦犯だ。街道をゴブリンたちが封鎖するなんて事になったら事件である。雑魚とはいえ、7つもの集落を駆け抜けてきたんだ。ざっと200体くらいのゴブリンに追い回されていることになるはずだ。諦めていてくれたらもっと少なくなるが、諦めてくれているんだろうか。そんな事は確認できない。必死になって石と枝を拾いながら逃げてきたんだから。
「もっと普通の場所に転移させてくれよなーーーー!!!!」
言っても聞こえないのであろうが、叫びたくもなる。そもそもの話、インベントリの中身を引き継いでくれるだけでも良かったのだ。それなのにインベントリが初期化されるなんてな。ちょっとばかり意地悪が過ぎるぞ!
「助けを呼んでいるのは誰!?」
「人がいる!? こっちだ! おーい! こっちだ! ゴブリンに追われているんだ!」
誰かいるみたいだ! 助かった!