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歴史の隠れ家  作者: 木島別弥
第五章 ちょんまげについて
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ちょんまげについて

 ちょんまげは、鎌倉時代から江戸時代に至る我が国で見られる男の髪型である。

 もともと、我が国の貴族は髪を結っていたのだが、これはなかなか格好いい髪型である。髪を結ったところに帽子を結んで被るのは、平安時代の貴族の装束になった。

 髪を結うのは自分ひとりでは難しく、上手に髪を結えるかどうかはお付きの者の技量に大きく影響された。鎌倉時代に髪を結うのが下手なもののふを「ちょんまげ」とバカにしたところから、ちょんまげ文化は始まる。オシャレな男は、自分の髪型が格好良くなるように気を使うものであり、何があっても格好悪い髪型など許さない。何があっても、格好良い髪型を守れなければ、自分の容姿は醜いものとなり、女たちにも醜い男だと思われるのは、いつの時代でも同じである。

 ちょんまげとは、男たちに醜い髪型を権力で強制したものである。公家や色男は、ちょんまげはしない。ちょんまげをすれば、どんな男でも、女に嫌がられるのはわかっているからである。ちょんまげは我が国の大事な文化などではない。ちょんまげは、我が国の権力者が男たちを醜くさせて虐げた醜悪な歴史である。権力者というものは、自分たち以外の男から女の人気をなくさせるために、権力を使ってちょんまげを強制するくらいのことはする。歴史上、権力者の要求する慣習とは、そこまで非人権的で醜いものだった。

 時代を格好良く生きるためには、ちょんまげの強制に逆らって抵抗しつづけるくらいのことはしなければならない。そういう男たちは我が国にもたくさんいた。

 戦争の前に、丁寧にちょんまげを結い、醜い髪型になり、戦場を生き抜いて、前髪が自然と伸びてきて、格好いい髪型になるのはよいものだと武士たちにいわれていた。しかし、武士の上層部はちょんまげが男の人気をなくすための隷属化政策であることを知っているので、そんな文化を素直に褒める気にはならない。

 ちょんまげのように、男の髪型をわざと格好悪くさせた権力者は世界中にたくさんいて、それが権力者の嫌がらせであると知れ渡り、あるいは文化的倒錯であり、女が喜んでいないことが知れ渡り、格好いい髪型が普及したのは二十一世紀になってからである。我が国は、十九世紀の明治維新に格好悪い髪型の強制をやめたので、まだ先進的な方だった。歴史上に存在する権力者とは、そこまでの悪である。

 よく気を付けるといい。我が国の伝統を愛するあまりちょんまげになる男が時々いるが、それはまちがったことだとみんなで教えるべきだ。

 歴史上、誰がどのようにちょんまげと戦ったかは、我が国では隠されている。ちょんまげになることはそこまでの屈辱であり、ちょんまげにならないことはそこまでの名誉だったのである。まげを結うことは格好いいことであるが、ちょんまげを結うことは格好悪いことなのである。

 ちょんまげの広まり出した室町末期はそこまで極悪であり、ちょんまげの常識化した江戸時代はそこまで極悪な統治だったのである。


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