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(84)眷属の紹介

 流石は国王、魔獣の種類を聞いただけでその凶悪さを理解しているようだが、あまりにも慌てている為に娘であるソフィアに諫められている。


 ジニアスが護衛としてつけると言った魔獣は霞狐と呼ばれる基本的には上限レベル9の魔獣であり、以前ヒューレットが仕留めた体でヨルダン帝国に納税の物納として持ち込んだ妖幻狼と同じレベルに区分けされている魔獣。


 その魔獣を簡単に眷属にしたと言い切るジニアスに対して、ジェイド国王が激しく反応して改めて確認したのだが、何故これほどまでに驚きながら問いかけられるのか、その理由が本心から理解できなくなっていたジニアス。


 常に傍にいるブレイドやネルもレベル10であり、強さの概念が少々おかしくなり始めている。


「えっと、はい。そうです。何かまずかったですか?ひょっとして、絶滅危惧種……とか?」


「ンなわけあるか~!!!」


 と、今まで黙っていたヒューレットパーティーのチャネルまで騒ぎ出す始末で中々カオスになっている中、比較的冷静なヒューレットが口を開く。


「ジニアス君。埒が明かないから、取り敢えず召喚してもらえるかい?」


「はい」


 目の前に現れたのは、良く見ないとその存在を認識できない“うすぼんやり”とした少々大きな狐五体。


 これでも一番認識されやすい状態で召喚している。


「えっと、皆等しくレベル9です。特に能力に差はないですから、お好きな一体を選んで下さい」


 何故かジェイド国王、近衛騎士、留学生三人の腰が引けているのだが、ジニアスの力をあまり目にしていない以上は仕方がない。


 一方でジニアスの力、特にブレイドやネルと接する機会が多くなっていたアズロン男爵、フローラ、スミナ、そしてヒューレット一行は平然としており、大人しく座っている狐に見える、うすぼんやりとした塊に向かって行く。


「俺も初めて触れたよ。これが霞狐。凄いねジニアス君。本当にこの一体を俺が貰っても良いのかい?」


「もちろんです。仲良くしてやってください」


 既に屈服状態の為に改めてヒューレットが従属魔法をかけた上で送還し、この場から一体が消える。


 ジニアスは、残りの四体には主の命令で自らの力で勝手に召喚・送還に応えられるように力を付与する。


 少しすると、三人共に眷属の個体を決めた様だ。


「その三体も、ヒューレットさんの一体と同じく送還・召喚できますのでご安心ください」


 レベル9の魔獣ではあるが、その見た目で敵を威圧する事はなかなか難しい種別ではある。


 見た目……霞狐と言う名前からもわかる通りにその存在が非常に認識しづらい魔獣なので、練度の低い冒険者やレベルの低い魔獣ではその恐ろしさを認識できず、姿が見えないのを良い事に霞狐の護衛対象に襲い掛かってくる事もあるだろう。


 操作系統を持つヒューレットにその事実を指摘されたアズロン男爵、フローラ婦人、スミナは、対策として夫々の魔獣を確実に認識できるように服を着せる事にした。


 残りの一体は母親の護衛を陰ながらさせるためジニアスが何もせずに送還し、後で母であるレンファの護衛をするように指示しておこうと思っていた。


 今回の認識度上昇対策は霞狐としては有難迷惑以外の何物でもないが、主と設定されている者の指示には従う他ないので止む無く大人しくしている。


「スミナ、とても可愛いですよ?」


「お母様も、すっごく可愛い」


 母娘が互いに褒めているのは、ヒラヒラの服を着せられている一体と、ピンク色の目立つ服を着せられている一体の霞狐に対しての言葉。


 残り一体、アズロン男爵の霞狐だけは普通の黒い服を着せられており、何故か少しホッとした様な表情に見えているのは気のせいなのだろうか……


 その後三体はそのままこの屋敷で生活をさせるようで、それであれば……と再びヒューレットも自らの眷属となった霞狐を召喚して四体で過ごす事になっている。


 陰ながらジニアスの母であるレンファを護衛する一体も結果的には主とこの屋敷で行動する事になるので、最終的に五体全てがアズロン男爵邸宅内にいると言う、どこの要塞だと言わんばかりの戦力を有する状態になった。


 ヒューレットに召喚された一体は今回の事情……認識度上昇の処理を知らないので、突然同僚とも言える存在がヒラヒラの服やピンクの目立つ服を着させられて少々元気が無くなっている事に驚き、黒い服を着ている一体は何となく哀れみの表情をしている事から全てを察したらしく、自分に被害が及ばないようにと思ったのか極限まで気配を消して非常に大人しくなっていた。


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