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(49)ヒューレットパーティー(1)

「ヒューレットさん達、いつの間にあの暗部のシャウランが異常状態になっている事を鑑定したんだ?」


 熟練のレベル9である為にジニアスに感づかれる事なく鑑定を行っていたエリンと、いつの間にかその情報をパーティーで共有していた一行。


 特に自分が鑑定されたわけではないので注意散漫だったと言えばそれまでだが、まさかレベル10の自分が術を使用されている事に気が付かないとは思ってもいなかったジニアス。


「系統能力、単純にレベルだけで判断すると痛い目を見るな」


『そのようです』


 その現実を受けて気を引き締めるジニアスとブレイド、そして痣の中で話を聞いているネル。


 一方、その鑑定を使って見せたヒューレットパーティーの一員であるエリン。


「あの子、ジニアス君。凄かったわね。従属魔法を使われている気配はなかったけど、付き従っている魔物は信じられない強さよ」


「確かに、俺から見ても操作系統の力を使って使役しているようには感じられなかったな」


 操作系統の力を持つヒューレットが、エリンの発言に同意する。


「それでエリン、ジニアス君のレベルは分からないままだったの?」


「そうなのよ、パイン。こんな事は初めてよ」


 女性陣も、魔物(ブレイド)だけではなくジニアス本人の話も盛り上がりを見せていた。


 彼らはジニアスとブレイドの力が尋常ではない事を把握して、ダイマール公爵家を後にしながら少し興奮気味に話している。


「で、どうするのよ、ヒューレット?」


「どうって、何がかな、エリン?」


「は~、わかっているくせに。あの公爵の扱いよ。あのタヌキ、息子も性格悪そうな顔をしていたわね。今回はあの暗部を無条件で引き渡した上でジニアス君が忠告をしていたから、暫くは大人しいでしょう。でも、ずっと大人しいわけはないと思うのよ」


「そうだね。パインの言う通りだと思うよ。でも大丈夫じゃないかな?俺達は結構大きな依頼を終わらせたから暫くヨルダン帝国にいる。何かあれば対処できるでしょ?」


「甘いな~ヒューレット。俺達だってずっとここにいる訳じゃない。それに、あのタヌキオヤジ、俺達の動向位は常に情報を仕入れていると思うぜ?なっ、パイン?」


「チャネルに賛成。私もそう思うな。私達がいなくなってから、きっとろくでもない事をするわよ」


 話しの内容は否定的だが、このパーティーには悲壮感はなかった。

 なぜならば、ジニアスがいるからだ。


 既にジニアスの強さをある程度は認識している大陸最強冒険者パーティーは、あの公爵一行が全力で立ち向かっても問題なく跳ね返せるだろうと思っていたからだ。


 そんな事は全員が百も承知なので本気で心配しているわけではなく、流れで話をしているだけ。


「まぁ、結局は大丈夫って言う結論になるでしょ?そうじゃなきゃ、流石に俺も暗部を無傷では返さないさ。じゃ、当てが外れたから、直接シノバル皇帝に手紙を渡しに行こうか」


「めんどくさっ!あのタヌキが真面だったら、態々私達が届ける必要も無かったのに!!ヒューレットが一人で行ってきてよ~」


「そう駄々をこねるなよ、パイン。良い事があっただろ?あんな人物、めったにお目にかかれないぞ」


「えっ?それってあのタヌキの事?あなたも見る目が無いわねチャネル」


「バカか?あんなタヌキ、貴族には山ほどいるだろう?あそこまでのクズは中々いないが。俺が言っているのは、ジニアス君だよ!」


「フフ、わかっているわよ、チャネル」


 パーティーが向かっているのは帝都の中央部。


 それもこの帝国の頂点である皇帝に会いに移動している。


 ダイマール公爵に呼ばれていたから公爵家の別邸に来ただけで、ついでに高位貴族である事をこれ幸いと手紙を押し付けたのだが、あれほど不誠実な男とは思っていなかったので結局は自分達で手紙を届ける事にしていた。


 既に地位・名声・富を手にしているヒューレット一行としては、その性格から必要以上の益を求める事は無く、今回の皇帝訪問についてもなるべくなら断りたかったと言うのが正直な所なのだが、懇意にしている国王に頼まれてしまったので手段は任せると言質を取った上で止む無く引き受けていた。


 本来ならば誰もが憧れ、切望する、皇帝に謁見できる栄誉を面倒くさいと切って捨てられるのも、大陸最強パーティーだからだろうか……


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