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(43)再びダイマール公爵家(2)

「フローラを癒したのは、娘のスミナの学友であるジニアスと言う者が持ち込んだポーションである事は間違いなさそうです。通常と異なる動きと言えばこれしかありません。なんでも、昨晩スミナがジニアスと言う男と共にアズロン男爵邸に来て、手土産としてポーションを渡したとの事。そのポーションを飲んだ事で瞬時に完全回復し、その後は使用人全てを集めて快気祝いが行われた……と言うのが結論です」


「あの病状を瞬時に治すポーションだと?私が知る限り、この世界のどこにもそのような物は存在しないが……」


 少々疑いの思いが出てしまっているダイマール公爵だが、目の前のメラミンは情報収集によって得られた事実のみを伝えているだけだと知っているので、それ以上の追求はしない。


「そのジニアスと言う平民。ヒムロからも時折名前が出てきているが、改めてそいつの調査が必要だろう。以前ジニアスと言う男の従えている魔物の力を理解した時、何とか我がダイマール公爵家の手中に収めるべきだと判断したのだが、そのレベルのポーションまで準備できる人物だとすると正攻法では無理かもしれんな」


「では、ジニアスと言う男の調査に向かいますか?」


「いや、待て。そうだ。そうだぞ!あのジニアスと言う平民に付き従っている魔物、有り得ない強さだったはずだ。そんなジニアスが向かったアズロン男爵邸で、そこに向かっているはずのシャウランが消息を絶った。繋がるな。そうなると、お前がジニアスの所に行くのは危険だ」


「そこまででしょうか?」


 流石にダイマールは長年の経験からジニアスの力を脅威と感じる事が出来ており、無暗に自らの手駒(・・)を減らす様な愚策はしなかった。


「お前はそう思うかもしれないが、侮ると碌な事にはならないぞ。もう少し待て。今日の昼にはヒューレット一行が到着するのだ。うまく誘導して、そいつらをぶつけてみるのも一興だろう。いくらレベルが高くそれなりの(・・・・・)地位があるとは言え所詮は冒険者。せいぜい公爵である我がダイマール家の益になってもらおうか」


 化け物には世界最強の化け物で対抗する事を思いついたダイマール公爵。


 丁度今日の昼に大陸最強パーティーと言われているヒューレット一行がこの屋敷にやってくるので、タイミングとしても丁度良い。


 ダイマール公爵としては最早息子であるヒムロの助力は二の次で、先ずはジニアスの秘密の暴露を行う方向に舵を切っていた。


「あいつらはレベル9、プライドが高いからな。少々煽ってやれば何とかなるだろう。それに、レベル9は何もあいつらだけではない。必要に応じて、適した系統の力を持つ者を対処させるのもこの私の力の見せ所だ」


 確かにこの世界最強と言われているレベル9は、ヒューレット一行だけではなくダイマールも直接接触できる者が何人かおり、そのような存在の力を知っているからこそ、油断なく対応出来ているのだろう。


 個人でレベル9を持つ冒険者の事を複数知っているダイマールであっても、パーティー四人全員がレベル9と言うのはヒューレット達だけであり、当然このパーティーは他のレベル9と比較して成果が格段に上になり、相当有名になっている。


 有名と言うのは一カ国だけではなく、その名を複数の国に轟かせていたのだ。


「この度はご招待いただきましてありがとうございます。私がこのパーティーリーダーのヒューレットです」


 ついにレベル9の大陸最強パーティーがダイマール公爵邸に到着した。


「おお、待ちかねていましたぞ。こちらは息子のヒムロです。さっ、どうぞこちらへ」


 ヒューレット一行は最強である為に、貴族としての尊大な態度を取って機嫌を損ねられると後々面倒である事から、内心でどう思っているのかは別にしてある程度遜った態度を取っているダイマール公爵。


 この一行、高レベルである事と実績も十分である事から、貴族と同等の権力・地位を手に入れていた。


 昼食をとりながらもパーティー全員の紹介が済み、軽く世間話をして雰囲気を形成した後、いよいよ本題に入るダイマール公爵。


「実は最近、息子のヒムロが通う学園の中でとてつもない力を持つ魔物を従えている、何の系統能力も持たない男がおりましてな」


 この時点で、同じく魔物共を従える事の出来る操作系統の力を持つヒューレットが反応した事を、ダイマール公爵は見逃さなかった。


「なんとその男は、レベル6の熟練の二力を持つ冒険者複数を歯牙にもかけないのです。いや、とてつもない力ですよ」


 いくら公爵の言う事であっても信用できない内容ではあるのだが、ダイマールは事実をありのまま伝えているので表情にも変化はなく、流石にレベル9揃いの化け物パーティーも相当な興味を持っているように見える。


 ダイマールはヒューレット一行のその姿を見て、上手く話しに引き込めたと安堵しつつも、もう少し説明を続けている。


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