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(33)ジニアス、ブレイド、ネル(3)

 俺の能力を使って改めて二人の力を見ると、


ブレイド

 上限レベル:Lv10

 系統能力:攻撃、防御、補助

 

ネル

 上限レベル:Lv10

 系統能力:回復、操作、防御

 

 となっていた。


 もう少し詳細まで、例えば具体的に持っている術を見られる事は何となく理解したが、今は頭が追い着いていないので、概略だけ見せてもらう事にしたのだ。


 改めて力を把握すれば、この二人もLv10。それも三力。


 最早学園に通う意味がまったく無くなってしまっているのではないだろうか?


 とは言えスミナの件もあるので、ここで俺が退学してスミナを一人にするわけには行かないだろうな。


 それに、緑にはなるだろうが卵を貰って売り払う作業が残っている。


 母ちゃんの想いに少しでも報いる事が出来るように、キッチリと卒業して貰える物は貰っておく方が良いだろう。


「あれ?でも、ネルに操作系統の力があるな。これを使っていれば、もっと早くから俺と会話ができたんじゃないか?」


『とんでもないです。操作系統での術を使用した意思疎通は、術者が配下に置いた者に対応する力です。ジニアス様との会話はとても魅力的ですが、配下の扱いになど出来る訳がないではありませんか!』


 あっ、そうなんですか?申し訳ありません。


 だが漸く卵も完全に孵化して修行も全く必要ない事が分かったからには、以前から約束していたスミナのお父さんとの面会だ。


 卵の孵化よりも緊張するだろうな……うっ、既に考えただけでも心臓がバクバクしているし。


 正直有り得ない力を手に入れた直後に、その反動で最大の難敵が現れた感じだ。


「お前が俺の娘をたぶらかしていんのか~!あぁん?腕を組まれてニヤニヤしていたらしいな?」


 位は言われる事を考慮して行った方が良いだろうな。は~、気が重い。相当重い。


 だが既に約束してしまっているし、あの時のスミナの笑顔を見たら今更断る事は出来ない。


 そもそも、平民の俺が貴族である男爵家当主の誘いを断るなんて選択肢が有る訳もない。


 当然言われた事には、「ハイッ!」か「承知しました!」位の選択肢しか存在しないのだからな。


 有り得ないとは思うが、もちろんヒムロ達のお願いは一切聞き入れるつもりはない。


 まっ、スミナの件はなるようになるだろう。


 あのスミナのお父さんだからヒムロ達とは違って悪人って事は無いだろうし、スミナ自身も嬉しそうにしていたからきっと楽しい一時が過ごせる……はずさ。


 能力を得てブレイドとネルとの意思疎通ができた喜び、全ての系統能力をLv10で得た事の喜びを力に、この難局を乗り越えよう。


「おはようスミナ!」


「あっ、おはようジニアス君」


 翌朝、相変わらず俺とスミナ以外は静かな教室で一日を過ごしているが、スミナの家にお伺いさせて頂く日を伝えるのは今じゃない。


 こんなクラス全員が聞き耳を立てている場所で話す内容ではないので、授業が終わって誰もいなくなってからか、昼にでも話そう。


 そして昼になり、いつもの通り二人で学食に向かう。


 ありがたい事にここの学食は無料……いや、学費の中に含まれているので、殆ど全ての学生がここで食事をしている。


 しかし、上級貴族のヒムロ達三人との軋轢や俺の力を知っている他の学年の奴らも含め、全員が俺達の近くには座らないのだ。


 当初はここも俺達以外は無言の領域だったが、最近は俺達が何もしないと理解してくれた一部の者達が普通に話すようになっているおかげで、俺達の会話は特段周囲に聞こえやすいと言う事もなくなっている。


 つまり、今がその時だ。


「スミナ、前に言っていたお伺いの件、もう何時でも大丈夫だぞ。今更で申し訳ないが、日程はそっちで決めてくれ」


「本当ですか!嬉しいです。じゃあ、明日にしましょう」


 早っ!いや、緊張する事は早く終わらせるべきだな。


 まて、手土産はどうする?って、今日買いに行くしかないだろう。落ち着け俺!


 そんな苦悩をよそに、スミナはいつも以上にニコニコしている。

 良い笑顔だ。本当に可愛いな。


 こうしてその日の夜に俺はいつもの店にいるわけだ。


 俺が知っている店と言ったらここだけだし……


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