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博士、王都に行く。

じじい喋りだけれども博士は女性です

 ここはとある異世界。


 そしてその異世界の中の高い石壁に囲まれた王都が見える草原。




 ガラガラガラ~


 走る馬車。いや、引いてるのは馬ではなく二体のオーク。

 座席に優雅に座るのは博士。白髪で短髪、やや高くやスッキリとした体型。見た目のイメージは恐そうな保健室のババア。


 大きな鞄を持って隣に座るのは荷物持ち兼助手の素子ちゃん。仕送りと学費使い込んだダメ女。大学初日に「君、可愛いね」と言われて学舎に入る前に変なサークル棟に行き一昼夜マワされたアホである。



 そしてオークタクシーは王都のやや外に到着する。そして博士はスマホ(仮)を持つ。


「おおオークよ、たすかったぞ」「ゲゲ、ガガガ」


「ゲー」(いえいえ)


「人間の兵に見つかる前に帰りたまえ」「ガッガッゲ、ゲ」


「ゲガガガ、ハカセガガ」(博士、ではまた)


 礼儀よくきちんと頭を下げてから去っていくオークタクシー。

 どうやら人間の兵にはばれなかったようだ。そしてオークは案外頭が良い。強いだけでなく世渡り上手である。



「うむ。オークには感謝せねばの。素子君が腰が立たんと言った時はどうなるかと思ったが助かったわい」


「はあ、やっとオークから解放された。死ぬかと思った。大体博士のせいです!」

「何を言っとる。楽しそうだったではないか」

「楽しんでたのはオークだけです!こっちはメシ抜きでオークに朝までマワされて死ぬかと思ったわよ! それに博士ばっかり優雅に高級バナナ食べてぐーすか寝て!」


「おいおい、女騎士を助けると胸を張ってたであろう」

「張ってません!」


「それにこんなこともあろうかと、素子君の性器に消化器官をつけておいて良かったわい。腹は減ってないであろう」


「げ、いつの間に! 酷いです!」

「寝てる間にこっそりとな」

「どうりで生理が遅れてる! 戻して!」

「どうしてかね? 避妊にもなって一石二鳥だぞ。ここは生理用品も売っとらんし。そして素子君はレイプされてたのではなくて食事をさせられていたのじゃよ」

「それはそれで酷い。あれだけされたら太る!」

「よいではないか」

「博士はどうなんですか!」

「子宮なんぞとっくに実験で使ってしまってもう無いわい」


「うう・・」



「さて、素子君。君が夢にまでみたナーロッパに来たぞ」


 二人の目の前には高い石の城壁に囲まれた王都。森から城壁まで砂漠なのがまた色々アレである。

 それに向かって歩く博士と素子ちゃん。

 その先には片方閉じられたデカい門。その横に一軒家程度の小屋がある。どうやらここが出入りを管理する詰所らしい。

 入った部屋のカウンターに事務方のおっさん。


「ごめんくだされ、私は科学者だ。後ろに居るのは助手だ。王都に入りたいのだが」


「入国料一人10000Gだよ。それからここに名前を書きな」

 そう言いつつ、おっさん職員は博士と素子ちゃんの容姿を記録している。写真とかは無いらしい。


「博士、お金無い!どうすんの?」

「心配いらん」


 そう言うと博士はじゃらりとした袋を出して10000と彫られた金貨を二枚支払った。後は名前とかを書いて終わりだ。文字も簡単に通じるのが異世界。因みに博士の職業は『天才』だ。

 職員のチェックはかなりザル。



 ーーーーーーーー



「すごーい!中世みたーい!」


 素子ちゃんは目を輝かせて美しい街並みにはしゃいだ。

 一等地は石畳、その他は土の道。どの道にも言えるのは異様に道幅がある。目測20から50メートル幅。はっきり言って無駄。なのに建物はぎっちぎちの隙間で建てられている。さまざまな建物が並んでいるのに、何故か建物と道の境界が一直線である。

 道を行き交う馬車に人。そして割と頻繁にでかい屋根付き馬車が通る。室内は6畳間くらいありそうだ。

 いかにもナーロッパ。


「うむ。この寸法のでたらめさがナーロッパらしくていいのう」

「素敵ー!」


「さてどうしようかの」

「ところで博士はどこでお金を手に入れたの?」

「うむ、あれはオークから貰ったものだ。()()()()()()()のだそうだが使い道が無いので簡単にくれたぞ。多分あの女騎士の持ってた金もある」


「あ、あんのまな板女! 一人で逃げやがってぇ!」


「まあまあ、まずは住むところをなんとかせんとな」

「ホテルでも有るんですか?」

「さあの。不動産屋か何かあればいいのだがの」

「博士! ギルド!ギルドいこっ!」


「おお、異世界と言ったら中抜き総本山のギルドが名物だしのう。不動産も取り扱ってるかもしれん」

「やったー! ギ・ル・ド! ギ・ル・ド!」




 ーーーーーーーー




 ギィーー

 アメリカ西部のバーのような押戸を抜ける博士と素子ちゃん。

 板張りの一階。奥にカウンターと美人受付嬢が三人(全員巨乳)

 掲示板には羊皮紙が沢山貼られている。

 そして、酒場のように丸テーブル席をゴロツキ冒険者が占有してビールらしきものを飲んでいる。カウンターに受付嬢は居るが食堂のおばちゃんは居ない。冒険者は食い物持ち込み?


「おお、ここがギルドか」

「すっごーい!」

「さて早速物件を聞いてくるかの」

「私、冒険者登録してみたーい!」

「おお、それも面白そうじゃのう、では早速」


 すたすたとカウンターに向かう。

 珍しく素子ちゃんが博士を押し退けてギルド嬢に向かう。

「冒険者登録をしたいーーーー」

 そう言ったところで隣のやりとりが聞こえた。

「こちらが今回発行のギルドカードになります」

「はい」

 どうやら隣のカウンターにギルドカードの実物があるらしい。

 気になる素子ちゃんは思わず横を向く。


「あ?」

「げ!」

「てめえ!」


 隣のカウンターについたのは赤髪の戦士風の若い女。

 女は博士と素子ちゃんを見るなり凍りついた。



「ほほう、これはこれは」

 博士が悪い顔をした。

 隣に居たのは先日のまな板女騎士である。


「素子君、宿はなんとかなりそうだぞ。ふっふっふ!」






【登場人物】

 ギルド嬢A 巨乳

 ギルド嬢B 巨乳

 ギルド嬢C 巨乳

 ゴロツキ冒険者の皆さん


【今日の素子ちゃん】

 万能型名器に消化器官がついていた!

異世界建築物は神秘です。

床面積と柱と材質から考えれば、1日以内に崩れ去る筈。

まさに異世界マジック!

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