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博士、勇者に出し抜かれる

 ここはとある異世界。

 その異世界の安アパートのキャリーの部屋。

 そして時は早朝。まさに1日が動き出す時間帯。

 その中、博士達は既に活動を開始していた。





「各自スタンバイ良いか?」

「各員報告!」←キャリー(聖)


 ぴこーん!

 会長『でゅふふ、位置につきました』


 ぴこーん!

 観測員1『1番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員2『2番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員3『3番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員4『4番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員5『5番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員6『6番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員7『7番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員8『8番オッケー』


 ぴこーん!

 観測員9『9番オッケー』


「博士さん、観測員10人、位置につきました」


「うむ、ご苦労。そろそろ始まるぞ!記録を頼む」

「はい」


 ぴこーん!

『8番、来ました!』

 ぴこーん!

『2番、来ました!』

 ぴこーん!

『こちら会長、来ました!』

 ぴこーん!

『1番、来ました!』

 ぴこーん!

『9番、妹と一緒に来ました!』

 ぴこーん!

『5番、来ましたが代わりに母親が行きました!』

 ぴこーん!

『7番、来ました!』

 ぴこーん!

『6番、来ましたがタッチの差で妹に先を越されました。タッチの差です!』

 ぴこーん!

『3番、窓から来ました!』

 ぴこーん!

『4番、一緒に寝てましたーー! 尚、チュウで起こしました!!』


「4番、凄すぎます・・」

「どうやら予想どうりじゃのう」

「まさか本当だとは驚きです」


 ぴこーん!

『聖女様、どうなりました?』

 ぴこーん!

『キャリーさん。いま結果でました。博士さんの言うとおりでした。100パーセントです!』

「なんじゃ、キャリー君まで聞いてきたのか。朝っぱらから元気じゃのう」

 ここでいう『キャリー』は聖女の姿のキャリー。


 夜明けと共に行われた博士の観測。それは、

『隣に住んでる幼馴染の娘は寝ている男の子を起こしに行く法則』

 だ。

 会長の情報網を使い、仲良しの幼馴染男女を10組ピックアップした。

 間柄はなかよしから親公認の付き合いまで色々だが全て未婚のペア。そして全ての彼女が行動を起こした。



「世の中の女は朝が強いのう」

 因みに素子ちゃんは後ろでまだぐーすか寝ている。



「ご苦労じゃった。解散してよいぞ。報告書は後で集めてくれ」


 ぴこーん!

『4番! 朝からおっぱじめました! 最後まで見届けます!』


「・・・・・・」

「・・・・・・」


 ぴこーん!

『1番、応援に向かう!』

 ぴこーん!ぴこーん!

 ぴこーん!ぴこーん!

 ぴこーん!ぴこーん!

 ぴこーん!ぴこーん!


「やれやれ」


 ぴこーん!

『ここからでも見えた!』← 聖女(キ)




 ーーーーーーーーーー





 時は昼。

 キャリー村。


「博士。そろそろ妹に手紙書こうと思うんですけど、ここの事は書いていいんでしょうか? それとも書かない方がいいんでしょうか?」


 がたん!

「ちょっと待って! バズー君、妹が居るの!」

 驚いたのは素子ちゃん。


「はい。仕事もやめたし下宿も引き払ったし、田舎に連絡した方がいいかなと」


「博士!」

「まずいぞ。早く妹を保護せんと!」

「どうしたんですか?博士さん」

「うむ、聖女君とバズー君は知らんだろうが、勇者の法則のひとつで『彼女と妹(または姉)は両方寝取られる法則』というものがある!」


「いや、まさかそんな」

「キャリー(聖)君、信じられないが本当だ」

「バズー君の妹ちゃんって可愛いの?」

「ええ、兄から見ても可愛いです」

「まずい! キャリー(聖)君! 聖女(キ)に連絡じゃ! 会わせてはいかん!」

「でもまさかそんな」


 ぴこーん!

『速報、バズー君の妹来た』



「遅かったか・・・・」

 机をどんと叩く博士。

 予想出来た筈だった。迂闊だった。

 今から行ったところで既に運命の歯車は回り始めている。妹はきっと勇者に堕ちる。説得しても逆効果で、行き着く先は勇者とジータと妹の3Pだ。


「バズー君、君は妹とは仲が良いかね?」

「ええ、幼い頃なんて僕と結婚するんだってよく言ってました。それでジータと妹がケンカしたこともあります」

「あちゃあ」

 素子ちゃんまで項垂れる。

 キャリー(聖)とバズー君は理解できてない。


「素子君、勇者のハーレムが始まるぞ・・・・」

「はい・・・・」

 二人は真剣な顔だった。

 今までならネタだからという事で済まされた。

 だが、今やバズー君は大事な仲間で村人。泣き顔なんて見たくない。



 ぴこーん!

『速報、バズー君の妹ちゃんとジータの3人でお出かけ! 尚、行き先は不明! 後をつけますか?』


12位と(キャリー)はいえ危険すぎる! もしもということがあるかも知れん。君は後はつけずに勇者の部下に報告させろ。部下にもファンクラブ会員が居るはずじゃ!」

 そう、勇者のハーレムの法則は発動した。

 本来なら聖女がその一翼を担うはず。

 いくら中身がキャリーだと言っても危険だ!

 大丈夫とはいえ、危険は犯せない。





 ーーーーーーーーーー





「おにいちゃんのわからず屋!」


 中で少女の声が聞こえた。

 暫くすると中からバズー君が門の外に放り投げられて出て来た。

 放り投げた後事務的に中に戻って行く勇者の付き人。小物の相手はこんなものだ。

 ここは勇者がよく使う迎賓館。高貴な人たちやお金持ちの人がよく来る店。要は高級ホテル。

 もう辺りは暗く、中では豪華な夕食タイムになっていることだろう。

 推測するに、勇者が田舎から出てきた妹と豪華な夕食をしているのだろう。きっと側にはジータも居るし、顔の良い優しい勇者に妹は警戒心を持たないだろう。

 博士の言う通り勇者の周りの男の中に数名ファンクラブ会員がいた。

 聖女(キャリー)は急遽サブ垢を作り男性職員とグループを共有した。

 聖女のお願いなら皆こぞって協力してくれた。偽聖女なのに。

 おかげで情報はリアルタイムに手に入った。



 だが次々と入って来るマズい報告に頭に血が上ったバズー君が迎賓館に上がり込んだが、結果は想像どうり。

 おそらく今夜は3Pだ。

 バズー君はとぼと歩いて迎賓館から見えないところまで行き、膝を折って抱えて泣いた。

 最初に彼女を奪われ、今日は妹。

 あまりにも残酷。


 バズー君をキャリー(聖)が優しく立たせて歩かせる。

 向かったのはお菓子屋さんの客間。

 そう、会長の協力店のお菓子屋さん。中では博士、キャリー(聖)、聖女(キ)、素子ちゃん、会長、それと聖女ファンクラブ会員で勇者パーティーの職員さん数名。彼らは聖女の味方。

 皆、この悲劇を悲しんだ。

 どうしてこの少年はここまでひどい目に合わなければならないのか。


 そして、


 ぴこーん!

『こちら012。勇者が遂に妹さんの服に手をかけました!場所は3階バルコニー!』

『周囲には一般のお客さんも居るのに、始めるつもりです!従業員の制止も無視です』


 一同が固まった。

 まさか・・・

 だが、バズー君が外に走る!

 追う一同!

 走り、右に曲がり、また走る。

 見えた迎賓館!

 そして3階正面バルコニー!

 居る!


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


「あちゃあ」

「あの外道」

「許せない」

「クズが!」


 だが、勇者だ。

 罪にはならない。



 聖女(キ)がキャリー(聖)に質問する。

「聖女様は今でも勇者が好きですか?」

 勇者に(様)はつけない。





「嫌いよ。大嫌いよ! 恥だわ」





【登場人物】

 マリー

 バズー君の妹。可愛くてイッツ妹キャラと言う感じ。若干の魔力は有る。

 お兄ちゃん大好きすぎてそれが災いし、勇者の毒牙に堕ちる。

 処女喪失が公衆の面前で満点の星空の元、バルコニーで青姦。


 勇者パーティー二軍の皆様。

 二軍で付き人要因。聖女ファンクラブ員多数。会員は聖女からのスパイもする。

 流石に今回の勇者の行為は会員以外で勇者派もドンビキ。

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