博士、くっころ女騎士を見殺しにする
細かいことは気にせずに。
「くっ、殺せ!」
ここはとある異世界。
そしてその山奥の洞窟。その入ってすぐの広いエリア。ここはオークの住処である、いやオークの集合住宅といえる。
ひとりの赤髪の女戦士がボロボロになりながら地面を尻で後退りついに石壁を背にした。これで逃げ場はなくなった。戦闘で剣を失い投擲武器も使いきった。
目の前には強そうなガチムチオークが四体。女騎士はオーク討伐精鋭部隊としてこの洞窟に突入した。しかし、このオークが予想外に強かった。部隊の仲間は皆倒れたり逃げたり。そして自分が最後の一人。
このままいけば、殺される。いや、女である女騎士には死ぬより悲惨な事が起こるかもしれない。オークは人間にも欲情する。それは有名な話だった。
本来なら騎士とはいえ女はオークの前には行かないほうがいい。
しかし、話はそう簡単ではない。オークは人間の見分けが下手だと言われてる。
実際は男もよく襲われる。割りとマジで。ならばということで討伐隊は女でもなれる。考え方を変えれば婿探しで討伐隊に入るのもありである。案外それでいい男を見つける女騎士も居ないことはない。男の方としても元騎士で仕事に理解のある妻は都合が良い。
オークが本当に人間の男女の区別がつかないのかは誰も知らない。案外男が好きなオークの個体が居ただけなのかもしれない。
さて。
腰巻き越しでも判るそそり立つオークの◯ンポが、嫌でも女騎士の視界に入る。とんでもないサイズ。まるで『腕』、それが4本。
女騎士は思った。
アレはヤバい、裂ける!
裂けてしまうのなら男も女も関係ない。生きたまま切り裂かれる恐怖。
だからやっぱりこのセリフ。
「くっ、殺せ!」
「間に合ったようじゃ」
「凄いです博士!」
やや上から突然の声。
洞窟の入り口に現れた二人組の人間。
一人は白髪短髪の中年女性。職業は東京の某所に研究所を開いている科学者。収入源は謎である。
もう一人はドンキで買ったゴスロリ衣装を着たバイトの助手。名前を素子という。
この助手は成人式サボった半ニートで、街で「君、アイドルにならない?」と言われれば、怪しいおじさんにも簡単についていきそうなアホである。いや、既に付いていって、やられまくってラブホに置き去りきされた。ホテルの支払いは済まされていたが、財布が丸ごと消えていた。
「おお流石異世界。本物のオークと甲冑女騎士じゃ。どうやら本当に異世界のようじゃ」
どことなくジジイな喋り方な博士。
「異世界に来たといって長野とかじゃないですよね!」
「そんな訳なかろう」
素子ちゃんはテンションは高いがビビりも半分ある。
そして長野県をバカにしているが新潟県出身。
「あーでも異世界来るなんて夢みたいです!」
「うむ、とある方のお蔭じゃ」
「とある方って誰ですか?」
「さあ、素子くん。早速観察を始めようではないか」
「だから、とある方って!」
間に合ったと言っていたが、女騎士の助けに来たのだろうか?いや、そうではないらしい。
博士は一段高い岩の上に椅子を出して呑気に座る。その後ろに立つ助手が手に何かのファイルとペンを持って構えている。助ける素振りは無い。どうみても高みの見物。
オーク達と女騎士が珍入者を見ている。
「あーそこの女騎士君。我々のことは気にせず続けてくれたまえ」
「さあ、素子君。しっかり見るのじゃぞ。とある筋では
『女騎士はくっ、ころせ!と言うと生存率が上がる』という説がある。今、あの女騎士は『くっ、殺せ!』と言ったばかりじゃ。とても興味深い、どうなるか観察じゃ」
「はい。でも、あれヤバくないですか?仲間も居ないみたいだし。それに助けた方が良くない?」
「助けたい気持ちはよく分かる。じゃがまずは観察じゃ。今、平行世界の私も同時観察をしておる。今のところ『くっころ』言った女騎士は25人で、言ってない或いは別の単語は合わせて20人。貴重なデータじゃ。観測結果は学会に発表せねばのう」
「へーすごーい! じゃあ私も45人居るんだーー」
「当然じゃ。因みに他の世界の素子君はとばっちりで既に4人死んでおる」
「げっ!」
びっくりして思わず博士の背後に隠れる素子ちゃん。
平行世界の異世界45箇所の同時観測だが、各世界少しづつ差があるらしい。
本当は百人の博士による同時観察が計画されていたが、五十五人の博士は『忙しい』と言って
不参加である。
ごそごそと博士がポケットをまさぐる。
そして取り出したのはスマホらしきもの。それに素子ちゃんの持ってる鞄から取り出した外部スピーカーを繋げる。スピーカーはかなりデカイので素子ちゃんが持って構えている。
「こんなこともあろうかとオーク翻訳アプリを入れておいて良かったぞ」
マイク代わりのスマホ(仮)に向かって喋る博士。そして接続されたスピーカーからどでかく音が鳴る!
「てすてす」「グカグガ」
オーク達が上に居る博士と素子ちゃんに注目する。オークの視線に素子ちゃんがちょっとヒく。
大きい音を再生しているが、合成音声なのでハウリングの心配は要らない。
「私は科学者だ」「ググガ、ガ、ググガガ」
「我々は無関係だ」「グガガガガガッガ」
「さあさあ気にせず続けてくれたまえ」「ガッガッググガガガガッガッググガグ、ガーガグガ」
再び下を向くオーク達。
その先には女騎士。
「え? 見殺し?」
絶望する女騎士。
人間なら人間の味方をする筈。しかしまさかの見殺し。
「グガッ♥️」
「グガッ♥️」
「グガッ♥️」
「グガッ♥️」
喜ぶオーク達。
「いやあああああああーーーーー!」
女騎士に四方から群がるオーク達!
オークの背に隠れて見えないが女騎士は大変なことになっているに違いない。
がらんとオークに後ろに投げられる女騎士の防具、それに剣の鞘も。それに何かの布。また別の防具が後ろにほおられる。そしてまた布が飛ぶ。 もうブーツ以外は素っ裸。
「おお、如何にもくっころ女騎士な景色じゃ」
「ちょっと博士! マズいですって! 助けないと!」
「そうか?まだ終わってはおらんぞ?」
「もう死ぬって決まったようなもんじゃないですか!早く助けないと!」
女騎士、もはやこれまで!
しかし、オークの動きが止まる。
四体のオークが一歩づつ下がる。真ん中のオークが女騎士の柔肌をつつく。ポッチリをびよーんと引っ張って離す。その手を頭に載せてボリボリと掻く。不満そうだ。
そして、グガッとかグーとかオーク同士の低い話声が聞こえる。
「お、状況が変わったようしゃぞ」
「あ!ホントだ! あの人、生きてる!」
一体のオークが博士達を見ると残りの三体も博士達の方を見る。オークの後ろにはひんむかれてガチでべそをかいている女騎士。あらかたひん剥かれたのに何故かブーツは無事だ。
そして何か訴えてきた。
「ガガッガガ」
答える博士。
「ガーーー?ガガッガガ」
またオーク。
「グーーー、ガガッガガ」
「困ったのう」
「どうしたんですか?」
「うむ。オークは『チェンジ』と言っておる」
「チェンジ?」
「うむ。それとこれを交換してほしいと言うことらしい」
そうして博士は女騎士と素子ちゃんを交互に指差した。
「は?」
「どうする素子君。君が行けばあの女騎士は助かるぞ」
「いやいやいやいや!
いやいやいやいや!
私、私は?」
素子ちゃんの眼下ではガン泣きで助けを求める女騎士。だが助けを乞う言葉が言葉になってない。もうパニック。
「さっき助けようと言ってたではないか」
「いやいやいやいや! それとこれは!
無理! あんなの無理!」
「そうかの。ちょっと大きめのゴブリンだと思えば。それに異世界の体験取材になるぞ」
「グゴグゴ、グゴグゴ、ガガガ」
「早くと言っておる」
「いやいやいやいや! そもそもなんで私!」
「見れば判る」
素子ちゃんが裸の女騎士を見る。
あ、つるーんぺたーんとしてる。かろうじて女だと言うのは分かる、でも・・・・と素子ちゃんは思った。そのまま視線を自分のものに。しまったと思ってももう遅い。服を着ているのにかなーり強調されたメロンがふたつ。これか! 自慢では無いが男子から告白はされなくても、この巨乳だけは『お願い』される。『触らせてください』『挟んでください』『めくって』『1万円でどうですか?』『千円で何秒いけます?』
「博士!」
「私はお呼ばれしてないしのう」
「に、逃げッ!」
「あの娘を置いてか?」
「ええっ・・・・」
「ほれ、行ってこい。いざとなったら助けてやる・・・・かもしれん」
そういって博士は素子ちゃんをオークに向けて蹴落とした。
「博士ぇぇぇぇぇぇ!」
「ガッガッ♥️」
地面に落ちる前に大事に受け止めるオーク達。
わっしょいわっしょい! まき起こるオークによる素子祭り!
かなり嬉しそうである、オークが。
この隙にこそこそ逃げ出す女騎士、もちろん服はない。着ていた物はガラクタと切れ端になってしまった。足ももつれてまともに歩けないがそれでも必死に外に逃げる。ここで逃げなければオークの慰み者にされて死ぬ。その思いで必死に無様に逃げる。
しかし、オークからは需要なしとされて追手がかかってないことに気づいていない。
「こんなこともあろうかと素子くんのアレを万能型に改造しておいて良かったわい。さすがは私じゃ」
博士酷い。
素子ちゃんを中心としたお祭り状態だが、万能型ゆえ流血はないはず。万能型はポークビッツからヘチマまでどんと来いなので大丈夫だろう。きっと祭りは盛り上がるに違いない。
上では博士がファイルに記録をしている。
「『女騎士生存』 AAカップは需要なし」
他にも記録していたが、女騎士には見せられる内容ではない。もっとも女騎士は逃げてもうここに居ないが。襲われない女もいる。人間にもオークにも色々あるらしい。
「グゲ。ガッガツ」(お連れの方借りてすいません)
そう言ってひとりのオークが階下から博士に、異世界名物高級バナナをうやうやしく差し出す。
「おお、すまんのう」
受け取る博士。
思わぬ食料入手、しかも異世界名産。
ひとつ剥いて食べると博士は驚いた!
「む、美味い!」
再びスマホ(仮)を手に持つ博士。
「これは美味い。今日はゆっくりここで泊まるとしよう。アレはもうしばらく使うが良い」「グーグー。ガッガガガガッ、グガガ」
「ガッツ!グッ!」(マジで? やった!)
「まじかああああああああ!」
再びわっしょいわっしょいと盛り上がるオーク達。そして女騎士はスタコラサッサと逃げてしまてもういない。
素子ちゃんの雄叫びが洞窟に鳴り響いた。
「待てよクソアマーーー!」
【登場人物】
女騎士
キャリーという名前らしい。中の下くらいの家の生まれ。
赤髪で顔は良いがド貧乳。バストアップのために胸筋を鍛えたら胸脂肪が無くなった悲しい過去を持つ。
因みにド貧乳なのはシークレット。大事な大事なお手製胸パット仕込みの服は今回ビリビリに。
王国騎士団に所属する公務員。
いつか良家に嫁ぐまではド貧乳を隠し通すつもり。正式な婚姻を交わすまでは誰にも、つまり婚約者にも見せる気はない。バレるのを防ぐ為に男遊びもしない。
お陰でまだ処女。
【登場人物】
博士
マッドな科学に魂を売ったBBA。
『とある方』と知り合い。
素子ちゃん
地元を離れ東京の大学生活三日目で滑落コース。
増える借金、増えない仕送り。もう風俗行きかと諦めかけてた所で博士と出会い借金を肩代わりしてもらう。代わりに助手になる。
人生大逆転をもくろみ「なろう小説家」になる。
タレ気味巨乳。万能型名器の持ち主。
異世界には何を思ったかドン◯で買った五千円のゴスロリ衣装で来た。着替えは有るが、◯ンキとしまむ◯の物ばかり。
とある方
とある方である。
設定?
しらん