ファーストキス、かーらーのー!?
よろしくお願いします。
さて、最悪なファーストキスを終えた私を待っていたのは壮絶な質問攻めだった。
最初こそ私と美女の二人を交互に事情聴取してくのかと思いきや、先程の一件で美女がフリーズしてしまい私にヘイトが全て向いた。
なので、質問攻めに合っている訳だ。
「なんでキッチンにいるの!?」
答──よく分かってない。
「な、な、な、何故うちのフィリィと!?」
答──事故です。
話を聞く感じ、フィリィというのは美女の事だろう。
「ファーストキスが二歳なんて、お早いわぁ」
この人だけ質問じゃない。
そしてなんだか服装が派手だ。この人は多分ヤバイ。
という感じで小一時間はこの状態から解放されていないのだが、現実的な事を言うと二歳が流暢に喋るなんてあり得ないのだ。
だから自然と黙秘権は行使される。なんて都合のいい体だろうか。
そうそう、都合がいいと言えば。私が一言、魔法の言葉を放つだけで彼らの熱い質問攻めは終わりを迎えるのだ。
何故最初からしなかったのかと思われてしまうだろうが、成人男性の精神構造が焼き付いてしまっている私からすると意外とキツい。
自分がバブバブ赤ちゃんムーブをかますのはあんまりしたくない。黒歴史確定事項です。皆、気をつけましょう。
まあ流石に時間が経ちすぎたので、躊躇っている余地は無くなってしまった。なので、発動しよう。
「ママぁぁあ!!」
そうだ!二歳だから出来る奥義、【ママに泣きつく】だ。
使えるのが言葉を覚えたての幼児に限られてしまうのが難点だが、効力は絶大な代物である。
これを受けた親は、「まあそうねぇ、確かにまだ子供だし‥‥」となってしまうのだ。大半だが。
さて、効果はどうだ。
母は駆け寄った私の顔をその持ちゆる最強の胸部で埋め、頭を撫でる。これが安心するんじゃぁ、深い意味はない。本当に。
「まあ、喋れないのだから仕方ないけど‥‥ちょっと対応が必要かしらね」
と、話が望まぬ方向へ進み出す。
ちょっと待って欲しい。喋れなくて仕方ないを理解したのなら、もう勘弁してくれ。
俺にこれ以上何をさせると言うのか。(全て自分が発端であるというのは伏せておこう)
すると母は、私を美女──フィリィの元へと連れて行くと手短に紹介をした。
「今回は本当にごめんなさいね、フィリィ。我が家のメイドと言えども、この件は嫌だったわよね‥‥」
母に何とも丁寧な対応をされ、フリーズが極限状態へと突入するフィリィ。母よ、もう辞めてあげて。
「い、いえ‥‥大丈夫です。私ももう十五です‥‥ニンゲンデイエバデスケド」
フィリィは頑張って母へ言葉を返す。最後の方は何で言っているかよく分からなかったが、まあ良いだろう。
そんな彼女を尻目に、母はとんでもない事を口走る。
「でも、でもよ。もし貴方さえ良ければ、うちのリアと‥‥その‥‥ご結婚してくださらない!?」
「ふぇ!?」
「はい!?」
何を言ってんだこの母親ァ!?まじか!?確かに、ここ最近同性婚が認められつつありますが!!あっそっかぁ、ここ異世界じゃんワハハ!!!!!
‥‥‥何言ってんだろ、私。
流石に動揺しすぎか。
百合恋愛至上主義者としてこんな美人と百合結婚出来ることは、この上ない幸せであるけども。まあ、こんな美人に成長するかもわからん女児と結婚するとも思えんわな。
「‥‥します。します!!」
あっれぇ!?可笑しいな。事態がどんどん予測できない方向へと進み出してるよ。これが異世界モノなのかな!?
そんなに軽率に決断してしまって大丈夫かな、フィリィ‥‥
「まあ、そう?じゃあ末永くよろしくお願いねー!」
だが、しかし。こういう不測の事態というのは、大体時間が解決してくれるのだ。何も、心配する必要はない。
まさか、ね?
次回も早く!!!
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初作品ですので、至らぬ点が多いです。
そんな作品を読んでいただきありがとうございます。