あれ‥‥!?これが体験型の百合っ!!
私情でめっちゃ久しぶりの投稿です。
よろしくお願いします。
女性との関わりが一切と言えるほどない。そんな百合恋愛至上主義者が、絶世の美女と出会ったらどうなると思う?
「あの‥‥リア様?どうかなされましたか?」
「‥‥ひゃい!?」
答──人見知りとコミュ障が加速して、碌に喋る事が出来ない。せっかく話しかけてくれたのに、だ。
言い忘れていたのだが、私の名前はリア・レインルース。良ければ覚えておいて欲しい。
私がそんな一人語りをしている間にも、硬直した私の目線に手を振っている美女がいる。ああ、なんて愛おしいのだろう。
「リア様ー?」
なかなか復帰しない私に対し、何度も引き戻そうと試行錯誤する美女。
体を揺らしてみたり、シチューを少量此方へ持って来てみたりしていたが、あまり意味はなかった。
流石に見ているこっちも申し訳ないのですぐにも復帰したいが、限界化した緊張感はそう簡単に解くことが出来ない。なんなら、方法を知らない。
どうしようか。
美女に関しては顎に手を当てて何かを考え出してしまった。余計な事が起きる前にどうにかしなくては。
「リア様ってもしかすると、人見知り‥‥?」
硬直状態が続く中、美女の思考回路はこれまた斜め上に向かい始めた。
ヤバい、私の誤魔化せない所で人見知りがバレた。まじで終わった。
そうだ!変な誤解(いや、何も間違ってないけどさ!!)が生まれる前に声だけでも発しよう。
いやでも待てよ。声だけだと流石に可笑しいから、手を肩に乗せて圧をかけよう。
美女と私との身長差はある。だが、彼女は今、私と目線を合わせる為に屈んでくれている。
このチャンスをモノにし、何がなんでも私が人見知りである事を有耶無耶にするのだ。
そして、私は決死の覚悟で(多少大袈裟に聞こえるかも知れないが、私からしたらそのレベル)で体を動かし、声を発する。
「ご、ご、ご、ごめんね!?」
少し難しかったが、意外と緊張時に体を動かす感覚は掴めたかも知れない。
「ええ!?何がですか?リア様ー!!」
突然肩を掴まれた挙句、謝罪され、美女は混乱を露わにし、あたふたとする。
その身振りの一つ一つが可愛いの、どうにかならないだろうか。私の身が保たん。
「だって、ずっと黙っちゃったから‥‥」
私は恥ずかしがりながらも、美女に対して先程までの静かさの弁明を述べる。
上目遣いを意識し、多少あざとく、美女の心を射抜けるような美女を演じる。
最後に目に涙を浮かべれば完璧だ。いつもは元気な女の子が、緊張しつつも頑張って私に話しかけてくれた。そんな印象が着くだろう。
さあ、どうだ。
「大丈夫です。私も人見知りな方なのです。ですから、御謝りにならずとも理解はできております」
あっれー?人見知りを有耶無耶にするどころか、逆にそれが定着してしまった。
「ええっと、違くて‥‥!!」
「‥‥はい?」
美女は首を横に傾け、頭には疑問符を浮かべている。
駄目だこれ、此方の意図を理解できていない。これではいつまで経っても誤魔化す事が出来ない。
この先の人生を円滑に進める為にも、絶対にこんな序盤で人見知りの烙印を押される訳にはいかない。
考えろ!考えるんだリア・レインルース!!この状況を打破できる策を!!
「だからその、私は人見知りじゃなくてええええ────!!」
私はもうどうして良いのか分からなくなり、手当たり次第、美女の肩を揺らし続けた。
自分でも何をしているのかよく分からないまま、時間は進んでいた。アホらしい。
だが、今思い返せば酷いのはここからで、先ほどまでの行為の全ては前座に過ぎなかったのだ。
勿体ぶらずに言うと、思いっきり体勢を崩し勢いのまま美女を押し倒してしまったのだった。
「────やべ!!」
「──────!?」
激しい物音を聞きつけ、私達がいるキッチンに家中の人が押し寄せて来たのは、言うまでもない。
年齢にして多分十四歳そこらの見た目の美女が、二歳の女の子に押し倒されている図は、何とも言えなかっただろう。
やってしまったという気持ちを感じる前に、私の唇に違和感が生じる。何か柔らかいものを触れているような。
私が目を開けると、頬を赤らめる美女の姿があった。
そっと唇を離し、チラリと周囲を見渡す。
私の両親や家の者たちが一同揃って、私のファーストキスの現場をまじまじと見ていた。
本当に、終わったかも知れない。
次回投稿は明日になります。
もう予約投稿もしております。