11月・母親至上主義!:1
「お節介女」「ヘタレ男」
「性格ブス!」「顔だけ男!」
公平と麻琴のいがみ合いは頻繁に起こるようになった。
「二人とも、落ち着け……」
「麻琴が煩いだけだ」
「何よ、ただ『美希さんは?』って聞いただけじゃない。それなのに公平が突っ掛かってくるんでしょ!」
「それがお節介っていうんだ!」
──鼻息荒く睨み合う。
文化祭が終わると中間試験がやって来た。
週末に俺の部屋で[勉強会]らしきものをしている。
「何よ、勉強するなら美希さんも連れてくればいいって思っただけじゃない……ああ、年上彼女と勉強なんかしたら自分のバカがばれるから?美希さん頭いいもの!」
「そ、んなわけないだろ!美希は絵画倶楽部の日なんだよ!」
「ふーん……あ、そうか、月2回通ってるって言ってたわね。なーんだ、折角一緒に勉強出来ると思ってたのに」
〈目的はそっち?!〉
ブスッ垂れた公平を無視して、麻琴は手元のノートに向かう。
「……お前ら仲良いよな」
悪態を付き合いながらも二人は必ずウチに来る。
朝食、夕食を食べて、母と戯れて帰る……普段通りだ。
変わった事といえば下校時に一人、公平の彼女・小松美希が増え、昼休みにもよく四人で過ごす事が多くなった。
そして驚く事に[へのへのもへじ]だった美希さんの顔は、2週間以上経って[マトモ]な顔になった。
なにが原因かはサッパリだけど、先日の昼休みに芝生の敷き詰められた校庭で昼飯をと移動した時だ。
目尻の少し下がった、色白で可愛い感じの
フワフワした彼女がヘラリと笑って待っていた。
〈誰?!〉
そう思ったが、公平と仲良く話し始めたし、麻琴も嬉しそうにしていたから〈ああ、美希さんか!〉と納得した。
下校も四人で行うが、途中で公平は美希さんを送る為一時的に別れ、夕飯が出来上がる頃に公平と麻琴で揃ってウチに来る。
「「どこが?!」」
俺のため息混じりの言葉にも、二人揃って返してくる事が多くなった。
「ほら、仲良いじゃん……」
ニタリと笑ってやると二人は口を尖らせて互いの顔を背け合った。