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マザコン!  作者: 束砂
91/113

10月・大切だから大事:13

ゴミ出しをする子からゴミをもらい受けて歩くが……しまった、顔が判別出来ない。

クラスは、何組だっけか?

背は麻琴くらいだったような……などと考え、ボブショートを探して各クラスを覗いて回ると、運良く前方の扉から笠井が出てきた。

俺を目に止め名前を呟いたから気付けた。


笠井もゴミを捨てに行くというので、一緒にゴミ置き場に向かう……何故か取り巻きも3人ついてきた。


「あのさ、笠井さん友達多いよね?」


確かめてから本題に入ろうとする。

笠井は怯えているのか、大袈裟に頭を上下に振って頷き返してきた。


……そんなに怖いなら、誘わなきゃいいのに。


「そ。じゃあさ、悪いんだけど友達と参加してもらえないかな、後夜祭。麻琴がドタキャンされて相手がいないんだ。俺、麻琴と組むから」


簡潔に言葉にすると、笠井は微動だにしなくなり、代わりに取り巻きが騒ぎだす。


「何それ?!」

「酷くない?!」

「どういうこと?!」


「ああ、うん、ホント、ごめん」


「信じらんない!」

「最っ低!」

「有り得ない!」


「……うん、ごめん」


集団の女子は恐ろしい。

俺は素直に謝り続ける。


取り巻きは笠井を囲んで「可哀想」だとか、「酷すぎる」だとか口にしてきたが、反論出来るはずもない。

ドタキャンをする俺が悪いのは事実だ。


「ま、ことって……安住、麻琴?」


笠井は自分を慰め始めた取り巻きの中から、震える声を出してきた。

[へのへの]の[の]が揺らいで見える。


「う、ん。あの、ホント、ごめんな」


泣いてしまう……申し訳なく思い、焦る。


「……そ……ぉ」


返ってくる声が掠れて消えてしまう。



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