9月・真実と事実:19
麻琴は顔を赤らめて頬を脹らませ、口を尖らせてソファーに座った。
反対側に正反対のにこやかな顔をして公平が座る。
間にあるローテーブルに本日の朝食[クロワッサンサンド]と[カフェオレ]を並べた。
「いっただきます!」
「待って!」
公平の掛け声に麻琴はきつく制止をかけた。
「おバカども、一体何なのか説明してちょうだい。何でベタベタくっついて来んの?ウザい!」
睨みを利かせて腕を組んだ麻琴は相当頭にきているようで、言葉に怒りを乗せて来た。
これは誤魔化しが効かない……麻琴は以外と感がいいのだ。
遊びとは思っていないようだと知れる。
俺と公平は目配せをして、大人しく沈黙を守った。
「何なの?言わないならあんた達が私をストーキングするって芽衣さんに言い付けるわよ?女子更衣室やトイレにまで付いて回るって!」
「お前が言わないからだろ!」
母の名前を出されて公平は焦って吐いた。
互いに相手の弱点を知っているからこそか、あっさりと陥落してしまった。
「お前が笠井理子にイビられてるみたいだから、ケガさせられないように見張ってるんだよ」
「は?何?……誰?」
「笠井!1-4の笠井理子!留衣のストーカーだよ。麻琴、嫌がらせされてんだろ?階段から突き落とされたり、水掛けられたり……他にも何かされたんじゃないのか?お前こそ話せよ、俺達は心配してんだからな」
拗ねるように白状した公平に麻琴は唖然とした顔で俺達を眺めてきた。