9月・真実と事実:7
心配なんて勝手にするものなんだろうけどな。
自然と3人で俺のウチに……帰った。
慣れってスゴいな。
「どったの、あんた達?」
昼食をとっていた母が素頓狂な顔をして出迎えてくれた。
「芽衣さんに会いたく……って!」
母の手を握ろうとする公平を怒突く。
「ただいま、麻琴が貧血だって。途中で倒れたら危ないから一緒に帰ってきた」
「あらあら、大丈夫、麻琴ちゃん?貧血はバカに出来ないよ、横になってなさい」
理由を真に受けて、母は麻琴を連れてリビングに向かった。
「麻琴のヤツ……羨ましい!」
「箸を噛むな」
俺は構えていた弁当を食べ、公平には軽く焼そばを作ってやった。
公平は昼飯を購買で調達する。
[友達彼女]が構えてくる事があったりしたからその名残なのか、未だ親に弁当を頼んでいないらしい。
麻琴はソファーを占領して母に手厚い看病を受けていた。
と言っても、熱を確めるために額に手を当て、貧血の度合いを診るために目を開いていただけだ。
「うー……ん、食べられるようなら何か作らせるけど?」
……だよね、俺が作るんだ。
「へーきです、ちょっと寝たら帰ります。今日はママも帰りが早いから」
麻琴は心底嬉しそうに顔を赤らめて母を見る。
「そう?」と言うと母は
「留衣、麻琴ちゃんに肉食べさせてあげなさい。レバーとか、レバーとか、……ほうれん草とか?」
「わざとか?……判ったよ」
にへっと笑って麻琴の頭を撫で、母は仕事に戻った。