9月・真実と事実:4
間違いではない。
俺の頭は学年中で下の方。
公平は真ん中辺りで、麻琴はいつも必ず上位にいる。
「じゃ、それで決まりな。公平はどーすんだ?[友達彼女]、全部切ったんだろ?」
「んー……なんとかなるだろ。俺、見た目だけはいいし」
自虐ネタにする公平が痛々しく思えるのは俺だけだろうか。
「お前……見た目だけじゃねぇのにな」
苦笑して呟いてやる。
公平は俺の言葉に同じように苦笑して返した。
黙ったまま動きのない麻琴に気付いて顔を見ると、麻琴は無表情で固まっていた。
「麻琴?どーした?」
声をかけると麻琴は無言のまま首を小さく振って「……いい、私一人で……単位、諦めるから」と小声で断りを入れてきた。
「何で?俺なら慣れてるだろ?」
「そうだよ、留衣なら大丈夫だろ。留衣の為にもなるし、組んどけよ」
軽い気持ちで掛けた言葉に麻琴は首に手を足して拒否を表した。
「ダメ……ダメ、ダメ、ダメ!いい!私、単位一つ落としても平気だから!」
「麻琴?!」
麻琴は早口に断言し、勢いよく席を立って教室を出ていった。
もうすぐ次の授業が始まるのに……俺と公平は顔を見合わせて疑問符を立てた。
「なんか、俺めちゃめちゃ嫌われてないか?」
「いやー……まさかぁ?」
会話は続かず、少なからず俺はショックを受けた。
麻琴は生まれて初めて授業をサボった。
こんなことは初めての事で、公平と共に戸惑ってしまい、授業など頭に入らなかったくらいだ。(まともに受けても変わらないと後に麻琴に刺された)
休み時間が来ると急いで麻琴を探しに出た。
「どこ行ったんだ麻琴のヤツ?」
「知るか!とりあえず保健室に行ってみよう」
俺達は廊下の人混みを割けながら自然と早足になっていた……のにだ、「何よ?どうしたの?」と麻琴はケロリとして保健室のベッドに居た。