8月・HAPPY[BLUE]BIRTHDAY:18
それをどう解釈したのか、公平はそのまま母に近付き……キスをした。
瞬間、走って二人に近付き、俺は公平の襟首を引っ付かんで母から引き剥がし、力まかせに吹っ飛ばした。
「な、に、やってん、だっ……!公平っっ!!」
公平はリビングからダイニングに向かって滑り、ダイニングテーブルにぶつかった。
テーブルは擦れて椅子が倒れ、家中に大きな音が響いた。
「る、い」
「なん、何……何やってんだ!公平!母は、俺の母親だぞっ?!」
俺の後ろで起き上がりつつも立ち上がれない母が震えて掠れた声で俺の名を呼んだけど、自分の怒鳴り声に掻き消されて届いてこない。
怒りで身体が震えてくる。
「何、やってんだって、聞いてんだろ、答えろよ、公平!!」
公平はゆっくりと身体を起こし、冷めた目で俺を見た……。
誰だ、こいつ?
一瞬そう感じた。
俺の知っている[公平]じゃない。
「何って……何?何で怒られんの、俺?」
公平は自嘲するかのように笑みを浮かべて膝を立て、頭を抱えた。
「公平っ!」
「俺にとって……俺にとって芽衣さんは一人の女で、大切な存在なんだって……知ってるんじゃないのかよ、留衣」
弱々しくも悲痛な声で問い返される。
確かに、こいつは母を好きだと何年も言い続けていた。
だけど
「それは……」
「本気なんだって!!」
俺の応えを遮って、公平は大声で叫んだ。