8月・HAPPY[BLUE]BIRTHDAY:16
腰を降ろし直した城崎は大きく息を吐き出して不機嫌な表情をした。
俺は答えを待った。
今度は本当に呆れたように息を吐き、真剣な顔で俺に向かい合う。
「芽衣……母に聞け。他人の俺が教える事じゃない」
冷たい……突き放した言い方だった。
何も言えなかった……何故だか目が潤んできて、顔が熱い。
城崎はギョッとした顔をして、焦りだした。
「おい、悪い、悪かった!泣くな!その顔で泣くな、困る……心臓にくるな、お前」
片手で額を押さえて項垂れ、焦る城崎は見ていてなんだか可笑しかった。
お陰で(?)目から何も零れてこなかったし火照りも治まり始めた。
城崎はまたタバコに火を付けて暫く俺から目を逸らした。
1本吸い終わるとため息を吐き、面倒くさげに、困った顔をして俺を見ると
「送ってってやるから、芽衣に聞け!……どうしても聞けないなら、また俺のトコに来い。相手してやっから」
と素っ気なく、でもちょっとだけ心配げな声音でそう言って、今度こそ立ち上がり会計を済ませに歩く。
俺は少しざわついた気持ちを抱えて城崎についていった。
車の中でも沈黙は続いた。
話しをする雰囲気ではなかっただけだけど、俺の頭の中は城崎の言葉がグルグルと回りっぱなしだ。
やっぱりコイツは俺の[父親]を知っているんだ。
『また───来い』
俺は母に聞けるだろうか?
そうするのが当たり前の事だろうけど母は答えてくれるだろうか?
答えてくれる……だけどその時、母は何を思うだろう?
俺は……何をしたいのだろう?
家に着くと全く別の問題が発生していて、俺は自分が解らなくなった。