8月・HAPPY[BLUE]BIRTHDAY:8
タバコに火を付けて、煙を燻らせる……様になっていてムカつく。
「何が聞きたい?つっても、予想はつくんだが……」
口元に手を充てて声を押し殺して笑う。
「あんた、一体芽衣さんの何なんだ?!」
公平が口火をきった。
怒りを込めた口調で噛みつく。
その様に城崎は我慢が出来なかったのか吹き出して肩を揺らす。
逆効果だと知っているだろうに……公平は予想通りに「何が可笑しい!バカにしてんか?!」と益々頭に血が登り、飛び掛かりそうな勢いだ。
「悪い……クククッ……別に、バカには、してない……ふはっはは……」
城崎の笑いは収まりそうになく、公平は殴りかかりそうになった。
が、俺が公平の腕を掴んで止めた。
殴り合いは嫌いだ、話しが出来なくなる。
「あんた、母とどういう関係?」
ストレートに、真っ直ぐに城崎を見据えて問い掛けた。
これ以外に[聞きたい事]はないだろ?
城崎は笑う事を止めた。
大きく息を吐き、タバコをくわえて、吐き出す。
僅かだろうけど、静かになった。
「ふん……契約出版社の担当編集者っつっても、納得しない?」
柔らかな声で問いかけてくる。
俺達は無言で応えた。
すると城崎はまたもクスリと漏らして「元恋人だよ。芽衣とは高校の時付き合ってた」と諦めたようにさらりと言ってのけた。
俺の心臓が跳ねた。
「別れてから仕事で再会するまでは互いに連絡は取ってなかったよ。進学先も違ったし、忙しくしてたしな……満足?」
仕方なく、といった感じで城崎はため息混じりの煙を吐いた。