表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マザコン!  作者: 束砂
32/113

7月・芽衣の優雅な1日:5

公平の憂鬱は暫く続いた。

それでも放課後に[彼女]と帰宅すると言い、先に教室を出て行った。


「今の彼女さん、1つ上の[小松(こまつ)美希みき]さんっていうの。中学で同じ委員会だったのよね……いい人なのに、何で公平なんかと付き合ってるんだろ」


帰路の途中、麻琴がボヤいた。


「美術部員で、芽衣さんの事『憧れてる』って誉めてくれてたのよ!」


「へぇ……」


正直、俺にはどうでもいい話しで、気の無い返事しか出来ない。

母の仕事について、母の描く世界を見て、小さい頃の俺は喜んでいた。

今でも凄いなとは思っている。

慕ってくれる人がいるのはめちゃめちゃ嬉しい。


だが今はそれどころではない。

母の仕事をサポートしているのが城崎恭一だと知ってしまった以上、あいつが何なのか、気になって仕方がない。

前の担当編集者とは明らかに違った[親しげ]な雰囲気に苛立ってしょうがないのだ。


前の人は呼び捨てたりしなかった。

たからといって母に『あいつは何なんだ?』などと聞いても『担当編集者だけど?』としか返ってこないから聞くだけ無駄だ。

むしろ、『アイツなんて言っちゃダメ!』と怒られたくらいだ。


大人は都合のいい事だけ話す。

あいつに聞いたとしてあの[上から目線]な笑みを見せてくるのかと思うと聞くのも嫌だ。

返ってくる言葉に不安もある……。


考えながら歩いていたから、ふと傍らを過ぎる情景に俺は本気でビックリした。

頭の中の人物が現実に後ろからやって来たのだ。


その車はわりと静かに隣を行き過ぎて止まった。

見覚えのある車に暫し目を向け行き過ぎようとすると車窓が降り、「ちょうど良かった、留衣君」などと覚えのある声が気易く掛かってきた。

途端に嫌な顔を向けてしまう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ