6月・さわんな!:4
次の授業が終われば昼休みだ。
教科担当教員がやって来て授業が始まり、窓側に位置する俺の席から外を眺めた……雨は降っている。
俺の憂鬱は母の同行者にある。
母の担当は半年前まで女性だった……そう、今の担当は男。
まだ会ったことはないけど、担当が代わってから母の[打ち合わせ]は増えた。
その分仕事も増えたけど。
今回初めてその担当と[資料集め]に出掛けている。
別に気にする事もないと言えばそうなのだが……母が楽しそうにしている姿が気に障る。
いや、だから、別に母が笑顔なのは良い事なんだけど。
〈泊まりで行くことないんじゃねぇの?……雨なんだし〉
天気に八つ当たりをして睨み付ける。
雨は止みそうになく、下校時刻になっても降り続いていた。
梅雨なんだから、降ってもらわなきゃ困る事もある。
「悪い、留衣!彼女送ってくから。夕飯には間に合う!」
一緒に帰る約束などしていなくても、当然のように共に帰路につく公平から詫びの台詞が飛んできた。
「あれ、何人目の彼女かしら?先週は違う子だったわ」
いかにも[恋人]風に並んで歩く公平達を見て麻琴は呆れた声で言い捨てた。
「1度家に帰ってから」ウチに来ると話しながら途中まで麻琴と並んで下校する。
可笑しな事じゃない。
公平と3人で帰る事が通常だが、公平が彼女と帰る時は麻琴と二人で帰宅する。
公平は自宅前を素通りしてウチに、麻琴の家は俺ん家より先にあるから、麻琴とはウチの前で別れる。
小学生の頃からよく行ってた事だから、今更これが[普通]の事だ。