11月・母親至上主義!:11
付き合わせて悪かったな、などど考えていると鞄からスマホを取り出した麻琴が大声を出し、俺と公平はビクついて麻琴を見た。
「芽衣さんから電話きてた……!」
その言葉に俺も公平も慌てて自分のスマホを鞄から取り出して見ると、「俺のにも……」と公平が嬉しいのか悲しいのか解らない声で、画面を凝視した。
俺のには……8回も着信履歴があった。
「ヤバい、母に何も言ってない……18時になるな……晩飯……」
本当なら15時には帰っている予定だったのだ。
教訓、外出したらマナーモードは解除しよう。
「帰ろ……!」
焦ってバス停を目指そうと通りに目を向けた時、俺の手元のスマホが光った。
「もしもし?!」
「どこにいる?!」
着信名も確認せずに出ると、怒りを含んだ低い声が響いた。
「どこにいるんだ、ガキ供!!」
「き、のさき?」
「留衣!何やってんだ?!芽衣から連絡がきたぞ!携帯はどうした?!俺はお前らの子守りじゃねぇぞ!」
城崎は怒鳴るように通話口から大声でまくし立ててきた。
「うん、えっと、……ごめん。マナーモードにしてて……」
「何やってんだ?どこにいる?」
俺の側に二人も集まって城崎の怒りの籠った冷たい声を聞く。
顔を見合わせ、狼狽えて言葉を詰まらせていると、今度は通りから車のライトに照らされて目を萎めた。
ウィンカーを着け鳴らし、ライトを光らせるその車は俺達を照らして駐車スペースに入ろうとしていた。
「?!」
歩行者道に乗り上げて停まる車から人が降りてくる……
「留衣?」