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おれのスキルは魂の自由  作者: 星村直樹
5/9

5 風魔法

「ボウ、今日は、ミートパイてんこ盛りだよ」

 エマのおかげで、おやじの機嫌がすこぶるよかった。

「そんなに、食え‥るよ。冷えてもおいしいからね」

 さすがパイ好き。

「それで、ビー玉は、動いたんだろうね」

「見てよ」

 おれは手を振って、ビー玉を動かして見せた。

「やったね。でも、いちいち手を動かすんじゃないよ。それは、詠唱しているのと同じだよ。変な癖をつけると、後々面倒だ。手を振らないでやってみな」

「どうやって」

「イメージだよイメージ。ビー玉が、流れればいいんだよ」

「そうだった」

 今度は、難なくボウの言う通りにビー玉が動いた。

「後、こんなのは」

 そう言って手のひらをビー玉に向けて引き上げる仕草をした。

 コトッ

「へーへへへへへ、浮いたね。すごいじゃないか」

「ボウは、もっとすごいだろ」


 ボウは、魔法以外にも、知識は重要だと言って、いろいろ教えてくれた。それで、帰るのが遅くなるたびに夕飯を作ってくれた。二人で夕飯を食べているときに、ボウ側にあったソースを取ってくれっていうと、手でやらないで、必ず浮かせて、こちら側に持ってきてくれる。なんでそんな面倒なことをやるのと聞くと、何事も練習さねと答えた。ボウの場合は、魔法と生活が融合している。


「それじゃあ、次に行くよ。今度は、この垂らした紙を扇いでみな。出来たら、ろうそくの灯を消すんだ。絶対、室内でやるんだよ。いいね」


 紙は、すぐ揺らすことができた。つまり、風を起こすことができた。でも蠟燭の火は傾くだけで消えない。

「へーへへへへへ、消えないね」

「これ、空気の流れだけで消えるの?」

「無理だろうね。空気を圧縮することができたら違うかもね。まあ、がんばんな」


 とにかく、風を起こすことができた。これは、大いなる一歩だ。おれは、やっと成果が出たと両親に自慢した。


 室内だと、垂らした紙を揺らす程度だったが、外でやると、前世でいうと、扇風機を回したような風になる。風の生活魔法が確実に身についていた。これを母さんが、アイルとサムに自慢した。アイルとサムは、おれの風魔法を見せろと、いつもの河原で詰め寄った。


「剣術の練習に来たんじゃないのかよ」

「オレたちは、魔法のほうはさっぱりだろ」

「ダチが、どんな魔法を使えるようになったか知りたいじゃないか」

「生活魔法だよ」

「いいから」

「見せろ」

「絶対笑うなよ」


 そこで二人に向かって風を吹かした。外なので、結構な風量がある。

「「すごいな」」

「あっ、室内だとこれぐらいかな」

 ふっと吹いた。

「でも、窓を開けていたら、これぐらいか」

 フー

「生活魔法だな」

「うん。生活魔法だ」

「だから、生活魔法だって言っただろ。くそーとっておきを見せてやる」

 そういって風の絨毯を作った。それに飛び乗ると、ちょっとだけ浮いていられる。

「すごいじゃん」

「オレも」

 二人が絨毯に飛び乗ってもすり抜けるだけ。

 バタン!

「イテッ」

「イテテテ」

「ごめんな、なんでか、おれしか乗れないんだ」

 親父も母さんも試したけど、尻もちをついている。

「不思議だな。でも、今まで使えなかった属性魔法が使えるようになったんだろ。何か風魔法について聞いたら教えるよ」

「風ならオレらにも当たるだろ。風で背中を押してくれよ。早く走れるんじゃないか」

「アイルにしちゃあ良いことをいう」

「偶に当たるよな」

「偶には、酷いだろ」

 それで、おれら三人の背中を風で後押ししてみた。

 すげー、おれ、天才じゃないか

三人ともすごく走るのが早くなった。


 二人は、剣術道場で、師範代と、その仲間の傭兵上がりの連中にいじられていた。そろそろ反撃するとサムが言ってきた。リベンジの日は近い。リベンジはいいけど、二人に突き技は、危ないので教えていない。ただ、この世界の剣は、脆いので突き主体になる。向こうは、何を考えているかわからない。そこで、突きを避ける練習だけはしっかりやった。突きを避けられるということは、突けるということだ。後は、二人に任そうと思う。

 突き技などなくても、二人は、すり足がうまい。相手は、サムたちが、急に前に出てきたり引いたように見える。二人だと、相手の先を簡単に取れるだろう。


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