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ベルデと竜の国  作者: 梅子
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とある神話

皆様こんにちは、初めまして。梅子と申します。


これからお送りする物語は、小さいころから何となく自分の頭の中にあった定番の空想で、

26歳で適応障害により仕事を辞めたのを機に、小説にまとめたものです。

これから少しずつ、完成まで走っていきますので、どうかお付き合いください。

とある大地で語りつがれる神話より



原初には闇のみがあり、やがて大地の神が生まれた


大地の神の額から水の神が生まれ

水の神の涙から雪の神が生まれた

雪の神が産声を上げるとその音から歌の神が生まれ

歌の神が目をつむると夜の神と光の神が生まれた

光の神が撫ぜた場所から森の神が生まれ

森の神が温めた場所から炎の神が生まれた


8人の神はそれぞれ得意とする力で世界を作り、最後に大地より人を創造し、自らの力を分け与えた。

人々は神の恵みに感謝し、土地を耕し豊かにした。

神々はこれに満足し、あとは大地を人々に任せ、各々気に入った土地を見守ることとしました。


気の弱い末の神である炎の女神は、最後に残ったごつごつとした火山がそびえる大地を見守ることにしました。

その地はぽつりぽつりと緑があるものの、あまり植物も育たずやせた土地です。

人々もまばらでつまらなく、退屈になった炎の女神はごつごつした岩から龍神を生み出します。

龍神と炎の女神はとても仲良くなり、やがて夫婦となり、子供をもうけ幸せに暮らしていました。


炎の女神の大地はこの幸せを受けて少しずつ豊かな土地への変わっていきました。

やがで神々の地で最も豊かな土地が炎の女神の地となり、他の神々や人々が嫉妬を始めます。


「末の神は醜い岩の化け物に惑わされている」

そう難癖をつけて他の神々と人々は炎の女神の土地に住まう人々と龍神を攻撃し始めました。

これに驚き悲しんだ炎の女神は、子供たちとともに勇気を振り絞って大地の神に訴えました。

「どうしてこのような酷いことを!この馬鹿な行いを早く止めてください!」

今まで誰にも諫められたことのなかった大地の神は、怒りにまかせて炎の女神とその子供たちを殺してしまいます。

たちまち炎の女神の地にあふれていた神の力は消え失せ、人々は力を失いました。

このことに驚き、炎の女神とわが子の死を悟った龍神は怒り狂い、復讐のため大地の神を探し世界を破壊して回りました。


大地の神は炎の女神を殺してしまったことを反省し、龍神に許しを請おうと声を掛けますが、聞く耳を持ちません。

破壊を止めようと神々が手を尽くしても、逆に深手を負わされてしまいました。


困り果てた7人の神々は、それぞれの見守る地の中から偉大な器を持つものに神託を授け、自らの力を分け与えました。


「英雄よ、龍神を打ち倒せ。」

神託を受けた7人の英雄は立ち上がり、100日間もの長い苦闘の末ついに龍神を炎の女神の地に封印します。龍神は真っ赤な目を憎しみに燃やしながら、ゆっくりと目を閉じ、永い眠りにつきました。


一方、長い長い戦いの果てに7人の英雄の命は尽き果てようとしていました。

「英雄よ、汝らの魂は神の国に招待されることとなる。最後に汝の望みをかなえよう」神々は言いました。


大地の民の英雄レアは答えました。「では神よ、私の持つ力を村で待つ家族へ分け与えてください。」

水の民の英雄フィメールは答えました。「ああ神よ、家で待つわが子を神の力でお守りください。」

雪の民の英雄スニフは答えました。「慈悲深き神よ、体の弱いわが妹を、神の力でお守りください。」

歌の民の英雄モセは答えました。「わが神よ、戦で歌を忘れてしまったわが子に、歌の力をお与えください。」

夜の民の英雄ナハトは答えました。「神よ、感謝します。私を待つ愛しい妻に神の力をお与えください。」

光の民の英雄ルーは答えました。「神よ、お願いです。これから生まれ来るわが子に神の力をお与えください。」

森の民の英雄フロレスタは答えました。「神よ、天涯孤独の私を愛してくれた人々を、神の力でお守りください。」



神はそれぞれの願いを聞くと、静かにうなずきました。

7人の命がいよいよ消え去ろうという時、森の民の英雄フロレスタが意を決したように力を振り絞って叫びました。


「神よ、許されるならもう一つ願いを聞いてください。私は天涯孤独の身、ほかの皆のように命をつなぐ家族はいないのです。神の国へ行けなくても構いません。この魂を3つに裂いて、転生させてはくれませんか。私の命がこの大地で未来へつながっていくように。」


神々は答えました。「しかし、お前だけ2つの願いをかなえるわけにはいかない。」


フィオレスタは必至で叫びます。「でしたら、この荒れ果てた炎の女神の地を、未来できっと豊かにします。ですのでどうか、どうか・・・」


神々は迷いましたが、英雄たちの中で一番年若いまま死んでしまうフロレスタを哀れに思い、願いの通り魂を三つに分けて転生させてやりました。





7人の英雄の願いを受けて与えられた神の力は、世代を経て国中に満ち満ちていきました。

現在この大陸に存在する7つの国はこの伝説の英雄の名からとったとされています。

また、龍神が封印された地は水の国、歌の国、大地の国、森の国の中央に位置する赤き森の奥にあるとされていますが、その地を発見したものは誰もいません。

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