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白銀ノ竜  作者: 鏑木
第2章
9/10

竜と人が紡ぎし物語

「セナと言ったな人の子よ」


「はい」



長の言葉に頷けば長は目を閉じて、150年前の話だと口を開く。




「お主によく似た人の子がいた。今のお主のように力強い瞳を持った人の子だった」












名前はセツナ、とある村に産まれたその少女はセナと同じく竜に選ばれし人間だった。艶のある黒髪、夜を思わせる黒い瞳の少女。

幼い頃から頭が良く、人に好かれる優しい性格でおまけに身体能力も高い村の人気者だった。


月日が流れセツナが15歳になる頃、セツナは竜に選ばれた。その竜は白銀色の綺麗な竜。

それは後のリリィと名付けられる竜。


セツナに白桜と名づけられた竜、そして白桜と契約を交わしたセツナ。

2人はあっという間に絆を深め、両一族が目を見張る程メキメキと力を付けていった。


 


その頃から分家と本家に溝が出来始めた。

きっかけは次期頭の決定の場だった、本家は白桜。分家は黒鉄(現アーサー)を頭に推薦し両家で言い争いがおき最後には戦いへと発展して行った。



そうして次第に戦火は酷くなるばかりだった。

それはセツナが19歳になる年の事。

セツナも白桜も争いを好まない性格、本家に分家との和解を勧めたが火が着いた本家の人間が聞き入れるはずもなく、2人共戦いへと身を投じるしか出来なかった。



戦いが始まり一年が過ぎた頃、両家の争いは深い溝を残しながら終わりを迎えた。

白銀の王と呼ばれた白桜と漆黒の王と呼ばれた黒鉄の一騎打ち。

それは白桜の勝利で戦いは幕を閉じた。

その時の戦いを見ていた本家の竜は白桜に零王という異名を与え、長を除く全ての竜を従える地位を授けた。


白桜の主であるセツナも竜達から讃えられ、セツナと同様竜と契約を交わした人間から尊敬された。





だがそれの裏でセツナと白桜の心は疲弊していった、自分の意志に反していたとは言えど2人は多くの命を奪い、戦争の立役者である。

そんな自分達が戦争が終わり英雄視されている事の罪悪感に2人は次第に笑顔を無くしていった。






そして戦争が終わり、4年が過ぎた冬のある日。

セツナはこの世を去った、23歳という若さで。

そしてセツナの後を追う形で白桜も長い眠りについた。



歴代最強と謳われた白銀の竜と選ばれし者は、哀しくも儚く消えていった。

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