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白銀ノ竜  作者: 鏑木
第2章
8/10

竜と人が紡ぎし物語

アーサーとカイン、その二人との戦いが終わってから2月が過ぎた頃。

9月に入り暑さも和らいできてそろそろ薄長袖が必要になるなぁ…なんて考えていた。


相変わらずリリィはリリィで、何処に行くにしてもチビドラゴンで文字通り引っ付いてくるし、見た目とは裏腹に甘えた全開だし、ハンバーグ大好きだ。


そんな普通で普通じゃない日常を送っていた私の目の前に、突然それはやってきた。










「…ん?ね、リリィ?」


「はい?どうかされました?」


「これ、何だかわかる?」






学校帰りポストから持ち帰った郵便物を見ていたら知らない白の封筒を見つけた。

表には見た事のない文字、裏を見れば蝋?か何かで封をされている見るからに怪しさ満載の封筒。


私にはその文字が読めずチビドラゴンから人になったリリィを呼び手渡した。

封筒を渡した直後はきょとんとしていたが文字を見た瞬間リリィはバッと目を見開く。




「リリィ?」


「これは!」


「え?何?」




困惑する私を他所にリリィはババッと封を手慣れた様子で開き中に入っていた紙を取り出し読み始めた。

その急な展開に私は状況が読み込めず、ボケっとする事しか出来ない。

一心不乱に手紙?を読むリリィを見つつ私はコーヒーを二人分用意する。






そろそろ読み終わるかな?と思いながらマグカップをテーブルに置きベッドに腰掛けた時だった。





「セナ様!」


「ん?」




リリィから呼ばれ首を傾げながら見あげれば、どことなく真剣な顔つきのリリィがいた。

リリィの片手には例の手紙が握られている。




「呼び出しです」


「ん?何の?」


「我が一族からの…セナ様を連れて来て欲しいそうです」


「え?…えぇー!?」






急過ぎるだろ!とツッコミはさておき。

明日は普通に学校、出来れば夏休みに呼び出して欲しかったというのは学生なら誰しもが思うことだろう。


リリィの困った顔と、私の頭を抱える場面を見たらきっと誰もが首を傾げるに違いない。













とりあえず学校にはありきたりな理由をつけて休みを貰いやってきたのは竜の一族が住む場所。

リリィに聞いた話だと、この一帯は私達の住む場所とは違い私達の場所よりも時間の流れが遅いのだと言う。

何より長が時間の流れをある程度なら調整出来るらしい。







「…わぁ…でかいね」


「ここは長が住む神殿です」





リリィに連れられ時空の狭間を通って着いた先には城のような大きな建物が現れた。

神殿だと言うそれは某ギリシャ神話にでも出てきそうな建物、かく言う私の隣にいるリリィも服が変わって羽衣のようなドレスのような服装に変わっている。


頭には冠?ティアラ?みたいなのがありアフロディーテやアルテミス等を彷彿させた。







「こちらです、中で長が待っているそうです」


「…何か緊張してきた」





そう言えばリリィは小さく笑い、私も居ますので大丈夫ですよ。と言いながら私の腕を取る。

リリィに連れられ大きな扉の前に立てばゆっくりと扉が開かれた。



扉が開いた先の両脇には軍服らしき衣装に身を包む男性(多分竜)が2人いた。






「お待ちしておりました。白崎瀬鳴様、零王」


「零王は止めて下さい。今はリリィです」


「…失礼しました、リリィ様。どうぞ中へ、中央の間にて長がお待ちです」




そう頭を下げる2人の間を進み、中央へと向かえば例えるなら玉座の間のような広い場所に辿り着く。


少し高い位置にある大きな椅子にその人は悠々と腰掛けて私達を待っていた。









「…待っていたぞ、今はリリィだったな。そしてリリィが待ちし人の子よ」





そう閉じていた目を開き私を見つめる竜の長。

見た目は30代前半頃の男性で、炎の如く赤色の髪、瞳は金色。

だが背中には髪と同じ色の翼があり、それが竜なのだと思い出させる。








「お久しぶりです長。呼び出し通りセナ様と共に来ました」


「初めまして、白崎瀬鳴です」





頭を下げて挨拶すれば長は、組んでいた両手を解き前屈みになる。

そして目を僅かに見開きニンマリと笑みを浮かべた。






「そなたがリリィの主か。なるほどこれは…」


「長?」


「そうか、どうりで」





そうかそういう事か。

そんな意味深な事を口にする長。そのセリフどこかで聞いたなと思えばそれはアーサーが言っていたセリフだった。







「長?どうかされましたか?」


「懐かしいと思ってな。いや、これは運命か必然か…」


「それはどういう意味でしょうか?」





呆気に取られる私に代わりリリィが問いかける。

すると長はまた私を見つめ何処か懐かしそうに語り始めた。


それは竜と人の歴史、そしてかつてのリリィとある人の子の物語だった。








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