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アトランティスの魔法使い  作者: 夢見まち
第一章
5/7

5話

「本当に良いの?あの人達をあのままで?」

敷地内で倒れている暗殺部隊の処遇をおじいちゃんが決めたのは放置だった。

俺はおじいちゃんがギーズとの約束を守るとは思っていたが

「おじいちゃんが決めた事だし、俺があれこれ言うもんじゃないと思うけどさぁ。」


そう、おじいちゃんはギーズを殺してはいない。

あの時、陣さんがギーズの顔面を殴り気絶させたのだ。


だけど、人が地面にめり込む所と顔以外が衝撃で浮き上がる所なんて初めて見たけど。


さっき、起きた衝撃的な映像を頭でリプレイしていると

「まぁ、うちの敷地内で殺人事件なんて目覚めが悪いしのぅ。それにあやつは部下の命など毛程も考えておらんよ。それでわしらが手を出せば、

わしらの負けじゃ。

わしらは無法集団ではない、至って普通のピーポーじゃ」

英語を織り交ぜて来るとは思わなかったから、ガクッとなる。

確かに懇願されて、全員を殺したらおじいちゃん達の負けになるだろうけど。

だけど、そうじゃない今のこの状況だよ。


俺は今、一番聞きたいことをおじいちゃんに声を荒げて問いただす。

「普通じゃないだろ‼なんなんだよ、あの人達は?どうして俺を連れて行こうとするのさ!

それに魔法って何?この世界って?聞きたい事、山ほどあるんだけど!」


おじいちゃんは俺を正面から見て真剣な顔で、

「若いのに血圧上がるぞ」

「んな事、聞いてねぇ!」

思わず、ツッコむ。


そして、おじいちゃんはため息をつき、

「今は話せん。居場所が知られた今、この家にいるのは危険じゃ。

こ奴らの増援が来るかもしれんし」

そう言って家の中に入るおじいちゃん。


居間に入るとさっきまで、陣さんに気絶させられ、

転がっていた2人を外に放り投げていたのは

ちーねぇだった。


その光景にびっくりして

「何でっ!?ちーねぇが?」

と大声を出してしまった。


そんな俺の驚きも気にせず、普通の日常会話みたいに

「だって、こいつら倒したのほとんどのはあたしよ。驚いた?」

俺はどう言っていいのかわからずに、コクコクと頷くだけだった。





完全に状況が読み込めず、蚊帳の外になっている俺。

ちーねぇにみーねぇがどこにいるのか聞いたら、後で分かると

おじいちゃんと同じことを言われ、

暫く、居間に座って待ってろと命令されてから早5分


おじいちゃんやちーねぇと陣さんが同時に慌ただしく居間にやって来た。

「準備は出来たかのぅ」

その言葉に2人が頷く。

「では、家を出るぞ!」

衝撃な事を言う。


ええええええっ!?


俺は思わず、

「ちょっと、待ってよ!家を出るって?」

その言葉におじいちゃんは直ぐに反応して返す

「時間が無いんじゃ!直ぐに出るぞ!」


何?その○ンダムの切迫した時の出撃シーンみたいな感じ!


そう思っていると、いきなり陣さんが俺を担ぎ上げ、

走って家を出る。


「ちょっとをーーーーーー!?まっ!?痛っ!」

揺れるせいで、ガチンと舌を噛んだ。

そう言うと、おじいちゃんは家の玄関の扉を杖でコツンと2、3度叩くと

母屋と離れが一瞬で小さくなった。一見したらリアルに再現した家のミニチュアにしか見えない

その光景を見て、舌の痛さと相まって言葉が出なかった。

小さくなったそれを、おじいちゃんは掴み、巾着に放り込む。

先程まで家が建っていた場所は一瞬で、更地と化した。


舌の痛さを我慢していると駐車場の隅に止めてある。

家のワゴン車に放り投げられる。

「わぁっ!?」


何とかシートベルトをしたかと思った同時に

直ぐさま、全員乗り込んだのを確認するとちーねぇの運転で車が発進する。

凄いスピードで山を下り始める。



そのスピードで下るのはワゴン車で無理があり過ぎるよ‼

ってか怖い‼ 怖過ぎるっ‼




キーーーッ!!


けたたましいタイヤが滑っている

音を出しながら右へ左へカーブを攻めまくる


どっかの豆腐屋の息子かよ!!


下り終わったかと思えば、次は、法定速度ギリギリで飛ばしまくり、国道を走る。


車内の雰囲気は、完全にどこ行くの?なんて言える雰囲気じゃないし。と思っていると


助手席に座っているおじいちゃんが振り返り、

「凛、チョコいる?」

と板チョコを差し出してくる。


予想外な事に頭がついていけず、無言のまま

反射的に受け取ってしまった。


手に取ったチョコを見つめ隣に座っている陣さんに食べるか

無言で差し出すが、断られる。


何時までも、手に持っていたらチョコが溶けるので、

包みを破り、ポキッとチョコを齧る(かじ)。


チョコの甘い風味が口の中に感じると同時に落ち着きを取り戻し、自然と涙がポロポロと零れる。

「死ぬがど思っだ‼ ごわ過ぎるよ‼」と涙ぐみながら言う。


その言葉におじいちゃんは、

「いやぁ、実はわしもちょびっと怖くて、今も心臓バクバクじゃよ」



ちーねぇはそんな言葉を聞いても平然と

「あんなの怖くないじゃん‼2人共、スポーツ車なら

もっと飛ばしてたよ。

陣さんは怖くなかったよね?」


陣さんは淡々と

「ああ、全然だな」

だが、よく見ると地味に足がプルプルしてる。


ちーねぇからは見えないため、

ちーねぇはその返事に「ねっ!」と言って、

自分はおかしなことを言ってないのに

満足したのだろう。笑顔になってるし。

その後、また車内は会話が無くなる。


いつの間にか車は知らない山の中を走っている。

ほとんど外灯もないような所だ。


車は止まったかと思うと、皆が車から降りるので、

俺も釣られて降りる。


降りて周囲を見渡すが木が様々な高さで生い茂っているだけの至って普通の森だ。


ふっと、人の気配を感じた気がしたので振り返ると、木と木の間に人が立っている。

月明かりで姿が照らし出される。

その人物は夕方、用事でおじいちゃん達に会いに来た長身で40歳くらいの男だった。


ガサっと音がすると、何人もの男女が男の後ろの

木々の間から出てくる。

その男が会釈すると後ろの男女もそれに倣う。


何!?今日は色んな人ににお辞儀される日なの?


そう考えていると、


男は、俺達に向けて告げる。

「お待ちしておりました、皆様。お急ぎを、時間がありません」

















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