1話
初投稿です。宜しくお願いします
「お迎えに参りました。リン様」
そう自分に対して居間の奥にいる男は
ここが自分の家の居間には異質あるいは居間である事を
忘れ去ってしまう位、
ピシッとスーツを着こなした立ち方でどことなく清楚さを感じさせながら言う。
見た目は簡単に説明すると、
某ミステリー漫画の○○小五郎にメガネを掛けさせ紳士ぽくした感じ。
声をかけてきた紳士ぽい男を見ていると男に俺を見させないように
または男が俺と話をさせないように
俺の隣にいた祖父が俺と男の間に割り込む。
「この子を勝手にスカウトするのはやめてもらえるかのぅ」
穏やかに言っているが普通に言うのと違うのは長年一緒に生活してたせいですぐにわかる。
「それにこの子の保護者はわしらじゃ。連れて行くのに許可した覚えはないがおまけに
わしらへの挨拶が不法侵入とはのぅ」
「いやはや、これは大変失礼いたしました」
そう言うと男は自身の胸に右手をあてて深々と頭を下げ謝罪をする。
その仕草もまるでそれが謝罪の仕方の見本と言える程である。
謝罪を終えると笑みを浮かべて話し出す。
「我々も貴方様のお屋敷に勝手に侵入しようとは思っていなかったのですが、ある情報筋から貴方様が男の子をお育てになっているとお伺いしたものですから気になりまして」
そう言いながら男は祖父の後ろから自分を見る顔だけを出している俺を見る。
すかさず顔をひっこめるが
後ろに居ながら男の強い視線を感じる。
「しかも、この家の周辺から強い魔力を各所に感じるとなれば
尚更確かめずにはいられませんでしたよ。まさか、彼がこの世界にいて更に生きているとはね。
ですが、そう考えると色々と納得できます。色々とね」
男の言葉にすぐに頭を巡らせる
(生きてる?生きてるってなんで俺死んだことになってるの?ってかこの世界って?
訳が分からないですけど)
しかし、祖父はため息をつき。
「だから、どうした? わしらの可愛い孫じゃ。
どうするかもわしらの勝手。他人が人の家の事に首を突っ込んでも碌な事にはならんじゃろう?」
正論を言われたが、笑みを浮かべてまま
男も食い下がる気はないのだろう。
「確かに。ですが、彼は違います。彼は我々にとっても重要人物です。如何でしょう?
我々なら丁重にお迎えいたします。お孫様と共に我が国へ」
男は再び深々と頭を下げる。
そんな男の言葉に祖父は、
「ハハハハハっ‼ いやぁ、申し訳ないのぅ。ハハハハっ‼」
俺はまさか声を上げて笑うとは思わなかった。それは男も同様で
そんな祖父を見て俺も男も目をパチクリさせてしまった。
だが、次の瞬間
「丁重だと笑わせるな‼」
笑顔が凄まじい怒号を発する顔に変わった。
その顔は生まれてこのかた一度も聞いたことも見たこともない激怒した祖父だった。