影は光をみてよろこぶ
フレネミー的思考かもしれないし、別の感情かもしれないし。人の心ってば、複雑。
いいよな
たった3歩
前にいるだけでお前は光に照らされて
笑顔で振り返る顔もくっきり映る
「こっちへおいで!」
なんて、手を伸ばしてさ
泥濘に捕まった私を
引っ張り上げる気など無いくせに
私に影でいてほしいくせに
白々しい
そうはいくものか
転けろ
転べ
影を足元に這わせるために
私も前へと進む
絡まれ
絡まれ
お前は私が進む毎に
振り向かなくなった
必死こいて前を見ているな
しめしめ
転けろ
絡まれ
私はお前の歪んだ顔が見たい
光を塗りつぶす瞬間を知りたい
お前の光を
影で絡めて離さない
あ、
根負けしたお前は膝をついた
その瞬間、私は光を知った
……眩しさで目が焼けそうだ
お前はついに倒れたな
光でぼやけてハッキリ見えないが
お前は光を失った
私にこれ以上進む理由はない
眩しい光も誰かにくれてやる
お前が手に入れた光は狙われやすいから
あっちゅうまに手放した
なぁ
お前が纏っていた光は結局なんだったんだ
分からないまま、お前は深い穴の中に落っこちた
暗い穴を見つめていても
何にも変わらない
知らない者たちが
光を奪いあって生きている
くだらない
実に虚無的で
くだらない
穴に向かってポトリ
「やい、私の光。お前がいなきゃつまらないじゃないか」
言の葉を落とした
静けさのなかから
お前の泣き声が聴こえる
悲劇的ではない呑気な声が
すんすんと、鳴り響く
穴に淡い光が差し込んだ
やはり光に照らされたお前はよく見える
泣きっ面も
腫れた目も
実に面白い
「こっちへおいで?」
(もっと見せてくれ)
私が言うとお前は私の手を取った
そう
お前は私の光
私はお前の影
コレでいい
何より私はお前を追いかけまわすほうが
たのしいのだからな
こんな面白い光、簡単に失わせるものか




