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the introduction
そこには何もなかった。
ただ儚げに輝く光と、深い、とても深い闇だけがあった。
世界は光を闇へと誘った。
闇へとおちていく光。
落ちる。墜ちる。堕ちる。
おちながら、光は徐々にその輝きを増していった。
鮮やかさを精一杯咲き誇らせちいさな光はまっすぐに闇へと吸い込まれていく。
そして。
最後に真っ赤に爆ぜると、光は、その輝きを永劫に失い、闇だけが残った。
出「我が娘の14年」
抜粋~前沢由香の遺した言葉より~
2003年 前沢香織著