婚約者の浮気相手を見て思いました。こんな女性と浮気する見る目のない男の家が没落しないはずがない、と。
浮気するのは男の甲斐性
結婚前の浮気はただの遊び
父も母もお茶会で会う貴婦人たちも皆、声を揃えてそう言います。
ですが、婚約者にエスコートされた女性たちの私を見る目は、勝ち誇った優越感に満ちています。
それを耐えて、結婚する価値が婚約者にあるのでしょうか?
私は疑問に思いました。
浮気性の夫に、夫の愛人たちに悩まされ、子どもたちが相続する財産も食い潰される人生を、我慢して耐えなければならないか、と。
今は結婚前です。
まだ間に合います。
父が婚約者の家と何かしていても、隣近所ではないので、没落の兆しがある家と縁を繋ぐ必要はあるのでしょうか?
婚約者の父親は有能でも、婚約者は有能とは思えません。
婚約者が有能なら、浮気相手たちも有能なはずですが、全員が妻となる私を馬鹿にする、将来も見えない女性たちです。
ああ、そうです。彼女らの見る将来には婚約者の妻の座は私にはないのでしょう。
過去の浮気相手たち同様、自分が捨てられるとは、露とも思っていないのでしょう。
私は父に婚約解消をお願いしました。没落する将来しか見えない家に嫁に行くほど、思い入れはありません。
今は良くても、将来、我が家に援助を申し込む結婚など、する必要がありません。そんな落ち目の家に父が貯えてきた財産を出す理由になりたくない、とも言いました。
父も男同士わかり合える部分もあったのでしょうが、我が家の資産を減らすしかない結婚だと言われれば、考え込みました。
そして、私の婚約は無くなりました。
彼女の作った元婚約者の浮気相手リストが、浮気に悩まされる奥様方を通じて付け足されたリストになって、王都の学校で騎士科に”後腐れなく遊べる令嬢リスト”として広まっていました。