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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第七十四話

 惑星シャーアンバーには防衛システムなんてものは存在しない。

 男爵領は生きていくので精一杯。

 セキュリティにかける金などない。

 例外は海賊を兼業してるか軍上がりの海賊狩りくらいだろう。

 でもテラフォーミングの方が優先かな?

 砂漠の惑星ってことはない。

 ごく普通に輸送機で降りる。

 いやー攻撃されないのっていいわー。

 採石場に隣接する集落に着陸する。

 空港という規模ではないが飛行機用の滑走路があったので着陸。

 整地されてる部分に着陸する。

 戦闘用のフルフェイスヘルメットの空気清浄機をオンにして外に出る。

 一歩外に出ると警報音が鳴る。


【有害物質検出。72時間以内にフィルターを交換してください】


 やっぱり空気は有害だった。

 さすが男爵領。

 予備フィルターは三つあるので問題なし。

 敷地の隅に時代遅れのヘリコプターやセスナ機が置かれていた。

 空港ターミナルと言いたげな掘っ立て小屋があった。

 気になって中を見るが発電機と空気清浄機だけあった。

 発電機に持ってきたエネルギーカードリッジを繋いで、空気清浄機をオンにすると敷地全体に見えない膜、バリアーが発生した。

 しばらく待つと【有害物質濃度低下。安全です】とアナウンスがあった。

 ヘルメットを脱ぐ。


「ふぅー。さすが男爵領……シャレにならねえ……」


 空気吸うだけで死ねるとか人が住んでていい環境じゃねえだろ。

 クレアがやって来る。


「ねえレオ。殿下があわててるよ。通信に出ろって」


「え? 通信?」


 あわてて拡張現実のメニューを出すとその瞬間に通知が入った。

 なんだ電波切れてただけじゃん。

 もしかするとこの惑星の大気に電波を遮断する物質が含まれてるのかもしれない。


「ういーっす、嫁ちゃん。なんか通信入らねえのよ~」


「おう、そうか。ってそれどころじゃない! 婿殿の部隊にやつがいるのじゃ!!!」


「やつって誰よ?」


 聞いた瞬間、回線切断。

 うーん気になる。

 なのでそれっぽい理由をつけて【やつ】を探してみよう。


「すんませーん。殿下が点呼しろって」


 そう言ってうちの班を並べる。

 クレアにメリッサに……。あと男子のアホども。

 ほとんどが士官学校の連中。

 そこに兵士が数人混じってる。

 おそらく【やつ】は兵士だろうな。


「んじゃ兵士のみなさんの番ね」


 そう言って兵士の前に立った瞬間気づいてしまった。

 眼鏡をかけたマッチョ。


「なんであんたここにいるんよ!!! サイラス殿下!!!」


 前に会ったときから髪型が丸坊主になっていてワイルドさが増している。

 いやそうじゃねえよ!

 なんでサイラス殿下がいやがるのよ!!!

 皇帝暗殺してどこかに逃がしてもらったんじゃないの?

 混乱する俺へサイラスは堂々と言った。


「大尉殿! 自分は従軍経験があり再徴用の際、大尉殿の部隊に配属を願いました!」


「いやいやいやいや、従軍経験って皇族は基本的に司令官待遇じゃないですか!」


「自分は一兵卒としてやり直す所存です!!!」


 ツッコミどころしかねえ。

 いやでも確実に逃がすならこれが最適の手なのか……。

 嫁の船の兵士なんて、そもそもが軍人や士官大学校の学生で身分がしっかりしてる。

 そこに紛れさせたらわからん。

 で、領主一族が全滅してるテキトーな惑星でどさくさ紛れに【行方不明だった領主の長男でーす】ってやっちゃえばいいのか。

 うん、完全犯罪だわ。

 考えたやつ悪いやつだな。

 誰かにはめられた……と一瞬考えたが、それなら帝都を出る前に捕まるだろう。

 ないな。

 むしろトマスあたりが逃がすために一肌脱いだのだろう。

 嫁も知らなかったあたり、この船の一般兵はグルだと思っていい。

 サイラスの近衛隊の関係者だな。


「えーっと、サイラス義兄さん。普通にしてください」


「そうか。では義弟よ。なにかな?」


「なんで皇帝殺したの?」


「父ではこの戦いに勝利できないからだ。誰もが殺そうと狙っている中でたまたま私にチャンスが転がってきた。あとは実行するだけだった」


「たとえ親殺しだとしても?」


 ちょっと意地悪な言い方だったかもしれない。


「民を救うにはそれしかなかったと私は信じてる」


「誰かにそう思わされた可能性は?」


 気分を操るゾークもいるくらいだしな。

 そうじゃなきゃスパイのしわざかもしれない。


「ないな。私が知ってるだけでトマス、ヴェロニカ、後宮、軍、外交、内務、他多数も命を狙ってた。誰がやるかだけが問題だった」


 麻呂はそのうち死ぬ予定だったのね。


「後悔は?」


「ない。父が死ぬことで数億の人間を救ったはずだ」


「了解ッス。こき使うんで覚悟してね」


 これだけ覚悟ガンギマリなら言うことはない。


「民を救うためならこの身は惜しくない」


 ちょっとしたサプライズはあったが仕事に影響はなかった。

 空港を拠点にしてドローンを飛ばす。

 採石場を偵察する。

 動物に壊されたら嫌だなあ。

 こういうのはクレアが得意なので全面的にまかせる。


「ゾークの反応なし。カメラによる目視でも確認できません」


 偵察用のヘリドローンの映像を見る。


「砂漠エイの群れが接近。回避します」


 砂漠を泳ぐエイの群れ。

 マンタあたりに似ている。

 ただサイズはバカでかい。

 自動車くらいの大きさだ。

 しかもそんなサイズのエイが砂から飛び出して空を舞う。

 ドローンを操ってエイをよける。

 と思った瞬間、砂からゴカイが飛び出した。

 姿はオニイソメみたいだ。

 だけどビルよりも大きい。

 そのビルよりも大きなゴカイがエイに食らいつき砂へと消える。

 大迫力である。

 足がガクガクブルブルしてきた。


「……クレアさん、俺お外出たくない」


「我慢して」


 ちょっとさー!

 ゾークなんかより強い生き物が普通にかっ歩してるんですけど!!!


「採石場の奥に入り口発見」


「エイとかに捕まらない方法ないかな?」


「がんばって!」


 ひどい!!!

 巨大生物にビビリながら俺たちは採石場に向かうのであった。

 この惑星の人たち……どうやって暮らしてるの?

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― 新着の感想 ―
ゴカイっていうか、ファンタジー世界でいうサンドウォームだよねぇ。 砂漠なら蠍とかもいるのかな(笑)
サイラス殿下カッケー!
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