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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第七十二話

 コロニー【方丈記】は超大型コロニーの一つである。

 コロニーの名前は適当な単語が多い。

 おそらくネタがなくなって古文から引っ張ってきたのだろう。

 名前に意味はない。

 コロニー方丈記はもともと物流拠点として作られたものだ。

 人口が増えるにしたがって増築され現在も拡大中である。

 その面積は男爵領の惑星級を誇る。

 なお違法増築が半ば黙認されており、それを含めると伯爵領級とも言われている。

 治安は劣悪。

 コロニーの民は他の惑星から追い出された人間が多い。

 原因は犯罪や借金である事が多く、労働者としての技術を持っていない人間も多い。

 そのためどうしても犯罪が多いのだ。

 それでも帝都近郊のコロニーは軍が常駐しているので治安が良い。

 大型のコロニーで軍が常駐してないからこその治安である。

 当然、治安が終わってるコロニーなのでアダルティーなお店が大量にある……降りたい。

 なので嫁ちゃんのところへ。


「嫁ちゃん……降りたい」


「ぶち殺すぞ」


 俺の後ろに控えていた男子たちも騒ぐ。


「我らに休暇を!!!」


「お願い!」


「殿下お慈悲を!!!」


「うっさい! ここでトラブル起こすわけにはいかぬわ!!! 未成年じゃろお前ら!!!」


 大学校の成人勢は俺たちを生暖かい顔で眺めてた。

「おいおい、ここは軍隊だぜ。何言っても無駄に決まってるだろ」って顔してた。


「いいかげんにしないと営倉にぶち込むぞ!!! ……いや、浄水施設の掃除にするか」


「はい解散」


 浄水施設の掃除なんかしてられっか!!!

 臭いとか汚いはないんだけど、広すぎていつまでたっても終わらない。

 男子どもも我先にと逃げ出した。

 艦内で待つことになるだろう。

 で、その待ち人である大野男爵だ。

 帝国で漢字の家名を持っているのは由緒正しい日系人。

 で、うちみたいにカタカナなのが由緒正しくないどこの馬の骨かわからん連中である。

 例えばメリッサの家は館花。名家である。

 で、うち、カミシロ。パチモンである。

 ここ数百年はパチモンからも侯爵や公爵が出てるのでアテにならんけど。

 その由緒正しい大野男爵はこのコロニーと近くの惑星を支配する領主である。

 大野の領地はテラフォーミングした惑星でうちと同じく荒野が多い。

 昔の大戦でコロニーを占領して領地に加えたそうである。

 今ではほとんどの収入はコロニーから。

 惑星の方はうちと同じく農協があるだけのようだ。

 急に親近感わいてきたな。

 ……そう思うと同時に不安になってきた。

 実家をサム兄にまかせてきたがちゃんとやってるだろうか?

 通信しよう。


「うーっす久しぶり。レオ、どうしたん?」


 相変わらずサム兄は陽のものである。


「おいっす。いや実家の経営どうなったかなあと」


「それな。俺バカだからよー、自分で考えたらダメだと思ってよー。殿下に派遣してもらった人の言うこと聞いてその通りにしたんだわ。そしたらあっと言う間に黒字になってさ」


 おうふ!

 やはり腐っても侯爵級の惑星。

 ポテンシャルはあったのか!


「でよー。帝都から逃げてきた人受け入れろって帝国に言われてさぁ。うちは土地いくらでも余ってるからいいですよって受け入れたらさぁ。みんな大卒じゃん。俺びっくりしちゃってよぉ。ベテランの技術者もいたから仕事回しまくったら黒字にブーストかかってさぁ。あ、これ、【帝国就職情報】の記事。うちが掲載されてさ。Iターンに最適の惑星だってよ! なんか帝国から補助金も出るようになったし! ショッピングモール作りませんかって話も来たぜ!」


 転職情報サイトの特集記事が送られてきた。

 親父を排除しただけじゃ説明つかないぞ。

 もしかしてサム兄って超有能なんじゃね?

 SSRキャラを引いた気分だ。


「う、うん。兄ちゃんがんばってね」


 それしか言えねえ。


「おう! さーて仕事仕事! じゃーなー」


 嫁ちゃんところに行く。


「どうした婿殿」


「実家が恐ろしいスピードで普通の侯爵領になってる!」


「……今までがおかしかったのじゃ。帝都近くの近郊農業惑星じゃぞ! 乱開発すらしてないのになぜ荒野だらけになる! 幸い兄君は人の意見をちゃんと聞く人物だったのでな。建築やら農業やら経済の退官した技官を派遣したのじゃ」


 やはり発端は嫁だったようだ。


「大丈夫。技官の人に無理させてない?」


「レオ・カミシロの実家と言ったら二つ返事で承諾したわい」


「し、資金は……?」


 う、うちには……か、金なんてねえぞ!


「軍じゃ。惑星カミシロに軍事基地を作るからついでに予算出させた。軍の防衛拠点のコロニーも作るぞ。言っておくがインチキではないぞ。もともとあの辺に軍事基地がないのがおかしかったのじゃ。なーにが【あの辺の宙域には士官学校があるから問題ないかと】じゃ! ド阿呆めが!」


 土地余りが功を奏したようだ。

 たしかに何にもねえからな。

 うちの周辺。

 納得してると艦内通信が入った。


「おっと待ち人が来たようじゃ」


【大野男爵の戦艦が接近。出迎えをお願いします】


 手が空いてる人員でドッキングステーションで出迎える。

 数分後に大野男爵の戦艦とドッキングする。

 作業が終わると大野男爵一行が乗り込んできた。

 大野男爵は30代くらいの片眼に眼帯をした男性だった。

 ワイルド系の美形親父。

 大野男爵は副官と思われる少女を連れていた。

 その少女は、まー大野男爵にそっくり。

 親子か兄妹か。


「おう待たせたな」


 うん田舎のおっさんである。


「お主が大野か?」


「おう、銀河辺境部漁師組合会長の大野とは俺の事よ!!!」


 なるほど海の男か。

 むしろ海賊上がりか?

 俺がボケッと眺めてると大野が俺の前に来る。


「ほう、驚いた。化け物がいやがる。あんたがレオ・カミシロか?」


「よろしくー」


 もう礼儀もへったくれもない。


「おいおい、この艦どうなってやがんだ。どいつもこいつもただもんじゃねえ!」


 見ただけで強さがわかる系の人らしい。

 たしかに俺たち戦闘経験値だけ高いもんな。


「生き残ったってことっすよ。好きでしょそういうの」


「大好き。おう、どうだ。レオよ。うちの娘をもらってくれねえか? お前女好きなんだろ」


 そう言うと副官を俺の前に差し出す。

 やめろ!

 これ以上増やすな!

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― 新着の感想 ―
おおのゆうのうw
もう5人も居るんだぞ!1人ぐらい増えたって変わらんて
[良い点] ヤダ♡大野男爵結構話せる御仁やん。嫁もっともっと増やして勢力拡大しようぜ!
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