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【書籍化決定】羅刹の銀河 ~取り返しのつかないタイミングで冒頭で死ぬキャラになったので本当に好き放題したら英雄になった~  作者: 藤原ゴンザレス


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第六十六話

 バカが戦車でやって来た!

 ビーム砲を搭載した戦車がフェンスを踏み潰していく。

 ちょいバカだと思ったらパーフェクトじゃねえか!

 普通暗殺ってもうちょっと発覚しないようにするもんだと思うのよ!

 さすがに市街地でビーム砲ぶっ放すほど頭悪くは……。

 と思ったら容赦なくぶっ放す。

 ドンッと門扉が吹っ飛んだ。

 おまけに噴水や彫刻までも吹っ飛んだ。


「エッジ! ココ! 中に避難!」


「で、でも止めなきゃ!」


「生身じゃなんもできねえ!!!」


「婿殿! 裏に軍用の人型重機がある!」


 俺は駆け出した。

 必死に走る。


「クソ! バカじゃねえの!?」


 文句を言った瞬間、後ろで爆発が起こった。

 俺は爆発に巻き込まれ体が浮く。


「ふっざけんな!!!」


 床のコンクリに叩きつけられる寸前、受け身で衝撃を分散する。

 足りない分はゴロゴロ転がって分散。

 そのまま立ち上がってさらに走る。


「バカじゃねえの! 衝撃散らしても痛いもんは痛いんだからな!!!」


 戦車は恣意的に俺を狙っていたわけじゃない。

 適当に撃ったうちの一つに巻き込まれただけだ。

 人型重機を見つけて乗り込む。

 軍用は安全装置がスイッチ一つでオフにできる。

 そりゃこれで戦うからな。

 スイッチを押して戦闘モードに。

 戦艦に配備されてるモデルならそもそも安全装置がない。

 そっちの方がよかったな!

 陸軍のマークがついた人型重機を動かして戦車が暴れてるあたりに向かう。

 戦車は誰を殺すわけでもなく、とにかくあたりにビームを乱射していた。

 正面玄関のシャッターは閉まっていた。

 ビームにも耐えられるヤツだ。

 これが壊されるまでには援軍が来るだろう。

 ……皇位継承権争いじゃなければね。


「うおおおおおおおおおおお!」


 戦車はシャッターへ主砲を向ける。

 俺は戦車へ突撃した。

 させるかボケがああああああああああッ!

 俺に気づいた戦車がバックして方向転換する。

 主砲を俺へ向け……発射した。

 俺にはどこを撃つかわかっていた。

 だからラグビーみたいに急にターンしてきれいに避ける。

 俺は戦車に真正面から組み付く。


「どっせーい!!!」


 両足から杭を出してコンクリに打ち込む。

 機体を固定できた。

 戦車は今度は俺を轢き殺そうと全速前進しようとした。

 俺は勝利を確信した。


「おどりゃあああああああああああああッ!!!」


 けたたましくモーター音が鳴る。

 軍用重機をなめるなあああああああああ!!!

 無限軌道のベルトが重機をガリガリ削る。

 火花が散り外装がひしゃげていく。

 今だ!!!

 脚部の火薬アシストを使う。

 本来は段差を飛び越える用だ。


「ボケがああああああああああッ!」


 俺の機体が跳んだ。

 下から押し上げられた戦車がひっくり返る。

 床に杭で固定していた脚部がちぎれ、機体が地面に叩きつけられる。

 めきっと俺の身体の内部で肋骨が折れた音がした。

 だけど俺は痛みを意識しない。

 意識すると余計に痛いからだ!

 俺はゴキブリのように機体から這い出した。

 戦車のパイロットも同じだった。

 目が合った。

 パイロットが腰から拳銃を抜いた。

 視線を観察する。

 俺の胴体の真ん中を狙ってる。

 あとはタイミングだけだ。

 なあに、失敗しても死ぬだけさ。

 殺気が来るのがわかった。

 俺は横によける。


「嘘だろ!!! ハンドガンをよけやがった!!!」


 さあ二度目ができるか!

 できる気がするぞ!!!

 おらかかって来いや!!!

 ……と思ったら近衛隊のおっさんたちが戦車のパイロットの背後にいた。


「あ……」


 ボキボキ指を鳴らすポーズすらない。

 いきなり殴りつけた。複数人が同時に。

 普通に素手で。

 容赦一切なし。

 誰も寸止めしてない。

 本気で軍靴の一番硬い部分で顔を蹴飛ばす。

 硬くて大きい拳で上から殴りつける。


「てめえコラ!」


 一人が胸倉つかんでボコボコ。

 その間にももう一人が後頭部をぶん殴る。

 倒れたら軍靴キック&ストンピングが炸裂だ。

 初見から顔のサイズが1.2倍くらいになったところで制裁終了。

 ヤクザより怖え……。

 死んでもいいかな。じゃなくて、殺すつもりで殴ってた!


「ギリギリ生きてるな……地下に連れて行くぞ!」


「えっとそれ大丈夫な尋問?」


「婿殿、聞きたい?」


「いえ! ワタクシ、レオ・カミシロ学生は高等テクニックは尊敬する近衛隊の先輩方に全面的におまかせしたと思う所存です!!!」


「よろしい」


「てめえコラ死ぬなよ! 今から地獄見せてやるからな!!!」


 レーティング審査で落とされそうな尋問に違いない。

 ふう、化け物の相手は化け物に。

 うん。俺が体を張る方がおかしいわけだ。

 冷静になったら急激に胸が痛くなる。

 こりゃ3本か?

 3本いったか!?

 なぜか足まで痛くなった気がして足を引きずって搬入口からホテルの中に入る。

 中に入ると医療スタッフとケビンがいた。


「もう無理……」


「ちょっとレオくん!!!」


「あん!!!」


「そこに寝そべって!!! ナノマシン! 早くナノマシンと痛み止め!!!」


「肋骨折れたしな」


 するとドクターがやって来て一言。


「足折れてますよ!!! 絶対動かないで!!! 担架! 担架ぁッ!!!」


 急激に痛くなってきやがった。

 で、今回は気絶するのやめようと誓っていたのに、麻酔で眠らされた。

 起きたら嫁が横にいた。


「……おっす」


「婿殿の勇姿が報道されてるぞ。見るか?」


「ん」


 拡張現実で動画を見ると俺の戦闘シーンがガッツリ撮影されていた。

 特に戦車にどすこいするところが繰り返し流れている。

 いつ撮影されたんだ?


「ドローンがいたらしい」


「へー、タイミングのいいこと」


「違う。帝国が事前に襲撃をリークしたのじゃ」


「え? じゃあ犯人帝国ってこと!?」


「いいや、知っていてわざと放置しただけじゃ。婿殿や近衛隊ならなんとかなるだろうと予想してな。実際、この映像で猛将、最強の軍人、帝国建国以来の英雄と宣伝しまくってるしの」


「やだ怖い」


「仕組んだやつは本気じゃ。ただ意図がわからぬ。どうやら妾に皇帝を押しつけたいわけではないらしい」


「なんで?」


「妾を持ち上げる記事はないからの。気をつけろ婿殿。婿殿に搦め手で迫ってくるかも」


「えー……」


 もやもやしながら俺は治療を受けるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ケビンが優しくて可愛い。元男?本当やろか? [一言] ケビンもハーレムに加えて積極的にレオの脳壊していけ!
[良い点] こんばんは。 チャリで来たならぬ戦車で来た、か…。クソ迷惑過ぎィ!? [一言] ホントこの世界って某BETAに侵略されてる地球より、アホ思考の人間がいっぱいですなぁ…。
[一言] 搦め手と言えばハニートラップ! 女子組「………………<●><●>」
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