第六百五十二話
文化祭が終わったので、イソノきゅんのところに行く。
イソノは買い出しで近くに来るから喫茶店で会う。
「よー! 嫁さんどうよ?」
「おう順調だぞ。体育祭の仕事な」
「いやいいぞ。休んでろ」
「なあ……レオ、なぜ俺を休ませようとする? 過剰すぎないか?」
「其の昔、事務の師匠……レイモンドさんの奥さんが妊娠してたときの話だ」
「え、だって、レイモンドさん独身……あ!」
察しろイソノ。
「軍で公爵会関連の事故が起きて、レイモンドさんは……とばっちりで軍事法廷に起訴された若い兵士の弁護をがんばってたんだ」
「なんかタマヒュンしてきたぞ」
「連日徹夜。でもレイモンドさんはがんばって無罪を勝ち取った……そう……がんばりすぎたレイモンドさんが家に帰ってきたときテーブルには離婚届が……嫁さんは実家の貴族家に帰ってしまい、子どもにはリモートでしか会わせてもらえないらしい……」
「ちょ、おま! いま聞かせる、それぇッ!?」
「お前も気を付けろ。嫁さん第一だ」
「レオ……」
男の友情を確認しつつ「ハナコさんにね」とお菓子とフルーツを渡して別れる。
さーて仕事だー!
競技場はあるから各チームの予定を……もう来てる。はい。
鬼神国はすでに神輿を準備。
太極国は野球バーで夜な夜な応援歌を歌う。
皇帝のシーユンも各お店に来るわ、選手の応援に駆けつけるわで盛り上げてる。
鬼神国は野球だけじゃない。
サッカーチームに「打倒兄貴」と書かれた横断幕を振る剣術に格技の選手たち。
え? プロレスで終わりじゃないの?
つうか前日祭で体験会やってたじゃん。
「おうレオ、剣術と格闘技エントリーしといたぞ」
帰ったらエディに言われた。
「はあああああああああああ!?」
やめろ!
俺はそんな陰謀には屈しない!
「ぜったい出ないからな!」
「え、でも」
エディが国営放送ぽちっとな。
「我がクロノス王がエントリーされました! とても楽しみですね!」
「勘弁してくれよ……」
許してつかーさい。
「でもみんな期待してるぞ」
「ざけんなー!」
人型戦闘機の方までよ!
バカじゃないの!
「あきらめろ人気者」
「ふえええええええええええええええええん!」
さて文化祭は企業入れて内装とか企業にやってもらった。
そしたら開催準備に一週間もかからなかった。
というかあちこちで商談会が開催されまくり。
ローザリア帝国の商社なんかも商談を重ねる。
とういうかね!
もう結論は出てるの!
コロニー作れって陳情するんでしょ!
知ってるって!
鬼神国に太極国にラターニアにレプシトールにパーシオンちゃんもお願いね!
パーシオンちゃん! 内にこもらないで!
外で出稼ぎして!
ということでコロニー建設計画が発動。
クロノスはこういうの苦手だ。
嫁ちゃん通して帝国の軍事商社にコロニーの設計図を発注。
部品の設計図や規格の情報を売ってもらいクロノスの銀河帝国企業の支社で製造する。
そんな超絶大規模プロジェクトに市場は沸きまくり。
クロノスも税収が好調。
アホなことやらなきゃ返ってくるんだよねえ……。
はいはい友好友好。
でも体育祭はそうもいかない。
準備期間がいるのだ。
だって人型戦闘機の戦いあるし。
そもそも野球サッカーバスケに格闘技までやるのがおかしい!
俺が三種目もエントリーされてるのがもっとおかしい!
ということで会場はあるし日程は……なんでシーユンにっこりしてるの。
「野球は国際協会がございますので」
あ、はい。
野球は素早く日程決定。
サッカーは?
「決めといたぞ」
中島が鬼神国と決めてくれた。
バスケはレプシトールの国技状態なのでレプシトールが決めてくれた。
ラターニアは高みの見物。
出場するけどそこまで熱狂してない。
でも大会のタイアップと放映権は取得するタイプ。
赤いユニホームの太極国が応援歌を歌いながら練り歩く。
鬼神国も負けじと応援歌を……。
大会とタイアップしたジュースやお酒が飛ぶように売れ、企業は大会期間中お休みのところが多くなった。
その辺のスーパーは休むわけにも行かず、従業員用にモニター設置してた。
銀河帝国国内も大会で熱狂。
前回からチームが一気に増えたもの。
なんというか、前はメディアも半分ボランティア。
ほほ笑ましい試合を放送って感じ。
今回はガチ。
スポンサー募りまくってガチ放映。
笑うしかない金が動いてる、最終的に税収含めて何割かが銀河帝国に入るそうで。
はは……嫁ちゃんスゴイ……。
ローザリア帝国も参加。
軍人に競技を教えてるところだ。
数年後にはすごいチームになってそう。
でさー、気づいてなかったんだけど、タンク師匠。
すでに興行準備してた。
野球場近くに公共の体育館があるんだって。
そこで体育大会応援興行を開催。
時間がかぶらないようにやるみたい……。
あーた、商売うますぎでしょ。
チケットは飛ぶように売れたそうである。
プロレス見たら野球行こう、サッカー見たらプロレス行こう!
やはりプロレスラーの営業センス最強すぎる。
格技大会のときは会場の前で野外プロレスやるんだって……。
俺出ないからね!
ぜったい出ないからね!
ほんとやめてよ!
イソノがいないだけで……この制御できないカオス……。
イソノって偉大だったんだな……。
クレアすら制御できなくなってるもん。
食堂でダウンしてるとシャーロットがやって来た。
タチアナとワンオーワンもいる。
すっかり仲良くなったようだ。
「クロノス王なんかくれ」
「ふへーい。なに食べる?」
「これ食べたい!」
シャーロットはグルメ本を出す。
またそういう無茶を……。
指さすのはオムライス。
これならできるわ。
「卵は半熟? それとも焼いて巻くやつ?」
「半熟で!」
お母さんだったら怒られてるところだ。(なお、うちのおかんは料理全般できない)
だが俺はできるんだなー。
ワンオーワン。目を輝かせてこちらを見ないで!
いま焼くから!
シーユンもやって来た。
うっす、もちろん作らせてもらいます。
こうしてオムライスを作りまくったのだった。
あたい……体育祭。不安しかないわ。
暗殺とかはなさそうな気がするんだけど、直感ちゃんがぜんぜん仕事してくれないし。




