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第六百三十四話

 パーシオンくんの傾向がわかった。

 貿易するし工場も多い技術大国だけど、外との交流は少ない。

 国民は面倒なことは政府と国営企業がやってくれて、お膳立てされた目の前の仕事をこなせばいいだけ。

 配給制の計画経済で、生活が良くなることも悪くなることもない。

 外国人はそれなりにいるが、外国人居住区が指定されててパーシオン人との接触は必要最低限だ。

 つまり政治体制は外からの攻撃にクソ強いけど、国民は外の文化に異常なくらい弱い。

 これで宗教が外の文化全否定なら面倒なんだけど、そういうわけでもない。

 外部の刺激に弱い文明である。

 ならばと音楽や映画などを学生団体に送る。

 はっはっは。

 どうなるかは知らない。

 こういうのって結果を予想してやるもんじゃないし。

 だたの国家宣伝よ。国家反逆罪らしいけどね。

 伝統芸能だけしか許されない風通しの悪い社会。

 そこに若い学生のカルチャーとして外の文化を入れる。

 最初は国家の弾圧で潰されるだろうけど、コストが安いのでいくらでも投入できる。

 海賊版問題はあるだろうけど、そこは国家で補償すればいい。

 正規の輸出ではない。たいした額じゃない。

 なんて工作をして放置。

 上層部が毒されるまで待てばいい。

 レプシトールの編入はクロノス外務省が調査という名の遅延工作をしてる最中だ。

 宗教も文化も違う文明を編入しても不幸になるだけだと思うのよ。

 最終的にはイソノたちと文官の話し合いで決定するんだろうけど。

 俺は最終決定権があるだけ。

 拒否権使ってもいいけど、拒否権乱発すれば政治的にどんどん不利になっていく。

 任期制だったらできるんだけどね。

 ほら王様って終身だから……。

 さてそんな状況であるが。

 急に暇になった。

 俺のやる仕事がない。

 なのでなまりきった体を鍛え直す。

 まずはランニング。

 宮殿外周を一回り。終わったら少し休憩。

 バービージャンプして、腕立て伏せして、スクワットもする。

 そしたら宇宙海兵隊体操。

 動きながらストレッチも一緒にするやつ。

 木刀持って素振り。

 近衛騎士団と目が合ったので稽古。

 ……したのがいけなかった。


「ようレオ」


 もう誰かわかったので死ぬ気で逃亡。

 だが回り込まれてしまった。


「カトリ先生……じ、自分は自主稽古してただけであります!」


「ま、好きにしろ。俺は仕事しに来ただけだ」


「し、仕事?」


「うむ、おう、さっさと来い!」


 ゾロゾロと死んだ目のクロノス王宮の警備隊がやってきた。


「俺が訓練してる」


「なるほど」


「喜べ! 今日はクロノス王が稽古つけてくれるぞ!」


 ……やはりこうなったか。


「カトリ先生とは遊びませんからね」


「自分より強いヤツに強要する気はねえ」


 ……どうしたの?

 天下御免のバトル野郎が……。


「もう、お前に教えることなんざねえ。安心しろ」


「お、押忍!」


「だいたい……なーにが『なまってる』だ! どんどん剣が鋭くなっているじゃねえか」


「お、押忍。ありがとうございます!」


「ほれ、部下の育成手伝え」


「へーい」


 というわけで宮殿警備隊、それに近衛騎士団と合同稽古。

 まずは警備隊の一番強いやつ……鬼神国人ですよね!

 うれしそうな顔しやがって!


「だりゃああああああああああああ!」


 気合はあるんだけど甘い斬撃だった。


「はい遅い」


 下から跳ね上げて突き……は人間としてどうかと思うので、突きと見せかけて服に木刀引っかけて……そのままぶん投げ。


「ぐッ!」


 そのまま木刀で押さえ込んで……。


「ま、まいった!」


 はい勝利。


「ば、化け物すぎる……」


「そうでもないって。彼は斬ってくるとき迷いがあった。だから上からの攻撃を跳ね上げられたわけ。で、本来なら胴か喉突いて一撃で仕留めるんだけど、残酷ショーじゃないから襟に引っかけて引きずり下ろしたわけ。あとは押さえ込みつつ残心。降参しないなら肩甲骨の下のところに木刀グリグリの刑だったわけ」


「え、えぐッ! 痛いやつ!」


 警備隊どん引き。

 格闘なら亀になった相手を肘でグリグリして崩す基本技だ。


「なんでもそうだけど引き際大事よ。普段からまずいなって思ったら撤退する判断を養っておくこと。そのうち管理職になるんだから。部下が死なないような立ち回りを憶えてね」


 局地戦で撤退したっていいわけ。兵の損耗が一番問題なわけよ。

 逃げられるうちに逃げとけって話だ。


「はッ!」


 なんかキラキラした目で見られた。

 ……いや当たり前のことしか言ってないのだが。

 ということで一通り相手した。

 近衛騎士団もね。

 なんか物足りない。

 うーん……。運動量と緊張感が足りない。

 カトリ先生を見る。


「とうとう俺の気持ちがわかったようだな」


 なんてこった……。

 知らない間に俺までバトル野郎になっていたようだ。


「勘弁してください。俺は平穏が一番なんですよ」


「ははは、言ってろ言ってろ」


 やめてくだせえ……。

 本当にバトル野郎になる気はない。


「わかったな。これが俺やお前らの目標だ。全体! クロノス王に礼!」


「ありがとうございました」


 こうして俺は釈然としない感じで稽古を終えるのだった。

 少し刺激が足りない。

 しょんぼりして帰るとメリッサに会った。


「あんれー稽古?」


「一人で稽古だったんだけど、カトリ先生と遭遇したせいで釈然としない感じに……」


「だったら今度一緒に稽古しようよ。西条くんも誘って」


「それだ!」


 そうだ。カトリ先生だからああなっただけだ!

 メリッサや西条くんみたいな別流派ならああはならんだろと。

 そうだ。身内の稽古で駄サイクルに入ってしまっただけだ。

 リコちも誘って稽古しよう。

 うん、それがいい。

 なんかおかしいと思うかもしれない。

 でも俺は真剣だった。

 正確に言うと、暇すぎてそこを悩む余裕があったのだ。

 ゾーク戦争のときは明日生き残ることしか考えてなかったもんね。

 うーん、俺も偉くなったもんだ。

 ……なんだか頭がクリアになってきたぞ。

 ここは一時的にパーシオンは置いて。

 ベルガーさんとカチヤに話を聞きに行くか。

 屍食鬼にトドメを刺すこと考えよう。

 やはり体を動かすと頭が働く!

 運動だいじ!

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― 新着の感想 ―
とうとう化け物(先生)からのお墨付きwww
バービーじやなくてバーピージャンプらしいです おいも間違えた
こもりがちな社会に文化侵略は劇薬がすぎる……!
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